ギフテッドの子どものゲーム・YouTube問題の対処法
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ギフテッドの子どものゲーム・YouTube問題の対処法

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「いつになったら止めるの?」「もう何時間やってるの?」

そう声をかけて、子どもにまったく届かないことに、自分の声が宙に浮く感覚を覚えたことが、ありませんか。

この記事は、ギフテッドの傾向があるお子さんとゲーム・YouTube・SNSの関係について、家族としてどう向き合うかを書いたものです。

私が実際に実践してみてよかったと思うことをご紹介します。

この記事を執筆した人

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ゲーム問題で厄介なのは…

ギフテッドの傾向があるお子さんがゲームに何時間も没頭している姿と、本好きな子が分厚い小説に沈み込んでいる姿は、脳の働きとしてはかなり似ているのだそうです。

神経科学の方の本で読んだのですが、対象が紙か画面かという違いはあれど、深く入り込んでいる構造そのものはよく似ているのだと。

つまり、いま目の前で「依存しているように見える」その姿は、もしかしたら未来の何かの土台かもしれない。同時に、本当に依存に近づいている可能性もある、ということです。

ここの見極めは、本当に難しいと思います。正直、私自身、自分の家のことになると、自信を持って判断できるときと、できないときがあります。

それでも一つだけ言えることがあるとすれば、「ゲーム=悪」「YouTube=悪」と決めつけてしまうと、まず子どもとの会話が止まる、ということです。

会話が止まると、いざ本当に困ったときに、子どもは相談してこなくなる。これが、長い目で見るといちばん怖いパターンだと思っています。

ギフテッドの子どものスマホへの集中

私の経験も踏まえて、ここからは少しだけ理屈で説明してみようと思います。

過集中という集中の深さ

ギフテッドの傾向があるお子さんに多く見られる集中状態は、海外の文献では「過集中(hyperfocus)」と呼ばれます。

一般的な集中とは、深さの桁が違っていて、本人の中では時間感覚が消え、空腹もトイレも後回しになる。「あと5分」が30分になるのは、子どもがウソをついているからではなくて、本人にとっては本当に「あと5分」と感じているのです。

ここを覚えておくだけでも、私の夜のイライラがちょっとだけ減った気がします。

「もっと知りたい」が止まらない

もうひとつ背景にあるのが、ドンブロフスキーというポーランドの心理学者が提唱した「過度激動(OE)」と呼ばれる概念です。

ギフテッド児に多くみられる「刺激への反応の強さ」のことで、その中の「知性的OE」というものが、ゲームやYouTubeへの吸引力に関わってきます。

何かを知ったときに「もっと、もっと」と次々にいきたくなる性質のこと(過度激動についてはGifted Gazeの別記事で詳しく紹介しています)。

ゲームの仕組み、YouTuberの編集テクニック、配信者の話術、コミュニティの暗黙のルールなどオンラインの世界には、こうした「知性的OEを満たす材料」が、絶え間なく流れ込んでいます。

学校の授業では届かないものがあるから、強く惹かれてしまうという理由もありそうですよね。

学校では出会えない「対等な仲間」がいる

これは、中高生の保護者の方からよく聞く話です。

「学校では話の通じる相手がいない」と感じている子が、Discordや特定のゲームのサーバーで、英語圏の同年代の子と建築の話を朝までしている、というようなケース。

これを「ゲーム依存」と呼んでしまうと、少し違う気がします。

本当はその子は、初めて自分と同じ熱量で話せる相手と出会っている場合があるからです。

私自身、この可能性に気づいてから、子どもの「ゲーム時間」というものの捉え方が、少し変わりました。

もちろん依存リスクの存在は否定しないのですが、まず「そこで何が起きているか」を見ようとする姿勢が、いちばん大事なんじゃないかな、と思います。

ちゃんと心配したほうがいいときは?

もちろん放っておけばすべてうまくいくなんてことはありません。

WHOは2019年に「ゲーム行動症(Gaming Disorder)」を、国際疾病分類ICD-11に正式に登録しました。

診断のポイントは大まかに3つあって、コントロール障害、他の生活活動より優先する状態、否定的な結果が出てもやめられない状態。これが、通常12カ月以上続いていることが目安となります(症状が重い場合は、もっと短い期間で診断されることもあります)。

ご家庭で、こうしたサインがそろってきたら、専門家への相談を考えるべきというのが、私の本音です。

具体的には、以下のうちどれか一つでも、2週間以上続いているなら、児童精神科や思春期外来、ゲーム依存治療プログラム(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターなどが先駆的に取り組んでいるようです)に状況を共有するのがいいと思います。

  • 睡眠時間が極端に短くなっている
  • 食事を抜くようになっている
  • 以前楽しんでいた他の活動への興味がはっきり消えている
  • 自分や家族や友だちを傷つける言動が出てきている
  • 保護者ご自身が消耗して日常生活を回せなくなっている

