ギフテッドはわかる?特徴と検査の方法とは|発達障害との違いと支援方法も解説

【解説】ギフテッドの特徴と見つけ方|発達障害との違いと支援方法がわかる
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ギフテッド(Gifted)の子どもは、高い知的能力、鋭い感受性、深い共感性、独特の思考のし方など、たくさんの特徴を持ちます。

その特徴がゆえに学校生活環境とのミスマッチが起きやすく、日常生活の中で生きづらさや孤独感につながることも珍しくありません。

欧米に比べ、日本ではギフテッドに関する理解が社会的にも制度的にもまだ発展途上の段階です。

統一的な定義も整っていないこともあり、早いうちに気づかれにくく、学習面、心理面、環境面において必要な支援につながっていないのも現実です。

心理学・医学・教育の領域では、こうした子どもたちが安心して能力を発揮できる環境づくりが重要なテーマになっています。

この記事では、ギフテッドとは何か、どのような特徴を持つのか、発達障害との違いや重なり、日常で見られる具体的な行動、そして家庭や学校でできる支援の方法まで、複数の観点から詳しく解説していきます。

「ギフテッド」という言葉には、まだ正式な定義や全国統一の基準は存在していません。

ギフテッド研究の先進国であるアメリカでは、州ごとに異なる基準が用いられています。例えば、テキサス州では以下のような定義となっています。

同年代・同じ経験・同じ環境の子どもたちと比べて、著しく高い成果を示す、あるいはその可能性を持つ子どもであり、対象となる領域は知的能力、創造性、芸術的表現、卓越したリーダーシップ、特定学問分野での優秀さなど多岐にわたります。

出典:Texas Legislature, 74th Session, Chapter 29, Subchapter D, Section 29.121 ※Gifted Gazeが要約した上で意訳を行なっています。

「ギフテッド」という言葉は、日本においては、心理学・教育学・医療の領域で用いられる概念として扱われており、一般的に、次のように捉えられます。

  • 同年代の子どもと比較して、知的能力・思考力・創造性・感受性などが著しく高い子ども
  • IQ120〜130以上が目安とされるが、IQのみで定義されるわけではない
  • 才能の偏りや情緒的な繊細さなど、発達のアンバランスを併せ持つ場合がある

日本でもアメリカでも「ギフテッド=IQが高い子」ではなく、多様な能力領域に突出が見られる子どもという広い概念として使われているという点が重要です。

文部科学省は「ギフテッド」という言葉を直接的には使っていませんが、“特定分野に特異な才能のある児童生徒”という表現で才能の突出した子どもの教育的支援の必要性を検討しています。

個別最適化学習の中のひとつの対象カテゴリーという位置付けで、2030年の学習指導要領の改訂に向けて協議が進んでいる状況です。

“特定分野に特異な才能のある児童生徒”を、具体的には次のように説明しています。

  • 特定の分野(例:数学・理科・言語・芸術・身体表現など)で、極めて高い能力を示す児童生徒
  • 通常の学習内容では十分に伸びないため、特別な指導や教材が必要な子ども

ギフテッドかどうかを判断する時には、測定可能なIQ(知能指数)を基準とすることが多いですが、先ほどご紹介した通り、IQだけでは測れない特性を持つギフテッドの子どもも多くいます。

知的能力の高さ、芸術的才能、複雑な論理的思考力、突出した創造力、鋭い感受性、圧倒的な言語表現能力など、多様な分野での能力があります。

そのため、心理検査(WISC-Vなど)の知能検査に加え、日頃の行動観察や、周囲の大人への質問などを組み合わせて、その子が持つ才能の現れ方を多角的に把握することで、ギフテッドかどうかを判断することが望ましいとされています。

ギフテッドの子どもの割合は、どのくらいでしょうか。

よく使われる、IQ(知能指数)120〜130以上という基準を目安とすると、およそ人口の約2〜6%程度が該当すると推定されます。

ただし、これは知能指数だけを指標にした場合の話で、先ほど説明した芸術性などの能力まで範囲を広げると、その割合はもっと多いです。

National Association for Gifted Children (NAGC) によれば、公立学校生徒のうち”gifted and talented program”に登録されている生徒は全体の約6%となっています。

