ギフテッドの想像力が豊かすぎる理由と親が知っておきたい接し方
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ギフテッドの想像力が豊かすぎる理由と親が知っておきたい接し方

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「授業中ぼーっとして先生の話を聞いていないと言われるのに、実は頭の中で壮大な物語を展開していた」
「一人遊びで何時間も架空のキャラクターと旅をしている」
「『もし地球が逆回転したら?』という話が止まらなくなった」

こんな子どもの姿に、微笑ましさと困惑が入り混じっている保護者の方は少なくないと思います。

知的な力の高さや、周りの刺激を深く受け止めてしまう性質が重なると、頭のなかに驚くほどリアルな世界が育っていきます。それが、日常の困りごとのもとになる場合もあるでしょう。

この記事では、ギフテッドの想像力がどこから生まれるのか、家庭でどんな形で現れるのか、親としてどう受け止めればよいのかを、詳しくご紹介したいと思います。

なぜギフテッドの子どもは想像力が豊かなのか

想像力の豊かさの背景には、いくつかの認知的・神経的な特徴が重なっていると考えられています。以下では代表的なものをご紹介します。

刺激に強く深く反応する「想像性OE」

ポーランドの精神科医カジミエシュ・ドンブロフスキは、生まれつき刺激に強く反応する人がいると考え、それを「過度激動(overexcitability, OE)」と呼びました。

OEには、精神運動性・感覚性・想像性・知性・情動性の5つの領域があり、ギフテッドの子どもには複数が同時に見られることが多いといわれています[注1]。

過度激動性(OE)とギフテッドの関係 | 発達障害の違いと特徴、刺激への対策も解説 過度激動(OE)について、ギフテッドのお子さんの日常の支援に役立てられるよう解説しています。 ギフテッドの子どもに多い過度激動(OE)の特徴とは?ADHDやHSPとの違いも解説 OEとは何か、種類と特徴、ADHDやHSPとの違いについて解説します。

なかでも想像性OEを持つ子どもは、頭のなかに勝手にイメージが立ち上がり、物語やキャラクターが動きはじめたりする場合も。

ぼんやりしているときにこそ、よく働く脳

脳の側から見ると、”ぼんやりしているとき”こそ強く働くことがあります。

「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれるもので、白日夢や、将来どんなことが起こるかシミュレーションをしたりするときに深く関わるネットワークです。

近年の脳画像研究では、DMNと他のネットワークがうまく協調している人ほど、創造的な発想力が高いことが報告されています[注2]。

外から見ると何もしていないような時間ほど、その子の頭のなかは忙しく動いている場合があるのです。

「もし〜だったら?」が止まらない

「もし重力がなかったら?」
「もし言葉がなかったら人間は何を考えるの?」
「もし自分が別の時代に生まれてたら?」

ギフテッドの子どもたちは、早くから仮説的な思考を自然に行います。「いまここにない可能性」を頭のなかで組み立てる力が高いからです。

この力が想像と結びつくと、「魔法があるとしたら、それはどんな物理法則の隙間で成り立つのか」というふうに、空想と論理がひとつながりになった疑問を真剣に追いかけはじめます。

さらに、ギフテッドは感受性が高い場合が多く、物語の登場人物の悲しみに共感して号泣したり、架空のキャラクターへの愛情が実在の友人と変わらないほど深くなったりする場面もあるでしょう。

家庭に現れる想像力の姿

こうした特性は、日常のなかにいろいろな形であらわれるかもしれません。

ここからは、家庭でよく見られる場面をいくつか紹介しつつ、その背景と親としての向き合い方を考えていきます。

自分だけの国や物語

「世界構築(worldbuilding)」と呼ばれる遊びがあります。

「今日はこの国のこの町の話ね」と自分でナレーションを始め、何十人ものキャラクターを操りながら、何時間でも遊び続けたり、ノートには地図、王家の系譜、独自の言葉の表まで書き込まれていたりします。

この世界構築は、非常に高度な活動です。人物同士の関係性、歴史の整合性、社会のルールなどを一貫して組み立てるため、論理と物語を同時に扱う力が必要だからです。

親御さんとしては、そんな時には、「その国では、王様が亡くなったら次の王をどうやって決めるの?」と、いろんな質問を投げかけてみてください。

この時期の子どもはそうした問いをきっかけに、よく考え、データを集め、その世界をさらに楽しんでアップグレードしていくでしょう。

見えない友達”イマジナリーフレンド”

