【小学生の習い事】「やめたい」と言ったときの対応7選

「習い事行きたくない」

「習い事をやめたい」

子育てをしていると、多くの保護者が出会う【子どもの習い事やめたい発言】ですが、どう対応すればいいのかわからないですよね。

今回は、児童精神科や療育施設で小学生と接してきた経験のある臨床心理士が、子どもの心理や発達の知識と相談経験から解説します。

この記事を書いた専門家

いけや さき


公認心理師、臨床心理士

精神科病院、療育施設、心療内科・児童精神科クリニックなど主に医療と福祉領域にて心理士として従事。発達障害の子どもたちや保護者、女性のメンタルヘルス等のサポートを行いながら、webライターとしても活動中。

子どもが「習い事やめたい」と思うとき、次の4つの理由が考えられます。

それぞれ詳しく解説します。


サボり

自分から積極的にやりたいと思って始めても、いざやってみたら興味がなくなることはあります。

大人でも一度決めたことを最後までやり抜くって、なかなか大変なことですよね。

まだ小学生の子どもが、自分の気持ちを大人のようにコントロールするのは難しいです。

たとえば、次のような理由で習い事に興味がなくなる子どもがいます。

大人からしたら「もう少し続けてみたら?」と思うかもしれませんが、習い事の継続は本人のやる気が重要なカギとなります。


piano

たとえば、次のようなことに心当たりはありませんか?

・家族の誰かが習い事を勧めた

・とりあえず何回か行くように言った

・近所やクラスの子が同じ習い事をしている

上記のような状況の場合、本当は子どもは最初から行きたい気持ちはなくて、周りに合わせていた可能性があります。

先ほど、大人のように気持ちをコントロールできないとお伝えしましたが、子どもは子どもなりに周りに気を遣うことがあるのです。


none

習い事仲間や指導者の先生・コーチなど、人間関係でうまくいっていない可能性もあります。

内容自体は好きだし、楽しめていても、人間関係がうまくいかないと行くのって憂うつですよね。

また、人間関係も当人同士のトラブルなのか、一方的にいじめや差別にあっているのかでも対応は変わってきます。


none

紹介した3つの理由と異なり、ちょっと前向きなパターンです。

たとえば、サッカーを習い始めたけど、テニスに興味が出て習いたいからやめたいという場合などが当てはまります。

複数の習い事を同時並行するご家庭もありますが、子どもによっては「1つのことを頑張りたい」「サッカーの時間の分、テニスをやって強くなりたい」と考える子もいるのです。

しかし、子どもはなぜかやりたいことを先に言わない場合があります。

今、やめたいと言っているとしても、前向きな理由をまだ言っていないパターンもあるかもしれません。

子どもに習い事を「やめたい」と言われたときの保護者の対応を7つ紹介します。

それぞれ詳しく解説していきますね。


listening

紹介している7選のなかで、優先順位をつけるなら「話を聴く」が最優先です。

頭ごなしに「そんなこと言ってないで、行きなさい!」「もっと頑張りなさい!」「お金払ってるんだから!」と叱っては、子どもも言いたいことがいえません。

むしろトラウマになってしまって、その後もつらいことがあっても保護者に相談できなくなってしまう可能性もあります。

実際に何人か成人の方で、幼少期に習い事のことで保護者に怒られてから、トラウマになってしまった人がいらっしゃいました。

まずは、「どうしたの?」「やめたい理由があるの?」と穏やかで落ち着いた声で聴いてみましょう。

「行きたくない」のパターンでも応用できます。

もし話したがらなかったら、いったん②の対処法を取りましょう。


興味がなくなった子や、なんとなくやる気がなくなった子は少し休めば回復することもあります。

不登校の対応と同様、無理やり行かせるよりも、休むことを提案してみましょう。

子どもは保護者が「休んでみる?」とか「1か月くらい行くのやめてみようか」と提案してくるとは想像してないかもしれません。

意外な反応に安心する子もいれば、「やっぱり行こうかな」と気が変わる子もいるでしょう。

提案してみて選べなさそうなら、「今日は行って来週から休む?」など、ほかの選択肢も提示しながら様子を見てみてください。


休むことになった、もしくは一旦続けてみることになった場合でも、子どもの本心を探ってみましょう。

探るときのコツは、尋問や詰問にならないように意識すること。

「たまには休みたいよね」と共感する言葉や、「ここまで頑張ってきたから、やめても」と今までの過程をほめるなどがよいでしょう。

ほかにも「じゃあ今日はママと○○行こうか!」と、気分転換するのもありです。

親子の交流を深めるなかで、子どもから言いたくなってくれる場合もあります。

また、「お母さんも昔行きたくなくなったことある」と似たような体験があったら話してみると、子どもも話しやすくなるかもしれません。


特に「やめたい理由②本当は行きたくなかった」の場合、親が自分の思いや世間体で習い事を決めていなかったかを考えてみるのも1つの方法。

ほかにも「一度決めたことはやり抜くべきだ」「逃げることは悪いこと」と思っていないかも考えてみましょう。

もちろん、保護者がご自身を責める必要はありません。

気づいた自分自身の本音と向き合い、子どもに寄り添いながら向き合ってくことが重要です。

本心に気づいたら、例えば「お父さんがサッカー習えって言ったけど、本当は行きたくなかった?」と自分の意見を伝えつつ、穏やかな表情と柔らかい声で聴いてみることも有用です。


たとえばピアノ自体は大好きだけど、先生や友達とうまくいってない場合は場所を変えるのもありです。

当人同士のトラブルの場合は話し合ったり、時間をずらしたりで解決する可能性もあります。

しかし、一方的にいじめや差別に合ってる場合は、話し合いでは子どもの心の傷は癒えません。

習い事の教室自体を変えた方がいい場合も多いです。

いずれの対応を行う場合も、親が先走りすぎず、子どもの意思を尊重しながら行動しましょう。


「やめたい理由①興味がなくなった」である場合、習い事をすること自体は嫌ではないかもしれません。

また、「やめたい理由④もっとやりたいことがある」までは行かなくても、今やりたいのはこれじゃないと思っている場合はほかの教室を見学するのもいいですね。

運動系の習い事をしていたなら、芸術系の習い事を見学してみることで、自分が何を求めているのか子ども自身が気づきやすくなるかもしれません。

ただし、学校と習い事で疲れてしまっている場合もあります。

無理に習い事をさせずに、学校でできることをやっていくのでも十分かどうかを一度検討してみましょう。


子どもの「習い事をやめたい」に隠れている理由の5つ目があります。それが「疲れてしまった」です。

子どもって体力が有り余っている子もいれば、学校の授業で精一杯の子もいます。

また、小1からはじめた習い事を、小3以上で授業が難しくなったことで行くのがつらくなるパターンもあるのです。

習い事自体の問題ではなく、本人の体力や気力の限界の可能性も考えてみましょう。

そういうときの対処法は、こちらの記事に詳しく書いております。

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保護者相談を受けていると、「逃げ癖がつくのでは?」「せっかくはじめたのに」という意見をよく聞きます。

そのお気持ちも痛いほど伝わってきますが、「習い事をやめる=逃げ癖がつく」ことはありません。

直接的な関連性はないですが、やめ方などによっては逃げ癖がつくこともあるでしょう。

今回紹介した7つの対応をもとに、子どもに寄り添いながら、子どもが考える時間や選択してもらう機会を作ってみてください。

Gifted Gazeでは、保護者のみなさまの子育てに関する悩みに、専門家が寄り添う機会をご用意しております。お気軽にご相談ください。