「勉強が苦手な子」の才能見えていますか?子どもの“非認知能力”を伸ばす方法とは

「うちの子、勉強が苦手で心配…」

そんなふうに感じる保護者の方も多いのではないでしょうか。

しかし、勉強が苦手でも、その子には他の素敵な力があります。

目に見える成績だけでなく、“目に見えにくい力(非認知能力)”に目を向けることで、子どもの意外な強みや魅力が見えてくることがあります。

この記事では、非認知能力に注目しながら、子どもの「いいところ」に気づく視点と、「勉強が苦手な子」に対して家庭でできる関わり方を専門家がご紹介します。

執筆:いけや さき


公認心理師・臨床心理士

精神科病院、療育施設、心療内科・児童精神科クリニックなど主に医療と福祉領域にて心理士として従事。発達障害の子どもたちや保護者、女性のメンタルヘルス等のサポートを行う。

勉強が苦手でも、その子には他の素敵な力があります。

成績やテストの点数は、子どもの一部分しか表していないからです。

たとえば学校の勉強では苦手でも、絵を描くのが好きな子や人の気持ちに気づくのが上手な子もいますよね。

子どもの可能性は「勉強」だけでは測れません。見えにくい力にも目を向けていくことが子どもの幸せにつながっていきます。

子どもが勉強を苦手に感じる背景には、さまざまな理由があります。ここではよくある以下の3つのケースをご紹介します。

  • 集中力が続かない
  • 覚えるのが苦手
  • 勉強が嫌い

それぞれ詳しく解説していきます。


勉強で成績を残すためには、ある程度の集中力は必要です。勉強が苦手な子は、集中力が続かない子や飽きやすい子が多いといわれています。

しかし、集中力が続かないのは、必ずしも怠けているわけではありません。

発達段階や脳の特性によって、注意のコントロールが難しい子もいます。たとえば、机に向かって5分で落ち着かなくなる子もいるでしょう。

好きな遊びには集中できるけど、勉強になると途端に落ち着かない、ということもあります。子どもに合った学びのスタイルを見つけることが大切です。


勉強には記憶力が必要です。小学校の授業では「漢字を繰り返し書く」ことで覚える方法が主流ですが、全員が記憶に定着するわけではありません。

今、覚えるのが苦手な子に見えているのは「理解して覚える手段」が違うだけです。

書いて覚える子もいれば、声に出して覚える子、目で見て覚える子もいます。また、エピソードや実際の問題文を通して、理解し記憶する子もいるでしょう。

漢字や数式がなかなか覚えられず、自信をなくす子もいますが、図解や物語で覚えるとスムーズなケースもあります。暗記方法を工夫することで、「できた!」の体験につなげられますよ。


やる気が出ないと、勉強し始めるって結構難しいことですよね。

やる気がないことにも、以下のようなさまざまな理由があります。

  • 問題文が理解できない
  • 優先順位づけが苦手
  • 得意分野ではない
  • 注意散漫になってしまう
  • ほかにもっとやりたいことがある
  • 精神的に緊張を感じる状態が苦手
  • 「どうせやってもできない」と思っている
  • テストで悪い点だったことがトラウマになった

あなたのお子さんに当てはまるものはありましたか?

