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EQと非認知能力って関係ある?

親として、子どもが健全に成長し、学校や将来の職場で成功するために、何が重要かを理解することは非常に大切です。

本記事で注目するのは、子どもの感情の理解と管理(EQ)、そして子どもたちの行動やスキルに関連する非認知能力です。

この2つは似たような概念で、違いを理解しにくいかもしれません。

どのような違いがあるのか、また、どう関連していて、子どもたちの将来にどのような影響があるのか、さらに、これらを高めるための秘訣についても詳しく解説していきます。

EQは、自分や他人の感情をどれだけ理解し、適切に扱えるかという能力です。

これには、自分の感情を認識し管理する力、他人の感情を理解し、良好な人間関係を築く能力が含まれます。

EQが高い子どもは、感情をコントロールし、ストレスにうまく対処し、友達と上手にコミュニケーションをとることができます。

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一方で非認知能力は、自己制御、忍耐力、継続性など、知識や技能以外の個性やスキルを指します。

子どもたちが学校で良い成績を収めたり、人生で目標を達成したり、幸せな人生を歩んでいくために重要なスキルです。

EQと非認知能力は密接に関係しており、影響を及ぼし合っています。

例えば、自分の感情をコントロールする力は、ストレスの多い状況でも落ち着いて行動できるようにする非認知能力の一部です。

しかし、EQは感情に特化した能力に焦点を当てているのに対し、非認知能力はより幅広い範囲のスキルや特性をカバーしています

お気づきの方もいるかもしれませんが、EQは、非認知能力の指標の一つである「精神的安定性」と非常に近い要素になります。

次に、EQの高さが子どもたちの将来とどう関係しているのかについて、以下でご紹介していきます。


まず、高いEQを持つ人は、自己の強みや情熱を深く理解しており、それに基づいて適切なキャリアパスを選択することができるため、仕事での満足度も高くなります。

EQ(感情知能)が高いと、周りの人の感情や状況を敏感に察知したり想像したり、それに対して適切に反応する能力を持ちやすいです。

例えば、チームプロジェクトで意見の対立があった際に、EQの高い人は周りの意見を尊重し、共感を示すことで互いの理解を深め、衝突を和らげることができます。

このように周りとの調和を重視しながらも意思決定をする姿勢は、リーダーシップの発揮にも直結し、チームや組織内での信頼と協力を築くことができます。

予期せぬトラブルや誤解などが生じたときにも、EQの高さによって冷静かつ客観的な問題解決をすることができるため、対人関係の様々な課題に対処する際にも大きな財産となります。


EQの高い子どもは感情のコントロールなどの自己制御ができ、勉強や課題への集中力が向上します。

例えば、難しい問題や新しい課題に直面した際、焦りや不安を感じることなく、落ち着いて取り組むことができるのです。

また、自分の思い通りにならなかったり、期待していた結果が出なかったとしても、その体験から学ぶ姿勢を持ち、挫折を乗り越えることができます。

そして、自分が何に興味を持っているのか、どのような学習が得意かを自覚しやすいため、好奇心を持続させながら、自ら学習目標を設定し取り組むことができます。

この主体的な学びの姿勢は、学業成績の向上に直結します。


EQのスキルの一つとして、ストレスや否定的な感情を適切に管理し、回復力を高めることがあります。

EQが高いと、ストレスや否定的な感情を効果的に管理し、自身の感情に対して積極的に対処することができます。

そうすることで精神的な健康を維持しやすくなり、自己肯定感や人生に対する満足度が高まります。

また、助けや周りの協力が必要な時に、適切に助けを求めたり、周りの人を支援する能力も高いため、友人や家族などの社会的ネットワークからのサポートも積極的に受け入れることができます。

このような姿勢は、日常生活のさまざまなシナリオにおいて、精神的なバランスを保ち、長期的にも幸福感を維持することにつながります。

実際に、Durlak et al. (2011)は社会的および感情的学習プログラムが学生の社会的行動、感情調節、学業成績に肯定的な影響を与えることを示す分析を発表しました。

