Gifted Gaze
学びの機会を広げよう!

自然教育は、創造的な問題解決能力を養うことで子どもの学習能力を高めたり、将来にわたって幸福感を高めることにも効果的であるとされています。

生物学者であり作家でもあるレイチェル・カーソンが、今生きていて、自然と触れ合うことの大切さについてインタビューに答えてくれるとしたらどうでしょうか。

このインタビューを通じて、レイチェル・カーソン自身の幼い頃の経験と自然界との絆が、彼女の科学と文筆活動にどのように影響を与えたかを掘り下げながら、子どもたちが自然の中で学び感じることの大切さを探ってみたいと思います。

自然を通して学ぶこと、また自然を愛する心を育むことの価値を改めて感じていただければと思います。

※本インタビューは、実際にレイチェル・カーソンにインタヴューを行ったわけではなく、史実や彼女の作品の情報を基に推測した仮想の回答です。

  

レイチェル・カーソン


1907年にアメリカで生まれた海洋生物学者であり、環境保護運動の先駆者です。彼女の最も有名な著作『沈黙の春』は1962年に出版され、化学物質が野生生物に与える深刻な影響を明らかにしました。環境に対する公共政策の変化を促し、現代の環境運動に大きな影響を与えました。

カーソンは自然への深い愛と敬意を持ち、その美しさと複雑さを科学的かつ詩的な言葉で伝える才能がありました。彼女の作品は、科学的な事実と個人的な観察を融合させ、多くの人々に自然の保護の重要性を理解させます。彼女は、自然との一体感を感じることが、人間の精神的および感情的健康にとって不可欠であると信じ、子どもたちが自然の中で学ぶことの重要性を強調していました。

―あなたの代表作『沈黙の春』は、経済成長の裏にある環境破壊の事実を表面化し、歴史的に社会的な論争を巻き起こしましたね。具体的には、何を描いたのでしょうか。

レイチェル:自然とその複雑な生態系を尊重し、保護することの重要性です。私たちの日々の選択が環境にどのような影響を与えるかを理解し、持続可能な方法で行動することが求められます。例えば、化学物質に頼らない害虫管理方法を学び、実践することや、自然を観察し、その美しさと重要性を子どもたちに教えることができます。環境への影響を考慮した選択をすることで、子どもたちの未来をより良いものにすることができるのです。

『沈黙の春』では、環境への無思慮な化学物質の使用が引き起こす広範囲にわたる生態系への影響を明らかにし、環境保護のための法律や政策の変更を促しました。


―『沈黙の春』を読むと、あなたの自然への愛や畏怖が感じられるのですが、ご自身はどのような幼少期を過ごしてきましたか。

レイチェル:自然がいつも近くにありました。私はペンシルベニア州のスプリングデールという自然が豊かな場所で育ちました。森や川で多くの時間を過ごして、自然界の様々な生き物や植物に深い興味を抱いていました。気づいたら、自然というものに心が強く惹かれていることに気づきました。

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―特に心に残っている体験はありますか?

レイチェル:子どもの頃に母と一緒に自然探索をしたことです。私の母は、教師で、よく私に自然への愛と教育の重要性を教えてくれていました。母から読書の楽しさを学び、文学と科学の両方への関心が育まれたと思います。私の学問的な興味の元となって、後に環境科学者としてのキャリアを歩むきっかけともなりました。

私と母はよく森を散策して、そこで見つけた植物や動物について多くを学びました。母は植物の名前や動物の生態について教えてくれて、その生き物がどのようにして生活しているのかについても物語にしてよく説明してくれました。

春になると、母と一緒に野鳥の観察に行って、野鳥の巣を見つけ、その観察日記をつけるのが楽しみでした。鳥たちがどのように巣を作り、卵を孵し、子育てをするのかを学びました。こういった体験が、私に大きな影響を与え、生物とその生息環境に対する深い敬愛と、自然を守りたいという使命感を育てたんだと思います。

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自然と直接触れ合うことは、私の科学者としてのキャリアにおいてとても価値ある役割を果たしましたし、『沈黙の春』を書く際のインスピレーションにもなりました。単なる科学的な調査や研究だけでなく、私が幼い頃から育んできた自然への愛と尊敬を込めています。


―あなたの未完の著書『センス・オブ・ワンダー』について、込めた想いを教えてください。

レイチェル:この作品は、私が生涯を通じて強調してきた、自然に対する畏敬の念と好奇心を育むことの重要性に焦点を当てた作品です。この本は私の死後、1965年に出版されました。残念ながら、私はこの本を完成させることができませんでしたが、私の多くのエッセイと講演を基に、友人たちが編集し出版にこぎつけてくれました。

繰り返すようですが、子どもたちにとって自然の中で活動をすることは、ただ遊ぶ以上の意味があります。自然の中で過ごす時間は、子どもたちが世界を理解し、自分自身との関係を深めるための貴重な機会です。自然の中で過ごすことで、子どもたちは多くの重要なスキルを学びます。

五感を使って自然を感じ取ることで、子どもたちの無限の創造性が刺激されます。

視覚を通じて、自然の美しさと多様性を直接目の当たりにし、色や形の違いを学びます。

触覚を使って、樹皮の感触や石の冷たさを感じ、科学的な探究心を刺激します。それだけでなくその温度や形状から物理的な特性についても理解を深める機会となります。

木の枝で小屋を作ったり、川で船を浮かべたりすることで、想像力が豊かになります。

聴覚を通して、森の中で葉が風に揺れる音や、川の流れる音を聴き、鳥たちの会話に耳を澄ませることで、自然のリズムを感じ取ります。

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特に嗅覚は、人間の感覚の中でも特に強い記憶と感情を呼び起こす力を持っています。

