学校選びに疲れた?「いい学校」を選ぶためのたった2つの意外なポイント (1)

子どもたちの園や学校選び、教育について、多くの保護者が悩みを抱えることと思います。

私も二児の母として、同じように悩みながら、様々な書籍を読み、たくさんの情報を集めてきました。

そして外来で多くのご家庭やお子さんと接する中で、一つの結論に至りました。

「完璧な学校なんてないんだ」と。

保育園や学校の先生方には日々感謝しています。

子どもたちを安全に預かり、成長を見守ってくださることは、親として本当にありがたいことです。

しかし、どんなに素晴らしい教育理念を掲げていても、すべての子どもに完全に対応できるわけではありません。

今回は、子どもたちの教育機関選びに対する私の考えや体験を共有し、保護者の皆様が抱える不安や疑問に少しでも寄り添える内容をお届けします。

白井沙良子

私も二児の母として、子どもの園や学校選び、教育についてはたくさん悩んできました。

読書フリークなので、知育や教育、子育てに関する書籍は100冊以上、読んできました。

外来で、様々なご家庭やお子さんも拝見してきました。

…そして、今、思います。

園や学校には、期待しない」のが正解だと。

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大前提として、保育園や学校の先生方には、日々感謝しています。

フルタイム共働きとして、安全に預かっていただいていることはもちろん、息子たちの良いところに目を向け、成長を喜んでくださり、これ以上申し上げることはありません。

この「これ以上申し上げることはありません」の部分が、「期待しない」ということです。

「期待しすぎない」というと、もっとわかりやすいでしょうか。

完璧な学校なんて、ないんだよ。」

千代田国際中学校の校長である日野田直彦先生が、とある子育てセミナーでおっしゃったセリフです。

日野田先生ご自身も、数々の学校改革に取り組まれ、各学校や、先生方へのリスペクトが大前提にあってのご発言です。

「”どんな子どもも、取りこぼさないぞ!”という気概をもった教育機関に出会いたいのですが、どうしたら良いですか?」という一人の保護者からの質問に、答えたセリフでした。

「学校に全部求めるのは、ムリよ」ともお答えになっていました。

これだけ聞くと、冷たいセリフだと思われるかもしれません。

でも、私は激しく同意しました。

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多様性が叫ばれる中、様々な医学的・社会的にバックグラウンド/困りごとを持っている子どもも一律に学べる教育機関が求められています。

たしかに、学習障害を含めて発達障害を持つお子さんや、経済的に困窮しているご家庭のお子さん、医療的ケア児を含む様々な疾患をかかえたお子さん。

小児科医としても一母親としても、こうしたお子さんにも学びの機会が確保されていることは、もちろん望ましいと考えます。

でも、それを1つの学校だけで満たすのは「無理ゲー」ってやつです。

もちろんどんな学校の先生だって、生徒を尊重したいと思ってる。生徒だって、その学校で学びたいと思ってる。

でも、人間ですから。いろんな相性がありますよね。

集団生活の中で、個別に対応できる工夫にも限界があります。

どんなに素晴らしい(とされている)学校で、どんなに素晴らしい(といわれている)先生が、どうがんばっても、100%満足!というわけにはいかないよな、と思うのです。

これは学校に限らず、幼稚園や保育園でも同じことが言えます。

どんなに素晴らしい教育理念を掲げていたり、歴史的な伝統があったりしても、結局「目の前の我が子」に「今」関わってくれる先生たちとの相性や考えにマッチしないと、不満は出てくるわけです。

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園や学校を探す上で、保護者が「自分自身の理念や子育ての軸を再認識する」ことができる、という目的が達成できれば、それで十分

「完璧な園や学校」を探すことはできないし、意味がないと思います。

入園や入学した後に、親子ともどれくらい満足できるかどうかは、結局、時間が経ってみないとわからないのです。

つきつめると、園や学校は「最低限」でいい。

というか「最低限」が良い、と思っています。

現に私の長男は近所の公立小学校、次男は近所の認可保育園に通っています。

まず「かかるお金」が最低限。

私立の幼稚園や小学校と、公立のそれとでは、大きければ数百万円以上の差が出ることもありますよね。

インターナショナルスクールはさらに破格の場合も。

もちろん憧れの園や学校に、しっかりとお金をかける。これも一つの教育の形だと思います。

ただし、我が家は、「1つの小学校」だけに、大きなお金を割こうという思考回路にはなりませんでした。

まず息子たち2人を見ていると、1つのことに深く没頭するというよりは、興味の対象や価値観が、短いスパンでどんどん変わっていくことがよくわかります。

色んなものをつまみ食いしていくタイプです。

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小学校に入ると、ますます興味が広がり、個性も出てくる時期です。

子どもたちが自分で「自分は何が好きなのか。何が得意なのか。」を見つけるためには、学校以外の場所で、トライアンドエラーを繰り返す場をたくさん用意してあげたいと思っています。

おもちゃ、本、習い事、旅行、キャンプ。興味を広げる方法はたくさんありますが、いかんせん、基本的には全部お金がかかりますよね。

学校にかかるお金を最低限にすることで、少しでもこういった「うちの子にあわせたオプション」にお金をかけたいのです。
そして「宿題」が最低限。

これは学校や地域によって様々だと思いますが、たとえば概して私立小学校は、全体的に宿題が多い傾向があるように思います。

中には幼稚園でも、私立だと宿題や課題のようなものが毎日出るところもあります。

有名なデューク大学の研究をはじめ「小学生には少なくとも、宿題は意味がない」という研究結果が出ています。

もちろん、家庭学習の習慣がつくことは素晴らしいかもしれません。

ただし「学校からこれをやりなさい、と言われたものを、やりなさいといわれた方法でやる」という行為に割く時間は、私は極力少なくしたいと思っています。

「学校えらび、最後は”嗅覚”です!」

こちらも、日野田先生のセリフです。

最高に響いた言葉でした。

完璧な学校は、そもそも探せないし、求めるのはナンセンス。

たとえどんなに良いとされている園や学校に入っても、子どもや家庭にマッチするのか、未来のことは誰にも予測できないものです。

でも、できれば最善の選択をしたい。

そんなとき、最後の決め手となるのは「嗅覚」だと。

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偏差値でもなく、世間一般的な印象でもなく、HPに書いてある学校の理念でもなく、保護者と子ども自身の「嗅覚」だと。やることやったら、あとは天命に任せる的な感覚と似たようなものだと思います。

そして「嗅覚」で選んだあとは、「この園や学校が、自分にとってベストな場所である!」と強く信じる力も、非常に大切だと思います。「御縁をいただいた場所で、輝こうとする努力」ですよね。

園や学校選びだけではなく、人生には様々な選択の場面が訪れます。

どんなときも「完璧」を求めたり「完璧」に期待したりしないこと。

そして日々子どもを観察したり、自分の子育て軸を確立していきながら、最後は「嗅覚」に任せ、あとは「この選択はベストだった」と強く信じて進むこと。

私も母親として、改めて心がけていきたいと思っています。

白井沙良子