幼児期から小学校低学年にかけて、いわゆるイマジナリーフレンドを持つ子どもは少なくありません。

発達心理学ではむしろ健やかな発達の一部として扱われる現象で、社会的認知や新しい視点を獲得していく力などと正の相関があることも報告されています[注3]。

ギフテッドの子どもは、同世代のなかで「話が本当に通じる相手」に出会うことが少なく、自分の興味や思考の深さを共有できる誰かを求めて、想像の中に理想の対話相手を作り出すことがあります。

イマジナリーフレンドは、その子にとっての心の避難所であり、自分の内側を確かめるための存在でもあります。

最初は驚くかもしれませんが、「そんな子はいないよ」と否定せず、まずは「その子はどんな子?」と、受け入れて関心を示してあげてください。

日常での哲学的な問い

夕食の途中、いきなり「もし恐竜が絶滅してなかったら、人間って生まれてた?」と切り出され、「じゃあ言葉って必要だと思う?」に飛び、「いいから早く食べなさい!」というのはあるあるの場面かもしれません。

事実じゃなかったり、非現実的な問いを次々に生み出すことは、原因と結果を理解したり、可能性を模索したり、創造的に問題を解決する力の土台になっていきます。

ここで大切なのは、正解を教えることよりも、「一緒に迷ってあげる」姿勢だと思います。

「難しいね、お母さんもわからないな。あなたはどう思う?」というように子どもの探究心に寄り添えると良いでしょう。

現実と空想が混ざることも

「昨日の夢で海の底の国に行ってきたんだけど、あの国、もしかしたら本当にあるかもしれない」。

こういう語り方をされると、親としては少しドキッとしますよね。

多くの場合、本人は現実と空想の違いを分かった上で、想像の世界のリアルさを言葉で伝えようとしているだけです。

否定も同調もせず、「それって本当にあったこと?想像のこと?」と穏やかに聞いてみることで、子ども自身が言葉で現実と空想の世界の境界を引く練習にもなります。

想像力は大切にしつつ、現実検討力(reality testing)も一緒に育てましょう。

物語や音楽への没入

映画のワンシーンで大人よりも激しく泣いたり、絵本の登場人物のその後が気になって眠れなかったり、音楽を聴きながら「頭のなかに景色が見える」と言ったり。

想像性OEと情動性OEが重なったときにも、自分以外の人物や現象に深い没入が生まれます。

そんな子に「大げさ」「泣きすぎ」と言うのは、その子の一番豊かな部分を否定する言葉になってしまいます。

子どもが強く反応したあとに少し落ち着く時間ができたら、「何がそんなに心に残ったの?」と聞いてみてください。共感力・自己理解・表現力を一緒に育てるためにも、子どもが感じたことを、子ども自身に言葉に出そうとしてもらうことができると理想的です。

豊かな想像力が生む困りごとと誤解

この想像力の強さが、学校や家庭で「困った特性」として扱われてしまうこともあります。よくあるパターンをいくつか挙げておきます。

ひとつは、「授業中にぼーっとしている」「集中できない」と言われるケースです。実際には外向きの注意が向いていないだけで、内側では猛烈に思考が動いています。

もうひとつは「嘘つき」という誤解。空想と現実を行き来しながら話しているだけなのに、作り話をしていると受け取られてしまいがちです。

そして、少し注意深く見てあげたいのが、想像の世界への「逃げ」が強まっているサインについてです。例えば、学校で人間関係に苦しんでいるとき、家庭で否定されることが続いているとき、子どもは想像の世界に長くいるようになります。想像への没入自体は決して悪いことではありません。ただ、そこにしか居場所がない状態になっているなら、その背景にある現実の困りごとを理解することが大切になります。

見分け方はシンプルで、想像の世界が子どものポシティブなエネルギーとして機能しているなら、問題ないと思います。

もしその世界が「唯一の逃げ場」になっていて、現実の苦しさに手が届かなくなっているなら、その苦しさの原因、たとえば学校でのいじめや孤立、学習環境のミスマッチなどに、大人が手を伸ばす必要があります。

想像力を強みとして育てる家庭の工夫

ここからは、家庭でできる関わり方をいくつか紹介します。もちろんすべてを一度に取り入れる必要はありません。今の家族のリズムに合いそうなものから、ゆっくり試してみてください。

