学力やIQなどは「認知能力」と呼ばれていますが、この「認知能力」とは異なる、「非認知能力」というものが、子どもたちが将来幸せで充実した人生を送る上で非常に重要な役割を果たします。
最近では耳にする方も増えたのではないでしょうか。
今回は、この非認知能力の要素の一つである「勤勉性(誠実性)」について解説してきます。
こちら。
非認知能力に関する記事一覧は目次
非認知能力とは
「非認知能力」とは、学力やIQなどに代表される「認知能力」以外の能力のことで、人間の内面的なスキルです。
非認知能力は将来の幸せの指標とも言われており、子どもが豊かな人生を歩んでいく上で大切な「力」です。
非認知能力には様々な要素があり、それぞれの要素は周りの人との関わり合いの中で育み、時間と共に発達していくものです。
非認知能力は、能力という位置づけで捉えられたり、性格の一つの側面としても捉えられることもあります。
こちらの記事で詳しく説明しています。
非認知能力については勤勉性(誠実性)について
「勤勉性」とは、忍耐力や継続力の強さ、逆境指数を言います。
勤勉性が高い人は、目標達成に向けて組織的かつ計画的に取り組む能力があり、信頼性が高く、細部にまで注意を払います。
自己規律を保ち、義務や約束を重んじ、タスクを始めると完成させるまで頑張る、というようなところがあります。
勤勉性の特徴には以下のような要素があります:
- 計画性:事前に計画を立て、効率的にタスクを遂行します。
- 責任感:自分の行動とその結果に対して強い責任感を持ちます。
- 自己規律:目標に向かって一貫して努力し、誘惑に負けずに作業を続けることができます。
- 成果志向:高い基準を設け、優れた成果を目指します。
- 慎重さ:衝動的な行動を避け、リスクを慎重に評価します。
勤勉性が高い子どもは、しっかりと責任を果たし、求められる成果を出すことで、先生や友達からの信頼を得やすいです。
学校の宿題や家庭のお手伝いなど、自分に与えられた任務に対して高いモチベーションを持ち、目標を達成するために一生懸命努力します。
しかし、あまりにも勤勉性が高いと、完璧を求めすぎて柔軟性に欠けることがあり、自分自身だけでなく、周りの友達に対しても高い期待を持ちすぎてしまうことがあります。
これは子どもにとって大きなストレスとなり得るため、保護者は注意が必要です。
子どもが自分自身に対して厳しすぎないよう、そして他人に対する期待が過剰にならないように、大人がサポートすることも大切です。
目標を達成しようとする姿勢は素晴らしいことですが、時にはリラックスする時間も必要です。
勤勉性は、学校の成績だけでなく、個人的な趣味やスポーツ、日々の生活習慣の維持にも役立ちます。計画性があり、自己管理が得意な子どもは、将来的に多くの領域で成功を収めやすいとされています。
勤勉性(誠実性)を高める日常生活での実践方法
勤勉性は、子どもが自己管理能力を高め、責任感を持ち、目標達成に向けた粘り強さを培うための大切な要素です。
具体的に、勤勉性をどう高めていけばいいのか以下にご紹介します:
1. 定期的なルーチンの設定
- 具体的なスケジュール作成: 子どもと一緒に、日々の活動スケジュールを作成します。例えば、朝7時に起床、7:30に朝食、放課後は4時から5時まで宿題時間、5時から6時まで遊び時間といった具体的な時間帯を設定します。
- ビジュアルエイドの活用: スケジュールを視覚化し、子どもが自分の活動を追跡しやすくします。大きなカレンダーやカラフルなステッカーを使用して、子どもが楽しみながらルーチンに従えるように工夫します。
- 一貫性と柔軟性のバランス: 毎日のルーチンを一貫して維持することを目指しつつ、予期せぬ変更が必要な場合は柔軟に対応します。このバランスを教えることで、子どもは計画性と適応性の両方を学びます。
2. 目標設定を助ける
- SMART目標の導入: 子どもと一緒に、具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性がある(Relevant)、時間制限がある(Time-bound)目標を設定します。例えば、「今週中に数学の練習問題を10問解く」といった目標です。
- 進捗の追跡: 目標達成に向けた進捗を追跡するためのシンプルなツールやアプリを使用します。子どもが自分の進捗を視覚的に確認できるようにすることで、モチベーションの維持につながります。
- 目標達成を強調する: 子どもが目標を達成した際には、それを強調してあげましょう。些細な出来事や家庭でのイベントなどを通じて、努力の価値を認め、次の目標達成に向けた意欲を高めます。
