放課後等デイサービス

子どもを放課後等デイサービスに通わせようとお考えの皆さん。

「週に何回通えるのか」「料金はどれくらいかかるのか」「いつまで通えばいいのか」と悩んだことはありますか?

このような悩みをどこに相談すればいいのかわからない保護者も少なくありません。

そこで今回は、元放課後等デイサービスの臨床心理士が放課後等デイサービスの利用日数や料金、通う際によくある質問にお答えします。

この記事を書いた専門家

いけや さき


公認心理師、臨床心理士

精神科病院、療育施設、心療内科・児童精神科クリニックなど主に医療と福祉領域にて心理士として従事。発達障害の子どもたちや保護者、女性のメンタルヘルス等のサポートを行いながら、webライターとしても活動中。

「毎日通えるの?」

「日数は決まっているの?」

「曜日は固定されているの?」

放課後等デイサービスをはじめて活用する親にとって、利用方法はわからないことだらけですよね。

まずは、放課後等デイサービスの利用日数について詳しく解説します。


毎日通える子どももいますが、そうではない子もいます。

放課後等デイサービスは、自治体によって利用日数の上限が定められているため、全員が同じ日数ではないのです。

たとえば、東京都杉並区の場合は学年で利用日数の目安が異なります。

一方、大阪府豊中市は子どもの療育の必要性に応じて決まり、原則として最大23日(週5日)となっているようです。

自治体や子どもの症状等によって、日数が異なるため、毎日通える子もいれば週1~2日の子もいることになります。


基本的には、どの放課後等デイサービスも曜日を固定しています。

理由としては、1日あたり10名定員が法律上で最大となっており、10名を超える場合はスタッフの人数も増やすことが決まっているからです。

曜日固定をしてスケジュール管理をしないと、人数を超えてしまう可能性があるため、基本は曜日固定となっています。

ただし、事業所によっては臨時利用できることもあるようです。また、曜日固定以外にも時間帯で利用日数を分散しているところもあります。

筆者が勤めていた事業所には、小学生の時間と中高生の時間で分けている会社がありました。

分けるメリットとしては、小集団活動の行いやすさや近い年齢の人との交流、発達段階だけでなく学校教育的課題に合わせた訓練ができるなどがあげられます。


放課後等デイサービスは、複数の事業所を掛け持ちできます

実際に筆者が勤めていたところも、掛け持ちしている子がおり、掛け持ち先でも一緒だという子たちもいました。

週に何回通えるかは、先述の通り自治体や子どもの症状によります。

また、掛け持ちの場合は各事業所の空き状況にもよります。

ここでは掛け持ちする場合のメリットと注意点を解説しますので、掛け持ちする前に確認しておきましょう。

複数利用のメリットは以下の通りです。

・利用日数を最大限に活用できる

・各事業所特有の療育を受けられる

・相談先や友人が増える

週5日利用できるお子さんがいるとします。しかし、近隣の事業所は週2日までしか空きがありません。そのような場合、別の事業所に週3日通うことができます。

また、作業療法士の多い放課後等デイサービスと、教員や保育士の多い放課後等デイサービスではカリキュラムが異なるでしょう。

それぞれ特有の支援が受けられるだけでなく、相談できる大人や関わる子どもも増えることは、メリットに感じる子どもも多いようです。

複数利用のデメリットや注意点は以下の通りです。

・子どもの負担になる可能性がある

・利用時に届出が必要な場合がある

・上限日数が増えるわけではない

最大の注意点は子どもの負担です。そのほかは、大人の手続き上の注意なので事業所の責任者等と相談すれば解決できます。

子どもにとって、通所する先が増えるのは楽しいことばかりではありません。

新しい人間関係に慣れる必要がありますし、事業所によって職員や子どもの雰囲気だけでなくルールも変わります。

そもそも子どもは学校の後に、放課後等デイサービスに行くこととなりますので、ストレスに感じる可能性もあるでしょう。

放課後等デイサービスには「週に何回通えるの?」といった、利用日数に関連する悩みは尽きないですよね。

ここでは、利用日数だけでなく放課後等デイサービス関連でよくあるご質問を紹介します。

Q:放課後等デイサービスって意味あるの?