潮の香りや、雨が降った後の土の匂い、草花の香りは、子どもたちがその瞬間に感じた感情や体験と結びつき、生涯にわたって自然の体験を思い出させることができます。森林から漂う木々の香りはリラックス効果もあり、自然の香りは子どもたちの心の健康にとっても非常によく、長期的に幸福感を高める効果も期待できます。

自然の美しさや壮大さに触れることは、子どもたちに世界の広がりを教え、自分が生きる環境を大切にする心を自然に育むことができるのです。


―子どもたちの学びにおいて重要なことはありますか?

レイチェル:学問的な知識を得たり、単に物事を知るということは、「感じる」ことの価値には到底及ばないと思っています。自然との繋がりを深めることが、ただ知識を学ぶこと以上に重要です。

私の母が教えてくれたように、自然を「感じる」ことは、私たちが生きる世界についての深い理解と愛を育む基礎となります。この感覚的な経験は、私が科学者としてだけでなく、作家としても自然の美しさと弱さを伝えるための大きなモチベーションとなりました。

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先ほどの質問に対する回答に付け加えると、『沈黙の春』で伝えたかったのは、環境問題に対する科学的な事実だけではなく、私たちがどのように自然を「感じ」、それにどのように反応するかということです。

自然とのつながりを感じることで、自然を守るために行動を起こすことの重要性を、より多くの人々に理解してもらいたかったのです。自然と共にある喜びと、それを失う悲しみを、より感じ取ってもらえることが、自然を守っていくことへの第一歩だと信じています。

―あなたは養子を迎えていますね。どのような動機で養子を迎えましたか?

レイチェル:甥のロジャー・クリスティーを育てました。彼の母親である私の姉が亡くなった後、ロジャーが5歳の時に彼の後見人になりました。私がロジャーを育てたのは、家族への愛と責任感からでした。

彼を育てることで、私の生活に新たな目的と喜びを感じることができました。もちろん、私にとって大きな挑戦でもありましたが、彼との絆は私の生活に多大な充実感を与えてくれました。

子どもと過ごす時間の中で自然界の素晴らしさを共有し、ロジャーに環境への理解と尊敬の気持ちを育てることができたのは、私にとって非常に価値のある経験でした。私の著作や環境に対する取り組みにも、ロジャーとの関係が大きく影響を与えています。

ロジャーとはよく海辺を訪れていました。一緒に潮の満ち引きを観察して、砂浜で見つけた様々な生物について学ぶことが私たちの共通の楽しみでした。全ての瞬間が、ロジャーに自然の不思議と科学的な探究心を教える貴重な機会でしたね。

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―子育てにおける重要なポイントを教えてください。

レイチェル:子どもたちが自然とのつながりを持つことの重要性を誰よりも強く信じています。自然への愛と尊敬を教えることが一番大事だと思っています。

私たち大人は、子どもたちに自然の中で時間を過ごす機会を与え、彼らが自分の感覚で世界を発見できるようサポートする責任があります。この経験が、子どもたちの一生を通じて、自然を守るための情熱と行動へとつながるのです。

自然は、単なる遊び場ではなく、学びと発見の場です。書籍や教室内の学習だけでなく、直接的な経験や自然界との触れ合いを通じて学ぶことの価値は計り知れません

教育は全人的であるべきで、知的な成長だけでなく、感情的、社会的、霊的な成長も同等に重要です。

子どもたちより広い視野を持ち、環境に対して責任感を持って行動する大人に成長することを願っています。

 


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レイチェル・カーソンの未完の著書『センス・オブ・ワンダー』では、日常生活の中で自然界の美しさや神秘を見つけ出し、感じ取ることの大切さを説いています。

この「ワンダー」とは、驚きや畏敬の念、そして世界に対する深い感動を指していて、特に自然界の美しさ、神秘性、そして複雑さに対する心からの驚愕と魅了を意味しています。

「ワンダー」を感じる、つまり自然界のさまざまな現象に心を奪われる経験は、子どもだけでなく大人も含めて、誰もが持つべき重要な感情です。

この感情が、子どもの好奇心や情熱と支え、人々が自然界とのつながりを深め、それを守るモチベーションになります。

海辺や森の中を歩いたり星空を眺めることができなくても、公園の木の葉の色を眺めてみたり、窓から見える移りゆく1日の空の色について話してみたり、日常的な自然体験を通じて、このワンダーを体験してほしいです。

実は筆者も、田舎で育ち、自然とふれあいながら過ごしてきました。だからこそ、彼女の「学問的な知識を得たり単に物事を知るということは、「感じる」ことの価値には到底及ばない」という言葉が心に深く響いています。

自然教育は、「ネイチャーラバータイプ」(博物)の傾向が高いお子さんにとって、特に効果的な教育手法です。

ネイチャーラバータイプ

才能発掘診断は、Gifted Gazeが提供する、子どもの才能や特性を発掘する診断テストです。

親御さんがお子さんについての約100問の質問に答えて、「多重知能理論」(「MI理論」)に基づく知能特性と非認知能力を推測することができます。

才能発掘診断で、お子さんの個性や才能を見つけてみましょう。

  

参考文献