ギフテッド傾向の子どもが活用できる学びの場・学び方8選 (2)

「ギフテッドの子ども向けの学びの場はあるの?」
「学校以外で、子どもが特性を生かして勉強できるところはある?」

ギフテッドの子どもを持つ保護者の皆さんは、自分の子どもの学びの場を知りたいと思っていませんか?

小学校や中学校など、義務教育の授業は基礎として重要ではあります。
しかし、義務教育や集団教育の場でギフテッドの子どもの特性を活かすのはなかなか難しいこともありますよね。

今回の記事では、ギフテッドあるいはギフテッド傾向のある子どもの特性・才能を活かせる学びの場を紹介します。

この記事を書いた専門家

いけや さき


公認心理師、臨床心理士

精神科病院、療育施設、心療内科・児童精神科クリニックなど主に医療と福祉領域にて心理士として従事。発達障害の子どもたちや保護者、女性のメンタルヘルス等のサポートを行いながら、webライターとしても活動中。

ギフテッド(GIfted)とは、特別な才能を持つ人を意味しますが、学力やIQだけで判断しているわけではありません。
日本では、ギフテッドと表現せず「特異な才能のある児童」とされています。

ギフテッドは発達障害と同じだと認識している方もいますが、実は別の概念です。
以下に、ギフテッドと発達障害の違いの一部をまとめてみました。

■感情や行動のコントロール

■興味関心の強さや広さ

■知的側面

しかし、ギフテッドと発達障害という分け方以外に「2E」と呼ばれる両方の特性を持っている子どももいます。

ギフテッドの子どもはよく「高い知能があるから育てやすいのでは?」と思われがちですが、高い知能があるから困らないわけではありません。

特に、子どもの場合、学校で孤立してしまったり、無気力になってしまう子もいます。
宿題や授業に身が入らないことを「やる気がない」「わかっていないのでは?」と捉えて知能検査を受けると、高い知能を持っていたというケースも。

高い知能があっても、自分の心について言語化できるとは限りません。
現在、表面化していることだけで判断せず、知能検査や本人との対話のなかから子どもの強みを見つけていきましょう。

ギフテッドの子どもは、学校の授業に対して関心を見出せないことがあります。

学校の授業はみんなと同じペースを求められるなど、社会性や協調性が見えないところで求められていることも、苦労の背景にあるかもしれません。学校に対するモチベーションが下がり、不登校になるケースも珍しくないのです。

ここでは、出席認定になるスクールや、出席認定(※)にはならなくても「子どもの強みを活かせる居場所」になる場を8個紹介します。


「sozowスクール(小中等部)」は、小学校4年生から中学3年生までの子どもを対象にしたオンラインフリースクールです。

フリースクールは全国にもありますが、通いやすい場所にあるとは限らないですよね。
sozowスクールは、子どもが自由に自分のペースを守れる場としてオンラインを採用しています。
通学を希望の場合は、五反田駅が最寄の通学コースもありますよ。

5教科以外にデザインやプログラミングなどのオンライン授業もあり、子どもの興味関心を引き出せる仕組みが人気。
ほかにも、eスポーツ大会や動画制作活動など、将来にも活かせる楽しい場が数多く展開されています。

sozowスクールは出席認定サポートも行っているので、学校に行きにくい子どもの「オンライン学校」としても活用できます。


翔和学園(東京都)は、発達障害を持つ人や人間関係に不安がある人が、社会的自立を目指す学校として設立されました。

もともとは18歳以上の方向けでしたが、2024年現在は小中学部や高等学部、大学部を総称し「翔和学園」として多くの方々が通える場所となっています。
長野県は大学部のみです。

翔和学園の「ギフテッド2E教育」は、個別学習や小グループ活動、実験、感覚統合に基づいた運動プログラム、意欲増進につながる「プロジェクトタイム」などを展開しています。

