子どもの発達障害、どこに相談すればいい?メリット・デメリットや具体的な利用方法を心理士がわかりやすく解説

うちの子、発達障害ではないか…。うちの子の発達が心配…。
など心配していたり気になっていたりする場合、どこに相談することを考えるでしょうか。
さまざまな相談先がありますが、どう選ぶとよいのか迷われる方も多いはずです。

今回は、お子さんの発達面の心配や、発達障害かどうか不安などな場合について、相談できる場所やどこに相談するかを決める判断基準の目安をご紹介します。

執筆:日塔 千裕


公認心理師・臨床心理士

発達障害や発達に心配がある子どもへの心理検査や子どもの指導、親御さん向け講座などを通して、親子をサポート。学校問題・親子関係など幅広い相談を受け、1万件を超える相談に応じる。

目安はメリットとデメリットという形でまとめさせていただいていますが、人によってメリット・デメリットの感じ方は異なります。

プラスな側面をメリット、人によりマイナスとなり得る側面をデメリットとして記載しておりますので、デメリットと感じない場合には、その機関を選択いただくとよいでしょう。


お子さんが通っている学校に来ているカウンセラーです。

メリット・日頃通学している学校のため、最も家から近く、立地という観点で利用しやすい。
・学校での様子も見てもらいながら相談できる可能性もある。
・無料で相談できる。
デメリット・スクールカウンセラーが学校に来る曜日や時間が限られる。
・学校の先生に、相談していることが知られる。
・相談室に入るところを見られ、お子さんの同級生等に相談していることを知られる可能性がある。
・卒業・入学のタイミングではまたゼロから話さないといけない可能性がある。
利用方法・原則、予約制で決められた曜日・時間に学校内の相談室などに出向くようになります。
・直接カウンセラーに予約できる場合もあれば、担任を通して予約する場合など、予約形態は異なるため、まずは学校内で確認してみてください。

児童相談所は、18歳未満のお子さんに関することなら何でも相談ができる機関です。
地域によっては、こども相談センター、子ども家庭総合相談所など名称が異なります。
お住まいの(都道府県+)市区町村と児童相談所というキーワードでネット検索いただくと、居住地域を管轄している児童相談所とその名称が確認できます。

メリット・18歳になるまでは継続的に相談できる。(担当は変わる可能性はあります)
・原則的に園や学校等に知られることなく相談することができる。
・無料で相談できる。
デメリット・公的機関のため、平日9‐17の相談が基本。
・居住地域によっては遠方の場合もある。
・高3は、原則的に18歳になった時点で相談対象外となる。
利用方法・予約制で児童相談所に出向くことが基本です。
・まずは平日の開庁時間に電話をして、こういう相談をしたいということを伝えてみてください。

主に小学生から高校生までのお子さんに関する相談を受けている機関です。
教育と名につく通り、学校に関連することを相談の中心としていますが、発達障害に関しては学校とも切り離せない困りごとのことが多いため、相談いただいてよいでしょう。
地域によっては、小学校入学前のお子さんの相談を受けている場合もあります。
お住まいの(都道府県+)市区町村と教育相談というキーワードでネット検索してみてください。

メリット・学校問題が得意(他の機関で学校問題と関連した相談ができないわけではありません。)
・原則的に学校等に知られることなく相談することができる(希望すれば連携等に対応してもらえる場合もある)。
・無料で相談できる。
デメリット・公的機関のため、平日9‐17の相談が基本。
・居住地域によっては遠方の場合もある。
利用方法・継続的に積み重ねのある相談をする場合には、予約制で出向いての面談となります。
・まずは平日の開庁時間に電話して、こういう相談をしたいということを伝えてみてください。
・電話での相談も設置されています。地域によっては、電話でも継続的に相談できる場合もありますが、多くの地域では電話相談の場合だと1回ごと、前に話した内容も必要に応じて繰り返す必要がある形での相談となります。

母子保健や精神保健、健康相談を受けている機関です。
乳幼児健診で馴染みがある方が多いかと思います。

乳幼児の発達・健康面の相談はどの地域でも受けていますが、学齢期の相談に関しては地域によって、どのような相談を受けているか(受けていない場合もある)変わってきます。

