子どもの「OE」とは?OEの種類と特徴、ADHDやHSPとの違い、家庭での接し方について解説

「知的好奇心が非常に強い」
「感受性が豊かすぎる!」

あなたのお子さんは、こんな特性を持っていませんか?

このような特性を説明する概念として「OE(過度激動性:Overexcitability)」という言葉があります。

OEについての理解が浅いままだと、子どもの特性を誤って捉え、才能を見落とし、さらには不適切な支援をする危険性もあります。

この記事では、OEとは何か、その種類と特徴、ADHD(注意欠如多動症:Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder)やHSP(Highly Sensitive Person)との違い、そして家庭での接し方について詳しく解説します。

OE(過度激動性:Overexcitability)は、ポーランドの心理学者カジミエシュ・ダブラウスキ(KazimierzDabrowski)が提唱した概念です。
人間が通常よりも強烈に刺激を感じたり反応したりする特性を指します。

特に、才能や知性、創造性に優れた子ども(いわゆる「ギフテッド・チルドレン」)に多く見られると考えられています。

OEを持つ子どもたちは、環境からの刺激に対する感受性が高く、特定の領域で非常に強い興味や情熱を持つ傾向があります。

ただし、その「強烈さ」が家庭や学校生活で困難を引き起こしたり、ADHDなどの発達障害との違いがわかりにくい場合もあるため、まずはOEに対する正しい理解が重要です。


OEは主に以下の5種類に分類され、それぞれ独自の特徴があります。

知的OE(Intellectual OE)

特徴

具体例

注意点

情緒的OE(EmotionalOE)

特徴

具体例

注意点

創造的OE(ImaginationalOE)

特徴

具体例

注意点

感覚的OE(SensualOE)

特徴

具体例

注意点

運動的OE(PsychomotorOE)

特徴

具体例

注意点

以上でご紹介した「注意点」にあるように、子どもの特性として日常生活や学校生活の中であらわれている部分もあれば、本人が困りごととして抱えている場合もあります。

OEとADHDやASDは、どちらも「普通よりも強烈な特性」を持つ場合があるため混同されやすいですが、概念や原因、適応の仕方など根本的に異なります。

特に、情動性OEの場合は、ある特定のものごとに対する愛着がASDのこだわりの特性とよく似た形であらわれることがあったり、ネガティブな感情を放置しないことが大切です。

知的・感覚的な刺激への反応や日常生活への影響など、OEとADHDやASDとの違いをどう見極めるかなどについて、次回以降の記事で解説します。

OEは、「刺激への過敏性」という点でHSPと共通点があります(OEがネガティブに作用した場合、HSPのような敏感な状態になることもあります)が、両者には根本的な違いがあります。

OEは特定の分野に特化した反応性で、HSPは刺激全般に対する敏感さが特徴です。
例えば、HSPの子どもは学習や対人関係などあらゆる場面で「疲れる」と感じやすいなどです。

簡単に言えば、OEは「特定の刺激に対する強烈な反応性」であり、HSPは「全般的な敏感さ」が特徴です。

OEは、成長や環境次第でポジティブにもネガティブにも変化しえます。

OE(Overexcitability)

  • 特定の分野で強烈な興味や情熱を持つことが特徴。
  • 知的好奇心や創造性、感情表現の豊かさが目立つ。
  • 「強い反応性」が必ずしもストレス源になるわけではない。

HSP(HighlySensitivePerson)

  • 環境からの刺激全般に対して敏感で、疲れやすい。
  • 過剰な共感や不安感を抱きやすい。
  • 敏感さがストレスや不安の原因になることが多い。

子どものOEの特性をポジティブに活かすために、以下のポイントを参考にしてみてください。

◯共感し受け入れる

まずは、子ども自身が感じている感情や反応の背景を理解することが一番大切です。

質問や感情表現を無視せず、「この子は自分とは違う感性を持っている」と受け入れるようにしましょう。

◯環境を整える

どのOEタイプかにより環境調整の方法も異なりますが、以下に各タイプの一例を挙げてみます。

◯自己調整の方法を教える

子どもが自分の特性を理解し、コントロールできるように支援します。
例えば、深呼吸や瞑想、スケジュール管理、ネガティブな感情への向き合い方などのスキルを教えましょう。

◯専門家のサポートを活用する

子どもの特性が家庭や学校での生活に大きな影響を及ぼしている場合、心理カウンセラーや教育専門家に相談することをおすすめします。
発達特性によるものなのか、OEによるものなのか、あるいは両方があわさっている場合もあります。
原因や特性に合わせたサポートのために、専門家の助言も活用しましょう。

OEの子どもたちは感性が豊かなために、感情の起伏が激しかったり自分自身が他者と同一化して、周りにネガティブなことも含め影響されやすかったりします。

それが、思春期以降に精神のバランスの乱れとしてあらわれたり対人関係で苦労する場合もあります。

子どもの特性に悩むことがあれば、些細なことでもいいので、専門家のサポートを活用してみてください。