子どもの「わかる!」を増やす〜メタ認知マジック〜

子どもたちは、日々の中で、いろんな出来事を乗り越えています。学校のテスト、新しい友達との関係構築、家庭での小さな責任まで、全てが子どもたちの成長を育むステップです。

しかし、子どもたちがこれらのステップをスムーズに乗り越えていくためには、ただ知識を詰め込むだけでは十分ではないことは想像できると思います。

ここで、重要になってくる能力の一つが、「メタ認知」という力です。

メタ認知の力を身につけることで、子どもたちは自分が何をどう考えているか、プロセスを理解して、さらには管理することもできるようになります。日々の学びの質を格段に高めて、自然と自分の力で成長していくことにもつながるのです。

メタ認知とは一体何か、その重要性は何か、そしてどのようにして子どもたちにこの力を育んでいけば良いのか。

本記事では、これらの疑問に答えるとともに、お子さんが自分の学びのプロセスをより深く理解し、積極的に自分の成長を促す方法について解説します。

メタ認知とは、ちょっと難しい言葉ですが、要は、「自分の考え方について考えること」です。

子どもたちが、自分がどのように考え、学んでいるかを理解し、それを上手に管理する力のことを指します。

この力を持つと、ただ単に新しいことを覚えるだけでなく、自分にとって最適な学び方や、問題をどう解決するかを見つけ出すことができるようになります

例えば、自分が怒りっぽいとき、それを認識して落ち着かせる方法を考えることも、メタ認知の一つの例です。

メタ認知を活用して、自分の考え方をしっかりと理解することで、もっと効率的に、そして深く学べるようになります

例えば、覚え方にはいろいろな方法がありますが、自分にとってどの方法が一番いいのかを理解することもできます。お子さんが自分自身で、自分の学び方を考えたり、反省したりすることで、学習の質を高めることができるのです。

もっというと、メタ認知を能力として身につけると、学習の質を向上させるだけでなく、自己管理能力の向上にも繋がります。学校のテストで良い成績を取るためだけでなく、日常生活の中で直面する様々な課題にも柔軟かつ効果的に対応することができるようになります。

また、自分自身の感情や衝動を理解し、適切に制御することも可能になるため、社会生活の中でのコミュニケーション能力伸ばすことができます

メタ認知を使うときには、いくつかのステップがあります。「目標設定」「計画」「実行とモニタリング」「評価と調整」という4つです。

これらのステップを通して、子どもは自分自身の学びの活動を効率的に進めて、必要に応じてどんな方法がいいか、戦略を調整する能力も身につけることができます。

以下で、それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。

  1. 目標設定: 「この問題を解決したい」「この科目を勉強したい」といった、はっきりとした目標を立てます。
  2. 計画: 目標を達成するために、「どんな資料を使うか」「どれくらいの時間がかかるか」など、具体的な計画を立てます。
  3. 実行とモニタリング: 計画した通りに活動を進めると同時に、「理解できているか」「計画通りに進んでいるか」などをチェックします。
  4. 評価と調整: 活動した内容がしっかり身についたか、計画通りにできたかを確認し、うまくいかなかった部分については計画を見直したり、別の方法を試したりします。

大人の世界でいう、『PDCAを回す』というプロセスに似ていますよね。

メタ認知は、メタ認知的知識メタ認知的スキルという大きく2つの要素から成っています。

これらの要素を養うことで、お子さんは自分の学ぶ方法を理解し、自分に合った効果的な学習戦略を立てることができるかもしれません。

以下ではメタ認知の要素を整理してみます。

メタ認知的知識:

  • 自己認識: 「自分はどんなふうに学ぶのが得意?」という自分の学習スタイルを理解すること。
  • タスク認識: 「この課題を解決するにはどんな知識や方法が必要か」を知ること。
  • 戦略認識: いろいろな学び方や問題解決の方法を知り、どの状況でどれを使うべきかを理解すること。

メタ認知的スキル:

  • 計画: 目標に向かってどう進むかを考えること。
  • モニタリング: 学習の過程で、自分の理解度をチェックし続けること。
  • 評価と調整: 学習方法が効果的かどうかを評価し、必要に応じて変更すること。

このように、メタ認知はお子さんが自分自身の学び方を理解し、自らを効果的に管理するための大切なスキルだということがわかるかと思います。

お子さんが自分で考え、学ぶことを楽しめるように、この力を育てるサポートをしてあげることが重要です。

メタ認知能力を育むことは、子どもたちが自分自身の考え方や学習プロセスをより深く理解し、自らの力で成長していくための重要なステップです。

家庭でこれをサポートするためには、日常生活の中で簡単に取り入れられる方法がいくつかあります。

1. 目標設定・計画のサポート

子どもと一緒に短期間や長期間の目標を設定しましょう。このとき、「何を達成したいか」「なぜそれが大切なのか」を明確にすることが大切です。目標を達成した際の具体的な結果や、その過程で期待される学びについて話し合うことが重要です。

子どもが目標に向けた計画を立てる際には、実現可能なステップに分けて考えることを意識しましょう。どの資料を使うのか、どれくらいの時間が必要なのかを一緒に考えることで、計画立案能力を高めることができます。

2. やってみて、振り返る

計画に従って活動を始めたら、子ども自身に進捗を定期的に確認させるようにしましょう。何がうまくいっているのか、または課題は何かを自分自身で認識できるようにすることが重要です。家庭での日常生活においても、小さな責任を持たせることでこのスキルを養うことができます。

計画の実行後、子どもが自分自身の行動を振り返り、評価する時間を持つことが大切です。何がうまくいったのか、何がうまくいかなかったのかを理解し、次回に向けて改善点を見つけるプロセスをサポートします。

また、日記をつけさせる、または学習したことについて話し合う時間を持つなど、子どもが自分自身の考えや感情を言語化する機会を提供しましょう。このプロセスは自己認識を高め、メタ認知能力の向上につながります。

3. 質問を通じて考えさせる

子どもが何かを学んでいるときに、「どう思う?」「他に方法はあるかな?」といった質問を投げかけることで、深く考える機会を与えます。これにより、子どもは自分の思考プロセスを意識し、問題解決能力を高めることができます。

4. モデルとなる行動を見せる

大人自身が自分の考えや学びのプロセスを声に出して説明することで、子どもに良い模範を示すことができます。自分がなぜある行動を選んだのか、どのようにして問題を解決したのかを共有することで、子どもは自分自身の思考プロセスを形成する上で参考にすることができます。

以上のようなプロセスを通じて、自己認識、タスク認識、戦略認識を高め、計画、モニタリング、評価と調整のスキルを身につけることができます。

家庭でこのような練習を積むことにより、学校だけでなく日常生活においても、自立し、積極的に成長していくための基盤を築くことができるでしょう。

メタ認知が、子どもが自分自身の学習プロセスを理解し、効率的に管理することで、学習効果を高め、問題解決能力を向上させることに役立っているかをご紹介しました。

保護者の皆さんが、お子さんがこれらのスキルを身につけることをサポートすることで、お子さんの自立心と学習への積極性を育むことができそうですね。

メタ認知能力の育成は、学校での成功だけでなく、社会で成功するための基礎を築くことにも繋がります。

ぜひこの記事をヒントに、メタ認知を育んで育んでいってみて下さい。