家庭で実際にできること

うちのケースだったり、周りに多い声の中から、これは効きそうだなと感じたものを、年齢別にざっくりご紹介しようと思います。

小学生のうちは「区切り」と「儀式」

未就学から小学校中学年くらいまでは、子どもが自分で時間を切るのが本当に難しい時期ですよね。「あと10分でご飯」と声をかけても通じないのは、過集中状態でこちらの声が届いていないからです。

うちで効いたのは、「区切りやすい場所」を一緒に決めておくことでした。

マリオ系のゲームならステージのキリのいいところ、配信動画なら一本の終わり(次の動画の自動再生にはしない)、スプラトゥーンなら「次の試合まで」。

これを「ご飯までにここまで」と前もって伝えておくと、比較的半分くらいの確率で止まることが多いです。

それから、寝る前のスクリーンタイムだけは、できるだけゼロにしてみてください。これだけは、子どもと一緒に決めて、約束することが大事です。

ゲーム機やタブレットを「家の充電ステーション」に集める習慣を作って、寝室には持ち込まない。これだけで、夜の寝つきが変わる場合があります。ちゃんと約束を守れたら、朝早く起きてゲームまっしぐら!でもOK、というくらいの気持ちでいます。

中高生はルールではなく信頼で関わる時期

中高生のギフテッド傾向のある子にとって、ゲームやSNSは、もうただの娯楽ではないことのほうが多いです。

社会的・知的な居場所になっていて、そこを取り上げるという行為は、彼らの世界をひとつ消すみたいなインパクトがあります。

うちの場合は中2の息子で、Apex Legendsのランクで一喜一憂し、Discordで深夜に建築談義をする、みたいな日々です。

これに対して単純に監視をしたり制限をしたりする関わりだと、関係性がどんどん壊れていきます。特に独立心が高まるこの時期は特に悩みますよね。

試行錯誤の末、いま私が大事にしているのは、3つだけです。

1つめは、対話を諦めないこと。そして、問い詰めないことです。「最近見ている配信、面白そうだね、何?」と、夕食の場で軽く聞く程度にしています。返事がない週もありますが、それでも聞き続けることに意味があると、自分に言い聞かせています。

2つめは、お金は明確にルール化すること。サブスク、課金、投げ銭については、家族で合意した予算ラインを一緒に決めます。社会で生きていく金銭リテラシーの教育として位置づけ直しました。

「将来困らないために、いま一緒に練習しておこう」としたほうが、思春期の子には届く気がします。

3つめは、信頼ベースに切り替えること。「困ったとき、トラブルがあったときに、必ず話してくれる関係」を平時から育てることが本当に大事だと思います。

即効性はないし、小学生時代の貯金がものを言う段階でもあって、いま遡って後悔したいくらいなんですが、長い目で見ればここがいちばん効くはずだと感じています。

あと、「ゲームのことは妻に任せがち」というお父さんは、本当に多いです。そしてそのことを、お父さん自身が密かに気にしているケースも、また多いと感じています。

他にやってみてよかったことは、一度本気で、同じゲームをやってみる。隣で1時間プレイするでも、対戦してみるでもいい。子どもにとって、親御さんが自分の世界に入ってきてくれたというは、想像以上にポジティブに長く残ると思います。

あとは、オンラインじゃない世界の楽しさを、子どもと一緒に味わう時間を日々の生活の中でぜひ試してみて欲しいです。スーパーへの片道で、学校の話をしてみる、近所の公園に一緒に行ってみてベンチに座って麦茶を飲む、などです。

それでもうまくいかないとき

ここまで書いておきながら言うのもなんですが、ここに書いたことを全部やっても、もちろんうまくいく保証はありません。

子どもがゲーム機を握ったまま寝落ちしている、配信を切らずに学校に遅刻する、トイレでスマホをいじって出てこない、ゲームができないと癇癪を起こす。そういうタイミングはこれからも来ます。

ギフテッドの子とゲーム・YouTube・SNSの関係をめぐる悩みは、ご家庭だけで抱えるにはちょっと大きすぎると思います。

海外だと16歳未満の子どものSNSの使用を法律で明確に禁止している国があるくらいですから、こうしたスクリーンタイムに関する問題意識はとても重大なことだと思います。日本でも、SNS利用の年齢制限について議論が開始されました。

もし状況が深刻だと感じたら、ためらわずに、専門家に相談してください。

主な参考文献
  • Dabrowski, K. (1964) Positive Disintegration. Boston: Little, Brown.
  • Piechowski, M. M. (1991) Emotional development and emotional giftedness. In Handbook of Gifted Education.
  • WHO (2019) ICD-11: Gaming disorder.
  • Orben, A., & Przybylski, A. K. (2019) The association between adolescent well-being and digital technology use. Nature Human Behaviour, 3, 173–182.
  • 松村暢隆 (2021) 『才能教育・2E教育概論』東信堂.
  • 樋口進 (2019) 『新しい依存症の真実』星和書店.
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