表現の選択肢を増やす

物語を書く。絵を描く。レゴで街を作る。家族で寸劇をする。鍵盤で即興のメロディを弾いてみる。

こうした頭のなかで完結していた想像を外に出せる形に変える経験は、想像力を子ども自身の資産に変えてくれます。

「一緒にやってみようか」「こんな道具があるよ」と、選択肢を差し出すぐらいの距離感がちょうどいいように感じます。

子どももいろんな表現方法があることで、言葉にしにくかった気持ちや世界を安心して外に出せるでしょう。

子どもの世界に本気で興味を持つ

その架空の国の王様はどんな性格なのか。その魔法にはどんなルールがあるのか。大人がふざけずに聞くと、子どもは驚くほど詳しく、誇らしげに語ってくれますよね。

ここでの「本気で」というのがポイントで、質問の内容よりも、聞いてくれている姿勢そのものが子どもに伝わっていきます。

想像の時間と日常の時間をどちらも大切にする

現実の予定に押し流されて想像の時間が消えてしまうのも、想像に浸り続けて宿題が回らなくなるのも、どちらも避けたいところです。

「いまは想像の時間」「いまは支度の時間」というリズムを、子どもと一緒に決めておくと、両方が守られやすくなります。

想像の時間を取り上げず、生活の中で分けて確保してあげると、子どもは現実の課題にも戻りやすくなります。

感情を言葉に翻訳する時間をつくる

物語や音楽への強い反応は、感情を扱う練習のチャンスでもあります。

先ほども申し上げた通り、感情を表現することが大事です。できれば言葉でアウトプットできると良いですが、子どもが快適な方法で大丈夫です。

「何にそこまで心が動いたんだろうね」と聞いてみてください。子ども自身が気持ちの翻訳作業を繰り返すうちに、共感力と自己理解が少しずつ育っていきます。

外の世界とつながる

博物館、美術館、科学館、図書館、自然のなかでの時間など、頭のなかで組み立てた世界に、現実の質感が触れる瞬間は、子どもの想像を一段深くします。

「勉強のため」ではなく「面白そうだから行ってみようか」というトーンで連れ出すのが、この年齢の子どもとの相性がよいように感じます。

まとめ|想像力はギフテッドにとって大切な力

ギフテッドの子どもの豊かな想像力は、知性と感受性と創造性が交わることで、その子だけの内的世界が育っています。

親としてできる一番シンプルなことは、その世界を「くだらない」と切り捨てず、「この子の頭のなかは、どんなふうに見えているんだろう」と、好奇心を持っていることです。

答えを出してあげる必要はもちろんありません。そばで、興味を持って一緒に眺めてくれる大人がいるだけで、想像力はゆっくりと才能として側に育っていくでしょう。

脚注
  • [注1] 過度激動(OE)の5領域は、Dąbrowski (1964) の Positive Disintegration 理論に由来します。なお、OEの理論的枠組みそのものは、実証的な裏付けをめぐって議論があり(Vuyk et al., 2016)、OEを唯一の識別基準とはしていません。
  • [注2] DMNと創造的思考の関連は、Beaty et al. (2018) 等の脳画像研究で報告されています。ただし、ギフテッド児におけるDMN活動の特異性については、まだ発展段階の研究領域であり、決定的な結論には至っていません。
  • [注3] イマジナリーフレンド研究の代表的著作は Taylor (1999) Imaginary Companions and the Children Who Create Them (Oxford University Press)。Taylorらのオレゴン大学における研究では、7歳までにイマジナリーフレンドやインパーソネーション(自分自身が別のキャラクターになりきる遊び)を経験する子どもは約65%にのぼり、それらの子どもは社会的認知能力や視点取得能力において平均的に高いことが示されています。
参考文献
  • Beaty, R. E., Kenett, Y. N., Christensen, A. P., et al. (2018) Robust prediction of individual creative ability from brain functional connectivity. Proceedings of the National Academy of Sciences, 115(5), 1087–1092.
  • Byrne, R. M. J. (2005) The Rational Imagination: How People Create Alternatives to Reality. MIT Press.
  • Dąbrowski, K. (1964) Positive Disintegration. Boston: Little, Brown.
  • Piechowski, M. M. (1991) Emotional development and emotional giftedness. In N. Colangelo & G. A. Davis (Eds.), Handbook of Gifted Education. Boston: Allyn & Bacon.
  • Taylor, M. (1999) Imaginary Companions and the Children Who Create Them. Oxford University Press.
  • Vuyk, M. A., Kerr, B. A., & Krieshok, T. S. (2016) From Overexcitabilities to Openness: Informing Gifted Education With Psychological Science. Gifted and Talented International, 31(1), 59–71.
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