みなさんは、聞いて覚える人ですか?観て覚える人ですか?
日々の学び方や情報を処理する方法は人それぞれ異なります。
ある人は耳から聞いたことをすぐに理解し、別の人は目で見たものから情報を得ることがより得意です。
この個人差はなぜ生じるのでしょうか?
その答えの一つが「認知特性」にあります。
この概念を理解することで、子どもたちの学習スタイルを最大限に活用する方法が見えてきます。
本記事では、認知特性の基本と、それを生かした学び方について掘り下げていきます。
認知特性とは
認知特性とは、目で見る、耳で聞くなど、感覚器から入ってきた様々な情報を脳の中で処理する能力のことです。
「処理」とは、 整理する、記憶する、理解するなどの脳内でのアクションのことです。
認知特性は、大きく「視覚」「言語」「聴覚」の3つの主要なカテゴリーに分けられます。
さらに詳細に分析すると、これらのカテゴリーは8〜9のサブカテゴリーに細分化されることがあります。
例えば、視覚特性には空間認識や色彩認識の違いが含まれ、言語特性では聴覚情報と読書や書き言葉への感受性が異なります。
子どもがどの認知特性の傾向が強いのかを理解することで、それぞれにフィットする要素を取り入れた学習方法を提供するヒントになります。
そして、認知特性を活かした方法で学びに取り組むことで、子どもの成功体験が増え、「もっとできる」「もっとやってみたい」という新たな学びの意欲に繋がるという効果もあるのです。
ここで簡単に、それぞれの認知特性の要素について紹介します:
視覚
視覚優位の人は、空間や絵、情景などの全体像を理解することに長けています。
聴覚
言葉を耳で聞いて情報を捉える方法が得意で、口頭で与えられた指示に簡単に従い、記憶することができるため、さまざまな学習や実践の場面でも難なく対応できる人が、聴覚認知優位の傾向があります。
例えば、一つ目の、目で見て情報をよく理解し記憶する「視覚」タイプは、空間認識の潜在能力が高いです。
空間自体や、空間の中に含まれるものを的確に認識したり、その認識を自由に転換させたりすることができます。
感覚的・抽象的に物事を捉えることができるため、理由を問われても説明することができないこともあります。
絵を描いたり落書きをすることが好きなので、学習には絵やイメージ、ダイアグラム、ホワイトボードなどを使うと効果的です。
逆に、耳で聴くだけで情報を処理することに苦労する場合があるため、先生が話す講義スタイルなどでは苦労する場合があります。
将来は、視覚空間能力に依存する分野(美術、建築、物理学、航空学などの分野)で特に活躍すると考えられます。
認知処理様式とは
さらに、認知特性と密接に関わりがある「認知処理様式」をご紹介しておきたいと思います。
認知特性が個々の情報処理の「能力」を指すのに対し、認知処理様式はこの能力をどのように活用するか、「処理の方法」を意味します。
この方法には「継次処理」と「同時処理」 があると考えられています。
継次処理
連続して入ってくる情報を線形的または順序立てて処理します。情報が一つずつ、かつ一連の順序で扱われます。
以下の点が継次処理に必要な要素の例です。
逐次性:情報は一つずつ、明確な順序で処理されるため、各ステップが完了してから次のステップに移る必要があります。
焦点化:特定の情報点に集中し、その点を理解することが求められるため、注目の深さが重要です。
記憶の活用:短期記憶を効果的に使い、処理中の情報を保持しながら次の情報に移る能力が必要です。
言語的・数学的処理:言語理解や数学の問題解決など、順序を追って論理的に考えるタスクに特に有効です。
同時処理
情報の全体を捉えてから複数の情報同士を関連付けて理解したり、ものごとを全体的にまとめて記憶する方法です。
以下の点が同時処理に必要な要素の例です。
全体像の理解:情報の全体を見て、パターンや関連性を把握する能力が求められます。
複数の入力の統合:異なる情報源からの入力を一度に処理し、それらを統合して一つの結論に至ります。
図形的・空間的な理解:図やグラフの解釈、空間的な認識がこの処理に関連します。
創造性と問題解決:創造的な思考や新しいアイデアの生成、複雑な問題を解決する際に有効です。
例えば、情報を順序立てて一つずつ理解する「継次処理」は、説明文や手順を追うのに適しています。
一方で、情報の全体像を一度に捉える「同時処理」は、複雑な図表や全体の構造を理解するのに非常に役立ちます。
また、聴覚と言語の認知特性が優位の人は、「継次処理」の方が得意で、視覚優位の人は「同時処理」の方が得意とされています。
これを理解することで、子どもがどのような情報の処理方法を得意としているかを明らかにし、それに合わせた教育アプローチを取ることが可能になります。
視覚の認知特性が高い人は、物事を直感的・抽象的に理解するため伝達が難しいことがあり、逆に、言語・聴覚の認知特性がある人は分析的で細部の情報を処理しやすいため伝達しやすく、論理的でより社会的なアウトプットがしやすいという傾向もあります。
認知特性と認知処理様式を把握することで、子どもに何かを伝えるとき、学習するときに、より効果的に情報を伝える一つの方法にもなりますし、学習における困難を把握できるかもしれません。
認知スタイルを調べてみる
まとめ
見たり聞いたりすることで学ぶ子、実際にやってみることで学ぶ子、読書で学ぶ子、質問をすることで学ぶ子など、さまざまなスタイルがあります。
一つだけの学習スタイルに完全に合致することはあまりなく、特定の学習スタイルの組み合わせによるパターンがあると考えられています。
認知特性を理解することは、子どもたちが持つ独自の学習スタイルを明らかにし、それをサポートするヒントになります。
私たち大人は、この特性を理解して、子どもたち一人一人のポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
子どもの興味や強みに合わせた学習資材を選び、多様な教育手法を取り入れることで、子どもたちの学びの喜びをより豊かにすることができるでしょう。
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