3. 責任感のあるタスクの割り当て
- 年齢に応じた責任: 子どもの年齢と能力に合わせて、家庭内での責任あるタスクを割り当てます。小さな子どもには、おもちゃの片付けやペットの給水などの簡単な任務から始め、年齢が上がるにつれて、食器洗いや洗濯の手伝いなど、やや複雑なタスクを割り当てます。
- タスクの明確化: 割り当てるタスクは明確で理解しやすくする必要があります。何を、いつ、どのように完成させるかを具体的に説明し、必要であれば初めの数回は一緒に行います。
- フィードバックと評価: タスクの完成度に応じてポジティブなフィードバックを行い、改善のための具体的なアドバイスを提供します。子どもが自己効力感を感じられるように、成果を正しく評価することが大切です。
非認知能力の調べ方
2012年にハワード・ガードナーが提唱した「多重知能理論」(「MI理論」)は、人間の知能が一つではなく、様々な形で現れると示したものです。
この理論に基づく研究では、子どもたちが様々な活動に参加することで、異なる種類の知能が刺激され、全体的な学習能力と創造性が高まることが示されています。
多様な経験が子どもたちの知的好奇心を養い、新しいスキルの習得に対する意欲を高めることが確認されており、勤勉性(誠実性)のみならず、他の非認知能力の要素も高められるのです。
「才能発掘診断」では、非認知能力を測定するメジャーな指標「ビッグ・ファイブ」に、子どもたちの学びに向かう姿勢に影響する「自己肯定感」を加え、勤勉性(誠実性)はもちろん、他の非認知能力の要素の状態も推測することができます。
他にも、上記のMI理論に基づいて、もともと持っている知能のバランスを踏まえて個性や才能を見つけ、効果的な学び方もお伝えしています。
他者と関わりながら成長し、社会の中で生きていくための人間力を育むヒントしてみてください。
才能発掘診断から子どもたちへのメッセージ
現時点の勤勉性(誠実性)が高くても低くても、それぞれのいいところがあります。
ただ、非認知能力の各要素を一定水準高めていくことで、異なる背景をもつ人々との交流が加速され経験に深みが出たり、価値観が広がり、社会に出た時にいい影響をもたらす可能性が高いと言われています。
子ども自身のペースや性格を尊重してバランスをとりながら身につけていくことがよいでしょう。
勤勉性(誠実性)が高い子どもたちへ
あなたの勤勉性と責任感の強さは、目標を達成するための非常に重要な資質です。自分に課された任務に対して一生懸命に取り組み、それを完遂することは、あなたが信頼できる、頼りになる人物でしょう。
粘り強さと計画性を持って物事に取り組むことができるあなたは、困難な状況でも最終的には成功へと導く力を持っています。あなたが自分自身と自分の時間をうまく管理し、自分の目標に向かって着実に進むことができるので、周りからも信頼されます。
時にこだわりが強く、秩序を重視しすぎるときもあるかもしれませんが、物事を細部にわたって注意深く見て、品質と効率を追求できている証拠です。勤勉で責任感が強く、粘り強いという特性は、どんな挑戦にも立ち向かい、目標を達成するための強固な基盤となるでしょう。
勤勉性(誠実性)が高くない子どもたちへ
あなたの自由な精神と、瞬間の感情や直感に従って行動する能力は、創造性と柔軟性の源です。計画性がないと感じることがあっても、それはあなたが新しい体験やアイデアに対してオープンであることを示していて、常に変化と成長を求めるあなたのエネルギーと情熱のあらわれです。
自分の内なる声に敏感で、周囲の環境や人々の感情に対して新鮮で深い洞察力を持っていることも意味しています。また、直感に従って身軽に行動に移すことができるので、他の人なら見落としてしまうような素敵なチャンスを逃さず、きちんとつかむことができるでしょう。
時には計画性がないと感じるかもしれませんが、それもあなたの自由な精神の一部です。あなたの直感と行動力を信じ、自分の情熱に従ってください。人生を豊かにする貴重な特性なのです。
おわりに
そのため、勤勉性を持つことはとても価値のある特性ですが、バランスを取りながら、子どもがストレスを感じすぎないようにすることも、成長をサポートする上で非常に重要です。
子ども自身と周りへの期待を適切に保ちながら、勤勉性を育めるといいですね。
こちら。
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