「思い通りにならないと怒る」
「学校から帰ると毎日癇癪を起こす」
「注意するとすぐ逆ギレする」
日常の中でこんな子どもの様子に戸惑ったり、不安になったりすることはありませんか?
でも、怒りや癇癪にはかならず“理由”があります。それは決して「わがままだから」という側面だけで片付けられるものではありません。
この記事では、子どもの怒りや癇癪の背景にある感情や原因を紐解きながら、保護者ができる対応について、場面ごとにわかりやすくご紹介します。
学校ではいい子なのに、家で癇癪を起こす理由とは?
過剰適応?
お子さんが、「学校では問題なく過ごしています」と言われるのに、家では癇癪を繰り返す。
こんな様子が見られたら、「過剰適応」と呼ばれる状態かもしれません。
子どもが外で必要以上に頑張って適応しようとするあまり、家という安心できる場所で気が緩み、一気に感情を爆発させてしまうケースです。
これは必ずしも悪いことではありません。むしろ「家では安心して感情を出せる」という証拠でもあります。
ただ、癇癪があまりにも頻繁で親の負担が大きい場合は、次のような対応が考えられます。
- 学校と連携する:担任の先生に家庭での様子を共有し、学校でも少し力を抜けるサポートができるか相談する。
- 家庭でも感情を言語してあげる:「きっと疲れたんだね」「外で頑張ってきたんだよね」と、癇癪の背景にある感情を代弁してあげる。
- 安全な環境を確保する:癇癪中は無理に関わらず、まずは安全を確保しつつ落ち着くのを待つ。
以上のように、癇癪は「今日もよく頑張った」のサインかもしれないという視点も持ってみると良いでしょう。
子どもの怒りには生活習慣が深く関係
睡眠と朝食が感情コントロールに与える影響 |「生活リズム」と「怒り」は深くつながっている
夜更かし、朝食抜き、睡眠不足。こうした生活習慣の乱れは、想像以上に子どもの情緒面に直結してしまいます。
多くの研究でも、睡眠不足の子どもは感情が不安定になりやすく、怒りっぽくなる傾向があることも示されています。
親として意識したいのは、「叱る」のではなく「気づかせる」声かけです。
- 「今日はよく寝たから気分がいいね」と、快適な感情と生活習慣を結びつけて伝える
- 「イライラするのは、寝不足かもしれないね」と、原因の可能性を示すフィードバックをする
親自身も「今日はイライラしてるから早く寝るね」といった行動で示すことで、“生活習慣が感情を整えるんだ”というメッセージを、子どもに対して自然に伝えていくことができます。
子どもが怒りっぽいのは性格?それとも別の理由?
子どもがすぐに怒る、癇癪を起こすといった場合、まず考えたいのは「なぜ怒っているのか?」という視点です。
原因は大きく以下の4つに分けられます。
子どもの怒りを“問題”と捉えるのではなく、「どんな背景があるのかな?」と、一歩引いて観察することが大切です。
怒りは一次感情ではなく、「悲しい」「悔しい」「疲れた」などの感情の上に現れる“二次感情”であることも多いのです。
子どもが「怒るべき時」に怒らないのは問題?
「怒っていい場面なのに、何も言わずに我慢している」
そんな様子が見られる子もいますよね。
ただ、怒りの代わりに「悲しい」「悔しい」などの感情が表現できているのであれば、無理に怒る必要はありません。
心配なのは、“無”の状態、つまり感情そのものを出せなくなっている場合です。
そんな時は、「そのとき、どんな気持ちになった?」とやさしく問いかけてみましょう。
子どもにとって、「ここは気持ちを出しても安全な場所なんだ」という感覚が育つことで、怒りを含む感情表現は少しずつ豊かになっていきます。
癇癪中に叱っても意味がない?冷静な対処のすすめ
“効果的な無視”?クールダウンとは
癇癪中の子どもに話しかけても、実はほとんど耳に入っていません。
この状態では「無視」ではなく「クールダウン」や「タイムアウト」と言われるような、”効果的な無視”です。
- 子どもが感情的になったら、「2分だけお互いに静かに座ってみよう」とクールダウンの時間を取る
- 子どもが落ち着いた後に、「なぜ注意したのか」「どんな気持ちだったのか」を冷静に伝える
また、注意の仕方も「行動×価値観」に焦点を当ててみてください。
「人を叩いちゃダメ!」
「人を大切にするあなたでいてほしいな」
伝える内容の本質が、“子どもの価値”に基づいていることが大切で、子どもにとって納得と安心を生み出すことにもつながるでしょう。
怒りを言葉や絵で表現させるには?”感情表現の「練習の場」をつくる”
当然ですが、子どもはまだ、怒りや悔しさをうまく言葉にできません。
そのため、まずは親が代わりに言葉で表現してあげることが大切です。
「叩きたくなるくらい頭の中がカーッとしたんだね」
「もやもやする気持ちがずっと胸にあったのかな?」
また、怒りを絵や漫画で表現するのも非常に効果的です。
感情を紙の上に出すだけで、気持ちが整理されて、自己理解が進みます。
「言葉」「絵」「動き」など、表現の手段を広げることは、怒りとの付き合い方を学ぶ大きなヒントにもなります。
思い通りにいかないと怒るとき、何が隠れている?
ゲームで負けて暴れる、勉強でつまずいて癇癪を起こす。
そんな姿には、実は「悔しい」という感情が隠れていることが多いです。
「怒っている」のではなく、「自分を信じていたからこそ、結果が受け入れられなかった」。
そうした背景にある思いを、親が言語化してくれるだけで安心につながります。
「悔しかったんだね」
「本当はもっとできると思ってたんだよね」
このような言葉をもらうことで、子どもは「自分の気持ちが理解されている」と感じ、怒りが少しずつ形を変えていくでしょう。
おわりに:怒りも癇癪も、子どもの大切な“心の声”
怒りや癇癪は、「感情をどう扱えばいいか、まだ分からない」サインでもあります。
だからこそ、感情の背景にある「本当の気持ち」を見つけて言葉にしてあげる。子どもが怒りを表した時は、子どもの感情調整力を上げるチャンスです。
そういう視点を持つと、日々の子育てを今よりも楽しむことができるようになるかもしれません。
こちらの動画で専門家が詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。