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【解説版】非認知能力〜未来のイノベーションはここから!「開放性」〜

学力やIQなどは「認知能力」と呼ばれていますが、この「認知能力」とは異なる、「非認知能力」というものが、子どもたちが将来幸せで充実した人生を送る上で非常に重要な役割を果たします。

最近では耳にする方も増えたのではないでしょうか。

今回は、この非認知能力の要素の一つである「開放性」について解説してきます。

開放性の高い子どもたちは、新しい状況や変化に対してポジティブな態度を持ち、創造的な解決策を見つけることができる傾向があります。

子どもたちが将来直面するであろう未知の課題に立ち向かう上で、開放性は大きな力となるでしょう。

「非認知能力」とは、学力やIQなどに代表される「認知能力」以外の能力のことで、人間の内面的なスキルです。

非認知能力は将来の幸せの指標とも言われており、子どもが豊かな人生を歩んでいく上で大切な「力」です。

非認知能力には様々な要素があり、それぞれの要素は周りの人との関わり合いの中で育み、時間と共に発達していくものです。

非認知能力は、能力という位置づけで捉えられたり、性格の一つの側面としても捉えられることもあります。

「開放性」とは、発想指数のことで、創造力や発想力の強さを言います。

新しい経験やアイデアに対する好奇心や、受容性(受け入れる力)を示す特性です。

経験への開放性が高い人は、伝統や慣習に囚われず、新しいことに挑戦することに前向きで、その状況からも楽しみや喜びを得やすい傾向があります。

多様な文化、価値観、芸術にも興味を持ちやすく、非常に柔軟な思考を持つことが多いです。

以下のようなものが開放性の高い人の特徴と言えます:

・想像力が豊か:日常を超えたアイデアや可能性を思い描くことができます。

・創造性が高い:芸術的または知的な創造活動に積極的に関わります。

・好奇心旺盛:新しい情報や経験に対して積極的に学び、探求します。

・寛容である:異なる視点や考え方を容易に受け入れることができます。

・冒険心がある:未知のものやリスクを恐れずに試す意欲があります。

経験への開放性は、学歴にいい影響を与えると考えられています。

この開放性は元々の性格という側面も大きいのですが、どう高めていけばいいのか以下にご紹介します。

一言で言うと、新しい趣味や活動への挑戦を促すことです。

好奇心や想像力を引き出すために、踏み出す体験を積みかさねることが大切です。子どもたちに、さまざまな趣味や活動に挑戦する機会を用意しましょう。

具体的には、地域のスポーツイベントやアート活動に参加させたりすることも有用ですが、家庭の中でもできることはたくさんあります。

例えば、子どもの使いやすいアート用具や簡単な実験キットを用意して、子どもが自由に創造活動や実験を行えるようにしたり、「今日はどんな日だった?」というテーマで、日記や物語を書く時間を設けたりすることなど、まずは身近なところで環境やツールを用意することもいいでしょう。

大人はなるべく指示をせずに子どもたちのやり方を見守りましょう。

自由な枠組みであること、そして今までやったことがない何かに挑戦するという要素が少し入っている環境がポイントです。

子どもたちが新しい機会やアイデアに挑戦したり、未知のものへ開かれた心を持ち、柔軟な思考を持つきっかけになります。


なお、開放性と「自己効力感」は、密接な関連があります。

自己効力感とは、自己の能力を信じ、困難な状況においても成功することができるという確信です。

挑戦に立ち向かう力と回復力などの要素もあり、個人が目標に向かって行動を起こし、継続する意欲に直接的に関連しています。

開放性が高いと、新しい状況や挑戦に対して積極的に取り組むことが多いと言われているのですが、これが自己効力感を高める要素となり得ます。

新しい経験から学び、適応する過程で自信が培われ、これがさらに新たな挑戦への意欲を促すからです。

逆に、自己効力感が高いと、未知の状況や困難にも積極的に挑戦することができ、開放性を強化することができます。

開放性

2012年にハワード・ガードナーが提唱した「多重知能理論」(「MI理論」)は、人間の知能が一つではなく、様々な形で現れると示したものです。

この理論に基づく研究では、子どもたちが様々な活動に参加することで、異なる種類の知能が刺激され、全体的な学習能力と創造性が高まることが示されています。

多様な経験が子どもたちの知的好奇心を養い、新しいスキルの習得に対する意欲を高めることが確認されており、開放性のみならず、他の非認知能力の要素も高められるのです。

才能発掘診断」では、非認知能力を測定するメジャーな指標「ビッグ・ファイブ」に、子どもたちの学びに向かう姿勢に影響する「自己肯定感」を加え、開放性はもちろん、他の非認知能力の要素の状態も推測することができます。

  

  

他にも、上記のMI理論に基づいて、もともと持っている知能のバランスを踏まえて個性や才能を見つけ、効果的な学び方もお伝えしています。

他者と関わりながら成長し、社会の中で生きていくための人間力を育むヒントしてみてください。

現時点の開放性が高くても低くても、それぞれのいいところがあります。

ただ、非認知能力の各要素を一定水準高めていくことで、異なる背景をもつ人々との交流が加速され経験に深みが出たり、価値観が広がり、社会に出た時にいい影響をもたらす可能性が高いと言われています。

子ども自身のペースや性格を尊重してバランスをとりながら身につけていくことがよいでしょう。

開放性が高い子どもたちへ


あなたの想像力の豊かさと革新性は、この世界に新たな色と形をもたらします。新しいアイデアやものを生み出すことへの情熱は、周囲の人々にインスピレーションを与え、社会に変化をもたらすでしょう。

知的好奇心が旺盛なあなたは、新しい知識やスキルを身につけることに喜びを感じ、自分の作品や考えに組み込むことで、独自の視点から世界を見ることができます。この好奇心は、あなたの人生を豊かでカラフルなものに変えるポイントになります。新しい経験に開放的なので、いろんな価値観や視点を理解し、受け入れることもできます。

異なる文化やアイデアに触れることで、あなた自身の創造性はさらに深まり、広がり、あなたの考え方に多様性をもたらします。想像力が豊かで革新的な心、計り知れない知的好奇心、そして新しい経験へ開かれた姿勢は世界に新しい考え方を与えてくれるでしょう。

開放性が高くない子どもたちへ


あなたは、物事を冷静に、そして着実に進めることができるため、どんな状況でも一貫性と安定性があります。このように、既に経験したことに取り組むことで得られる安心感は、あなたが経験してきたことから多くを学び、それを活かしていることの証です。あなたのこの特質は、チームやプロジェクトにおいても大きな成果と価値をもたらします。

あなたのような人は、変化が激しい世の中でバランスをとりながら、多面的に深く物事を考え、熟慮した上で行動を起こすことができるため、より長期的な視点からベストな結果を導き出すことができます。あなたの安定感と一貫性は、周りの人々にとって大きな安心材料となります。

大人子どもに関わらず、開放性が非常に高い人は、実用性や伝統を重んじる環境では適応しにくい場合があります。

また、開放性が高いと、ルールや枠組みに縛られることなく自由に考え、行動したいという思いも強いため、時には非現実的なアイデアや実現不可能と思われる目標に向かうこともあります。

一方で、開放性は、イノベーションの要となる希少な性質です。

創造的な仕事や研究、芸術的な活動において特に価値があるとされていますし、異文化間のコミュニケーションや多様な価値観を持つ人々との交流においても、この特性は大きな役割を果たします

変化に富んだVUCA(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity:変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)と呼ばれる今日の時代において、開放性は子どもたちが未来の不確かな環境に適応し、それを乗り越える力を育む鍵となりそうです。