子育てのイライラが減る!話題の心理学 「ストレスコーピング」とは?

ストレスを解消したいのにうまく気分転換ができなかったり、やけ食いや衝動買いなどでかえって自分を追い詰めてしまうことはありませんか?

心や体が辛い時には、ストレスへの対処法を考えるのも大変ですよね。

子育てや家事、仕事に追われていると尚更ではないでしょうか。

そんな時のために、今回ご紹介するリストを作っておくと、落ち着いてストレスに対処しやすくなるかもしれません。

この記事では、子育てのストレス対処法(=「コーピング」)について、ご紹介して行きます。

この記事を書いた専門家

山崎

山崎 日菜乃


公認心理師、臨床心理士

心理士としてメールカウンセリングに3年半従事し、家族関係の悩み、心身の不調、仕事の悩みなど、様々な困り事へのサポートを行う。アメリカ合衆国在住。


ストレスコーピング(stress coping)とは、直訳すると「ストレス対処法」です。

アメリカの心理学者ラザルスによって提唱された理論で、ストレスの基(ストレッサー)にうまく対処しようとする意図的な行動のことです。

例えば、悩みを友達に相談するとか音楽を聴いて気分転換するなどの行動を指します。

「コーピングリスト」とは、そのようなコーピングの候補となる行動や考えを書き出したもののことです。

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何が気分転換や癒しになるかは人それぞれであるため、自分専用のコーピングリストを作っておくことには大きな意味があります。

コーピングリスト作りをお子さまと一緒に取り組むのもおすすめです。


ストレスを感じる出来事(ストレッサー)を経験した時、人によってもちろん反応が違いますし、自分の様子もその時々、状況に応じて違います。

その違いが生じている理由は、ストレスを感じる出来事(ストレッサー)に対して自分自身がどう評価しているか、また、そのストレスにどう対処(コーピング)しているかが関係していると考えられています。

また、一時的にストレッサーによる不調が生じた時、コーピングに失敗してしまうと不調が長引いてしまいますが、適切なコーピングを行うことができれば健康を保つことができるとも言われています。

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生きていれば、どうしてもストレッサーに出会うことはありますが、その時に自分に合ったコーピングを行うことができれば、健康に自分らしく過ごし続けることができます

このようにコーピングは、ストレスと上手に付き合っていく上でとても重要な要素なのです。

以下で、コーピングを行うメリットを詳しくご紹介します。

ストレスを感じている時は、何をすれば心が落ち着くか、何をしたいのかを考えるのも大変ですよね。

元気な時にコーピングリストを作っておくと、ストレスを感じた時にはリストの中から選ぶだけで済むので、コーピングを行う際の負担がぐっと軽減します。

また、コーピングリストが手元にあることで、こんなに対処法のレパートリーがあるぞ!という心の余裕や自信にも繋がるでしょう。

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コーピングリストを作るには、日頃の自分の行動を思い出したり、自分は何が好きか、どんな時にリラックスしているかなどを振り返る体験が伴います。

そうした中で、自分について新たに気付くことや再確認できることもあるでしょう。

コーピングリストがあると、あるコーピングを行って上手くいかなかった時に別のコーピングを選んで試すこともしやすくなります。

そのように、失敗したコーピングをやめ、新たなコーピングを行う力はコーピングの柔軟性と言われ、コーピングの柔軟性は心の健康に関わっていると研究では示されています。

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ここからは、コーピングリストの作り方を紹介します。

お一人でじっくり取り組むのもいいですし、親子や誰かと一緒に取り組むのもおすすめです。

心や体の状態がいい時に作ったほうが落ち着いて取り組むことができますし、アイデアが出しやすかったり、元気な時の考え方をリストに反映させやすくなります。

これまでストレスを感じた時にやったこと、ホッとできる行動、好きなことなどを思い出しながらどんどん書き出してみましょう。

レパートリーがたくさんあった方が、その時の気分や状況に適したコーピングを選びやすくなるので、できるだけ多くのアイデアを出しておくといいですよ。

ここまででコーピングリストを完成としてもいいですし、より使いやすくするために以下3、4の手順に進むこともできます。

コーピングを手軽さやタイプなどによってグループ分けしておくと、その時々に合ったコーピングを選ぶ手間をより軽減できます。あなたにとって使いやすいグループ分けをしてみましょう。

できたリストを書きやすく持ち歩きたくなるノートや手帳、アプリなどに清書してみましょう。

清書しながら、よりリストを具体的にしたり、取り組みやすいように書き換えていくのもいいですね。

今後もリストを使いながら書き足せるように十分な余白も作っておきましょう。

どんなコーピングリストができたでしょうか…。

作ったコーピングリストを誰かとシェアしてみるのもおすすめです。

例えば、お子さまと一緒にコーピングリストを作って、それぞれどんなリストができたか説明し合ってみるのもいいですね。

コーピングリストをシェアすることで、共感できたり、他者との違いを知ることができるだけでなく、自分のリストについて説明することで自分のコーピングや考えをさらに整理できることもあるでしょう。

また、他者のコーピングについて聞くことで新しいコーピングを知れたり、アイデアを思い付くこともあるかもしれませんね。

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いつでも持ち歩いてストレスを感じた時にすぐに見られるようにします。新しいコーピングを思い付いたらその都度書き足しましょう。

ストレスを感じた時(落ち込んだりイライラした時、リフレッシュしたい時など)に、気持ちが楽になりそうなものをややりたいものリストから選んで試します。

試したコーピングに効果があったかどうか評価します。

コーピングリストに、どんな状況で使ったか、どのくらい効果があったか(点数や◎○△など)を書き込んでおくのもいいでしょう。

今回効果を感じられなかったコーピングも、別の状況には効果的かもしれないため消さずに残しておきましょう。

効果がなかった場合は別のコーピングを選んで試し、気持ちが楽になるまで2~4を繰り返します。

このようにコーピングリストを繰り返し使っていくことで、どんな時にどのコーピングが効果的かを知ることができ、ストレスに対処しやすくなっていくでしょう。

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子育てや家事、仕事をしていると、知らず知らずのうちに自分の気持ちを後回しにしてしまうこともありますよね。

リストを作ること自体もちょっとした気分転換になりますよ。

コーピングリストに興味を持たれた方は、ぜひ作ってみていただけたら幸いです。

コーピングリストを作ったり、使うことが、セルフケアの時間を作るきっかけにもなると嬉しいです。

また、Gifted Gazeでは、ストレスの対処法について心理士が個別にご相談にも応じています。ぜひご活用ください。

参考文献