A:放課後等デイサービスの利用にはメリットとデメリットがあります。

ネットで放課後等デイサービスを検索すると「意味がない」と出てくるのは、事業所が合っていない場合もあれば、デメリットの方を強く感じてしまっている人もいるからかもしれません。

放課後等デイサービスの目的は別の記事でご紹介しましたが、子どもにも大人にもさまざまなメリットがあります。

学童保育との違いは、放課後に過ごす居場所というよりも「安心できる居場所」「成長できる居場所」というところです。そのため、子どもにとっての安心と成長を期待できる環境が整っているところを選べば、「意味がない」という考えにはなりにくくなるでしょう。

Q:放課後等デイサービスの料金は?     

A:放課後等デイサービスの家庭負担は1割が原則です

1割という表現になる理由は世帯所得によって異なるためですので、料金の仕組みと例をご紹介します。

利用料金の仕組み

放課後等デイサービスの料金は、家庭が1割を負担(利用者負担)し、残りの9割は国や自治体が負担しています。

月額の利用者負担は、世帯所得によって次のような上限があります。

【参考】障害者福祉:障害児の利用者負担|厚生労働省

・生活保護受給世帯/市区町村税非課税世帯→0円

・市区町村税課税世帯(前年度の年間所得が920万円まで)→4,600円

・市区町村税課税世帯(前年度の年間所得が920万円以上)→37,200円

なお、児童発達支援の多子軽減措置や無償化制度は放課後等デイサービスにはありません。

筆者が勤めてきた3か所の放課後等デイサービスは、基本的に0円か4,600円の利用者さんが中心でした。

利用料金の例

「前年度所得が920万円以下」のご家庭の場合を例にします。

このご家庭の利用者負担額は上限月額4,600円となりますよね。

たとえば、1回1500円の事業所へ月8回通ったとしましょう。

利用料は12,000円ですが、支払う金額は上限MAXの4,600円となります。

このように通えるだけ通っても、上限金額までの支払いで済むのが利用負担です。

ただし、事業所によってはおやつ代や外出費などが別途でかかるので、事前に確認しておきましょう。

あとは自治体によって、さらなる軽減を実施しているところもあるので、一度お住いの自治体の「軽減措置」を調べてみてください。(例:京都市、浦安市)

Q:長期休みは通えるの?

A:ほとんどの事業所は春休みや夏休み、冬休みも営業しています。(年末年始は除く)

ただし、すべての事業所が営業しているわけではないので、必ず確認しておきましょう。

また、営業時間も次のようなタイプの放課後等デイサービスがあるので気をつけてください。

・長期休みは日中に営業している

・長期休みも、通常通り放課後に営業している

・長期休み期間は営業していないor変則的

※利用日数は増えないので、ご注意ください

Q:いつまで続けるべき?

A:辞めるのは子どもの状況に合わせて必要ではないと思ったときです。

たとえば、以下のような理由で辞めることが多いといわれています。

・子どもが嫌がっている

・ほかの児童等とトラブルがあった

・ほかの習い事の日数を増やす

・受験の準備がある

・別の放課後等デイサービスに行く(専門性の高いところへ行くなど)

放課後等デイサービスは、高校生まで通えることから12年間同じ事業所に行くことも可能です。

子どもの成長や状況に合わせて辞めたり、複数の事業所を利用しながら合うところを探したりするのも選択肢の1つです。

放課後等デイサービスの利用日数は、自治体や子どもの状態によって変わります。

また、週5日通えるからといって毎日行く必要はありません。

子ども本人と相談しながら、実際に見学して利用する事業所を決めましょう。

また、主治医や療育・発達障害に詳しいカウンセラーに相談することもおすすめです。

利用前相談や、放課後等デイサービスの利用後のご相談場所の1つとしてGifted Gazeの専門家相談もぜひご活用ください。