この研究には、幼稚園から高校までの子ども270,034人を対象とした213の学校ベースのSELプログラム(社会的・情動的学習と呼ばれ、教育現場や家庭で行われるEQ教育のこと)が含まれています。

その結果、SELプログラムに参加した子どもは、社会的・感情的スキル、態度、行動、および学業成績が有意に向上したことが示されました。※1

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EQは、感情の認識・理解・管理、他者との関係構築の能力に深く関係しています。

以下では、日常で子どもがEQを高めるためにできること、またその将来に向けた効果についてご紹介します。


子どもが感じている感情を言葉で表現する練習をさせることは、感情認識のスキルを発達させることにつながります。

例えば、「悲しい」「怒っている」「嬉しい」など、さまざまな感情に名前をつけ、それが何を意味するのかを話し合ってみましょう。

子どもが怒りや悲しみなどの感情を示したとき、「今、とても悲しい気持ちなんだね」と言って感情に名前をつけ、子どもにも同じことをさせます。

また、「今日、何が嬉しかった?」と毎日尋ねて、ポジティブな感情にも焦点を当てましょう。

大人の言葉で理解された感情を押し付けるのではなく、子どもの感情を言語化する手助けをするというレベル感です。


親や教育者自身が自分の感情を健康で建設的な方法で表現することは、子どもにとってもEQを身につける絶好の機会です。

自分の感情を子どもに対してオープンにして、それをどのように管理しているかを説明することで、子どもは感情管理の方法を学びます。

自分がイライラしているとき、「ママは今、ちょっとイライラしているから、深呼吸して落ち着こうと思うよ」と話し、自分の感情管理法を子どもの前で実演します。

そうすることで、子どもは感情をコントロールする方法を学びんだり、他人の心の動きを状況と結びつけて、深く理解できるようになっていきます。

大人も、自分の感情を一度取り出すことで冷静になれる効果があります。


子どもが自分の感情について、素直に表現できる環境を作りましょう。

夕食時や就寝前の時間を利用して、「今日一番楽しかったことは何?」や「何か悩んでいることはある?」といった質問で、家族内で感情に関するオープンな会話をしてみましょう。

特に、ネガティブな感情の場合は、より傾聴してあげて下さい。冷静に聞いてくれる人がいると、子どもも、自分の感情と落ち着いて向き合う習慣ができます。


先では、感情に向き合うとか、感情を表すということの重要性をお伝えしましたが、それが難しい時もあります。

そのような時には、「どうすればこの問題を解決できると思う?」と尋ね、一緒に解決策を考えましょう。

子どもは、感情よりも、どうしたら状況を改善できるかなど問題解決の方に意識が向きます

その後、子どもが考えた解決策について、必要に応じてガイダンスしましょう。

  

以上のようなことを積み重ねていくと、感情的な困難や対人関係の問題に直面したときに、子どもたちは感情をどう理解して、管理していけばいいのかを予測することができるようになるだけでなく、状況に対処できるようにもなります。

このほかにも、子どもに、一日の終わりにその日感じた感情を日記に書くことを勧めます。それを読むことで、どのような状況でどんな感情が生まれたのかを一緒に話し合ったりするのもいいでしょう。

子どもたちが豊かな感情の世界を理解し、健全な成長を遂げるためには、EQと非認知能力を育むことが重要ということをご理解いただけたかと思います。

EQと非認知能力を育むことは、子どもたちが社会的に成功し、学業や職業で優れた成果を出すだけでなく、精神的な健康を保ち、幸福感を高めるためにも不可欠です。

親子で共に成長し、学ぶ過程は、時に刺激的でチャレンジングかもしれませんが、そのプロセス自体が互いの絆を深め、お互いの理解を促す貴重な機会ともなります。

EQと非認知能力の向上を目指すことで、子どもたちが将来にわたって充実した人生を送るための基盤を築くきっかけになれば嬉しいです。

才能発掘診断では、EQだけでなく精神的安定性などの非認知能力を調べることができます。