お住まいの(都道府県+)市区町村と保健センターでネット検索いただき、お住まいの地域の保健センターがどのような相談窓口を設けているか確認してみてください。

メリット・乳幼児期は、乳幼児健診を踏まえて、発達状況を把握してもらいながらの相談が可能(状態のすべてを話す必要がない)。
・原則的に園・学校等に知られることなく相談できる。
・無料で相談できる。
デメリット・公的機関のため、平日9‐17の相談が基本。
・居住地域によっては遠方の場合もある。
・小学生以上の相談は、地域により、受けているところと受けていない(得意としていない)ところがある。
利用方法・乳幼児健診をこれから受ける場合には、そのときに相談してみましょう。
・それ以外の場合は、まず電話でこういうことを相談したいと伝えてみてください。

発達障害がある方が安心して社会生活を送れるよう、総合的な支援を行う機関として設置されています。
元々、成人の発達障害者を対象に設置された経緯があり、子どもを対象としているかどうかは地域によって異なります。
お住まいの(都道府県+)市区町村と発達障害者支援センターというキーワードで検索してみてください。
ホームページに子どもに関することも書かれていれば、お子さんの相談もできます。

メリット・発達障害に特化しているため、発達障害に関しては、ほかのどの機関よりも特に詳しい。
・園・学校等に知られることなく相談できるが、地域連携として連携してくれる場合もある。(連携を希望しない場合はその希望を伝えましょう。)
・無料で相談できる。
デメリット・子どもの相談を受けているかは地域により異なる。
・公的機関のため、平日9‐17の相談が基本。
・居住地域によっては遠方の場合もある。
利用方法・まずはお住まいの地域の発達障害者センターが子どもの相談も受けているか、ホームページで確認してください。
・子どもの相談も受けているようであれば、まずは電話して、こういう相談をしたいと伝えてみましょう。

発達に関する面を専門的に診てもらえる医療機関の診療科は、児童精神科、小児神経科です。
発達外来と標榜しているところも専門的に診てもらえます。
また、小児科でも、子どもの心相談医がいる場合には診てもらえます。

メリット・医療的観点(診断や薬物療法)から相談したい場合には、医療機関での相談が必要。
・かかりつけの小児科で相談が可能な場合は、身体の面・心の面と同時に相談可能。
デメリット・専門科(児童精神科・小児神経科・発達外来等)は非常に混んでおり、予約が数か月~半年、1年先になることが多い。
・医療保険分の費用はかかる(地域により、子どもの年齢で助成がある場合は無料になる場合もある)。
・30分や1時間など、じっくりとした相談は難しい。
利用方法・まずはかかりつけの小児科医に心配なことを伝えてみましょう。
・かかりつけ医で相談が難しいようであれば、その地域で相談できる医療機関がどこか聞いてみてください。
・かかりつけというほど最近、医療機関にかかることがなくなっているという場合には、お住まいの(都道府県+)市区町村と、児童精神科・小児神経科・発達外来などのキーワードを組み合わせてネット検索してみてください。「子どもの心相談医」とネット検索いただくと、その医師が在籍している医療機関を検索することもできるので、そこから利用しやすい医療機関を見つけることも方法です。
・利用しやすいところから、まずは電話して予約時期についてお問合せを必ずしてください。風邪等での受診と違い、飛び込みで医療機関に行っても診てもらえませんので、ご注意ください。

私設のカウンセリングルームやカウンセリングサイト等で、発達に詳しいカウンセラーがいれば相談可能です。

メリット・カウンセラーを自分で選ぶことができる。
・相談対応可能時間は、そのカウンセリングルームやカウンセリングサイト等に準じるため、平日夜や土日祝にも対応していることが多い。
・電話やメール、チャット等の相談手段も選択可能。
デメリット・費用がかかる(金額はカウンセリングルームやカウンセリングサイトによる任意設定のため、金額はさまざま)。
・お子さんの様子を見ることなく、親御さんとの相談を軸に、親御さんへのサポートが中心(親御さん自身が自分のお子さんとの向き合い方や対応方法を相談したい場合にはお勧め)。
利用方法・カウンセリングルームやカウンセリングサイト等の予約方法に準じる。

さまざまな相談機関があるため、どこに相談すべきなのか迷われる方も多いことでしょう。
機関名で伝えても、親御さんと人との相性もあるため、完璧に合う相談相手を見つけることは難しいという場合もあるかもしれません。
まずは距離や、ご自身・ご家庭の生活スタイル等で利用しやすいところで相談してみることがよいでしょう。

発達面に関する相談は、一度の相談ですぐに解決というわけではなく、経過を見ながら相談を積み重ねていくことが必要なことが多いです。
そのため、相談に行くことが負担になりすぎてしまうと続かないため、月1回程度、このくらいなら行けるかなという場所を選ぶとよいでしょう。

メリット・デメリットは一例ではありますが、ご自身に合った相談機関を見つける参考にしていただけたらと思います。