もしかしたら、すべてに当てはまることもあるかもしれません。

子どもに合ったやり方を見つけていけるよう、子どものやる気が出ない理由を見つけてみましょう。

勉強が苦手な子も、別の側面で力を発揮していることがあります。

ここでは「非認知能力」という視点から、子どもの可能性を見ていきましょう。


非認知能力とは、成績やテストでは測れないような「人間力」のことです。

たとえば、協調性や思いやり、自己肯定、粘り強さなどが当てはまります。

困っている友達に声をかけられる、失敗しても再挑戦する、柔軟な思考や斬新なアイデアを持っているなど。

非認知能力は、人生の土台になる大切な力なのです。

非認知能力については、こちらの記事でも詳しく解説しています。


認知能力は「数値化できる力」、非認知能力は「数値化できない力のすべて」です。

認知能力は計算や読解力など学力に直結しますが、非認知能力は内面に関わります。

たとえば算数は苦手だけど、最後まで粘り強く問題に取り組む子であれば、「粘り強い」という非認知能力を持っていると言えるでしょう。

どちらも大切ですが、非認知能力は見えにくいため、意識して見つけて伝える姿勢が大切です。

大人から見えにくい能力であり、子どもは感じ取りにくい能力であるからこそ、伸ばしてあげることで、子ども自身も自分を認めやすくなります。

非認知能力は、家庭の中でも十分に育むことができます。

ここでは親子で実践しやすい関わり方を以下の視点からご紹介します。

  • 自己肯定感を高める声かけ
  • 比べないためのマインドセット
  • 家庭内で伸ばせる非認知能力

さっそく、以下で詳しく解説していきます。


結果だけでなく、過程や挑戦した意欲を認めましょう。

子どもは親の言葉から、自分の価値を感じ取ります。

子どもの頃に褒められたり認められたりした経験が少ないと、自分には価値がないと思いやすく、自己肯定感が低くなってしまうのです。

■過程や挑戦した意欲を認める声かけの例

「最後までやろうとしてがんばったね」
「前より少し進めたね」
「初めてのことに挑戦したんだね!」
「そのアイデア面白いね!」

以上のように、できたかできていないか、簡単か難しいかではなく、子どもの取り組みそのものを見て声をかけてみましょう。

小さな成功を積み重ねることで、自己肯定感が育まれます。


他の子や兄弟同士、自分の子ども時代などと比べず、「その子自身」を見ましょう。

比べられると、子どもは自信をなくしたり、プレッシャーになったりします。

たとえば「お兄ちゃんはできたのに…」ではなく、「最後までよくがんばったね」という視点で声をかけるなどはいかがでしょうか。

また、「妹よりよくできたね」といった他の子よりできるというほめ方もおすすめできません。

比べられた子は、がんばらないと褒められなくなってしまうと感じたり、比較対象を「できない子」と見てしまう恐れがあります。

比較せずにその子自身を認める姿勢を大切に、子どもが安心できる状況を作っていきましょう。


ほぼすべての非認知能力は、日々の生活の中で伸ばせます。家庭は子どもが安心して自分らしくいられる場所の1つだからです。

お手伝いをしてもらったり、一緒に計画を立てて実行したり、コミュニケーションなどを通して、責任感や共感力を伸ばしていきましょう。

ほかにも、自分で選択する習慣をつくったり、親と意見交換をする場を用意することで、判断力や協調性を伸ばすこともできます。

何気ない日常こそが、子どもの「人間力」の土台になりますよ。

非認知能力は目に見えにくいため、客観的に知るのは難しいこともあります。そこでおすすめなのが、「才能発掘診断」です。

非認知能力を見える化することで、子どもの強みが具体的にわかります。

主観的な目線では気づきにくい力も、診断を通して理解が深まるでしょう。

一部ですが、診断を利用された親の声を紹介します。

「親も「自分だって完璧じゃない」と気が付ける」(小学校1年生男の子・お母様)
「個性の一つの現れ方として受け入れる意識ができた」(小学校4年生男の子・お父様)

才能発掘診断はこちらで詳しく紹介しています。

勉強が苦手であっても、非認知能力は何かしら持っています。それは親も子も同じです。

非認知能力を伸ばすことで、自信につながり、結果的に勉強への意欲が生まれることもありますし、ほかの才能が見つかっていくこともあります。

勉強が苦手な子を目の前にすると、つい怒ってしまったり、悩みすぎてしまうことってありませんか?

Gifted Gazeでは、小中学生の子育て相談のプロである医師や心理士がオンラインで相談を担当しています。

勉強が苦手な子の対応にお悩みの保護者様は、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。