教員だけでなく、学校に専属の臨床心理士が在籍し、精神科医の宮尾益知先生も顧問として関わっている学校です。


「デキタス」は、城南進研グループによるオンライン学習教材で勉強できる場所です。

城南進研グループでは、学習塾や予備校、乳幼児教育も展開しているため、あらゆる子どもの学習に対応できる講師陣が集まっています。
ポイントを押さえながら、楽しく学べるゲームのようなオンライン教材は、ギフテッドや発達障害の子どもに限らず、小学校1年から中学3年までの子どもから好評。

第二の学校として楽しく「できた!」を感じられる場となっています。

条件が満たせれば、小中学生の子どもの出席認定制度にも対応しています。
多くの子どもを難関校に導いている講師陣が監修している教材なので、受験を意識している方も活用しやすい場所でしょう。


あすなろは、勉強が苦手な子どものための家庭教師制度を導入している企業です。

「勉強が苦手」と聞くと、ギフテッドは対象外に感じるかもしれませんが、知能は高くても学校の授業で成果を出せていない子どもはたくさんいます。
あすなろは、「子どもに寄り添い、どんな教え方をするか」を大事にしているので、一般的な家庭教師よりも勉強だけでなく気持ちに寄り添った指導をしてくれると評判です。

ただし、家庭教師は子どもとの相性もあります。
まずは体験授業を受けてから検討されるといいかもしれません。

あすなろも、出席認定制度を扱っているので、不登校の子どもが学校復帰や受験に向けて活用できますよ。


「SOLE」は、発達支援が必要な子どもが自分らしく生きるために、個別最適学習プログラムを提供しています。

知能検査を実施し、科学的根拠から子どもにあった学び方を提案するのが「SOLE」の強みです。

実施検査は、WISC-ⅣやWISC-Ⅴなどの知能検査、STRAW-RやURAWSSなどの読み書き検査、ほかにも言語や視知覚に関する検査があり、専門家が子どもに合わせて選択しています。

主に受験を意識しているご家庭や、子どもに合う学び方で勉強する環境を作りたい方なども活用しやすい場所でしょう。


「sprinG(スプリング)」は、ギフテッド特性のある小中学生の子と、そのご家族のための居場所として誕生しました。

運営メンバーは、精神科医や特別支援教育に精通している専門家たちと、教育に強い関心を持つ大学生で構成されています。

事業の一部は、文部科学省やこども家庭庁から委託を受けているそうです。

保護者向けの事業を展開するところはまだ少なく、「sprinG(スプリング)」はギフテッドの子どもを育てる保護者同士のつながりの場としても活用されています。


ジュニアドクター育成塾は、科学技術の未来のために、高い意欲や能力を持つ小中学生を見つけて、さらなる育成に力を入れる事業です。

文部科学省の次世代人材育成事業として誕生しました。

科学の基礎をしっかり学ぶために、講義や講演、実験、施設見学などあらゆる方法で最先端の知識を勉強できます。
あらゆる分野を学んだあとで、特に興味を持つ分野を見つけ、専門性を高めていくことが目的です。


スーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業は、文部科学省が理数系教育の充実のために行なっている事業です。

SSH指定校として認定された全国225校が、理数系に特化した研究や探求、カリキュラムの開発などを行っています。
SSH指定校は毎年更新され、令和6年度は次のような学校が指定されました。

高等部が多いですが、ここでは中等部を一部ご紹介します。

■SSH指定校一例(令和6年度時点)

・長野県諏訪清陵高等学校・附属中学校
・学校法人西大和学園 西大和学園中学校・高等学校
・名古屋大学教育学部附属中・高等学校
・学校法人市川学園 市川中学校・高等学校

具体的な活動は、各校さまざまですが、例えば「熱気球制作」「電機株式会社と協働」「宇宙ビジネスを題材にした人材育成」などを行っているそうです。

ギフテッドの子どもは、高い能力を持つことから誤解をされたり、本人も自分の学校での立ち振る舞いがわからなくなることもあるでしょう。

義務教育で基礎固めをすることも大事ですが、才能を埋もれさせることなく、第二の居場所で輝ける機会をつくるのも選択肢の1つかもしれません。

Gifted Gazeでは、ギフテッドや2Eの子育てに関するご相談を専門家が受け付けています。お気軽にご相談ください。