以上を踏まえると、1クラスに1〜3人いることになります。

ギフテッドの特性は、生まれつきの傾向が強いと考えられており、研究によっては知的能力に関する遺伝の影響はおよそ50〜80%程度と推定されています。

家系の中に、知的好奇心が非常に強い人や、特定分野に深く没頭する人がいる場合、似た特徴が子どもに受け継がれる可能性は高まるとされています。

ただし、ここで大切なのは、遺伝か、環境かという単純な二択では説明できないという点です。

現在の研究では、ギフテッドがどこまで遺伝によって決まり、どこから環境の影響を受けるのかを、明確に切り分けられる段階には至っていません。

むしろ、生まれ持った潜在能力と、育つ過程での経験や環境が相互に影響し合いながら形づくられると考えられています。

また、生まれつき高い可能性を持っていても、

  • 安心して考えを表現できない環境
  • 興味を深める機会が極端に少ない環境
  • 常に周囲に合わせることを求められる環境

に置かれると、その能力が十分に発揮されないこともあります。

ここでは、ギフテッドの特徴について、特に3つの側面から解説します。

冒頭の定義でも説明した通り、知的能力面だとギフテッドは知能指数(IQ)が同年齢よりも高い水準(130〜)にある子ども。

一度見た情報を理解・記憶する力が高く、抽象的な概念も早期に理解できるなどの場合が多いです。

1. 理解力・記憶力が極めて高い

教科書を1回読んだだけで要点を把握できる、教科書の全ページを暗記できるなど。

2. 抽象的思考力が早くから発達している

因果関係や哲学的な質問が幼少期から多い。

3. 学習の吸収が極めて速い

授業内容をすぐに理解し、より発展的な内容を求める。

一方で、得意分野と不得意分野の差が大きいなどのアンバランスさを抱えることも。

数学的思考は極めて高いのに板書が苦手だったり、言語能力が高いのに感情面で不安定で対人関係が苦手なケースなどです。

また、学校では、「理解が速すぎて退屈する」「集中力が続かない」など、学習環境や集団生活の中でのミスマッチが起きやすいのも現実です。

こうした側面も踏まえて、得意な分野を伸ばしつつ、弱い部分を支えるという視点も大切になってきます。

ギフテッドの子どもは、非常に高い感受性を持っています。

この感情の深さ・過敏さは才能がゆえでもありますが、集団生活や一斉授業の中だと、心の疲労やストレスの原因にもなり得ます。

1. 共感性が高いが傷つきやすい

人の気持ちを感じ取りすぎて疲れてしまうため共感疲労が多い。

2.感覚が鋭い

感覚過敏などHSCの特性、OE性が原因で五感が鋭い。

3.強い正義感・倫理観があり完璧主義

「間違い」に対して強く反応する。期待されることに応えようとする、失敗を恐れる完璧主義的傾向。周囲にも完璧を求める。

心理学や精神医学の分野では、先ほども少しご紹介したこの過度激動性(OE性)をギフテッド性の中核と捉えている研究もあります。

感情の起伏が激しく見えることもありますが、それは思考と感情が高いレベルで結びついているためであり、発達障害の症状とは異なる心理的特性とされています。

ただし、発達障害を合わせて持っているというケースもあります。後段で詳しく説明します。

ギフテッドの行動面では、強烈な集中力や物事へのこだわりの強さが見られる場合があります。

興味を持った対象に対して研究者のように没頭する一方で、関心のない事柄にはほとんど注意を向けないといったことも多いでしょう。

1.興味の偏り

一度ハマると膨大な情報を自ら収集し、体系的に理解しようとする。

2.集中力の極端な差

好きなことには数時間没頭、嫌いなことはすぐ離れる。

3.社会的関係のズレ

同年齢の子より大人との会話を好む傾向がある。

このような集中力やこだわりの強さは、教育的な理解があれば才能として活かすことができますよね。

逆に、「わがままだ」「言うことを聞かない」などと誤解されると、子どもが自己否定感を抱く原因になります。

ギフテッドの特性は、基本的には男女に共通して現れますが、実際の行動や周囲からの見え方には、性差による傾向の違いがあるとされています。

これは生物学的な差だけでなく、社会的な期待や育てられ方の影響も大きく、結果として気づかれやすさや困りごとの表れ方に違いが生まれると考えられています。

たとえば、ギフテッドの男の子は、興味のある分野での没頭が強く、質問や主張が率直に表に出やすい傾向があります。

好奇心がそのまま行動として表れるため、周囲からは「積極的」「独特なこだわりがある」と見られやすく、その分、良くも悪くも早い段階で特性に気づかれることが多いとされています。

一方で、女の子は高い能力や深い感受性を持ちながらも、社会的な期待や周囲との調和を重んじる気質が影響し、特性を隠す方向に働きやすいことが指摘されています。

授業中に深く考えていても表に出さなかったり、困りごとを静かに我慢してしまったりするため、「優等生」「手がかからない」と評価され、その背後にあるギフテッド性が見過ごされる場合も少なくありません。

男の子は行動として表れやすいため気づかれやすい一方、女の子は心理的負荷を内面に抱えやすい傾向があったり、高い自己要求を抱えていたりしても周囲には伝わらず、”大丈夫そうに見える”という状態になりがちです。

こうした違いが、支援につながるタイミングにも影響します。

男女差は特性そのものの違いではなく、表れ方・気づかれ方・支援につながるまでの道のりが異なるという点が重要です。

どちらの場合も、子ども自身は高い能力と繊細さの両方を抱えながら日々を過ごしているため性別による一般的な傾向を理解しておくことで、より早く、その子らしさに気づきやすくなり、適切な環境づくりにつなげることを重視すると良いでしょう。

ギフテッドには大きく分けて二つのタイプがあるとされます。

  • 高い能力がそのまま際立つタイプー「英才型(単一ギフテッド)」
  • 才能と困難を併せ持つタイプー「2e型」

こうした区分は、子どもがどんな支援を必要とするのかを判断する上で非常に重要なので、以下で2つのタイプを簡単に説明します。

高い能力がそのまま際立つタイプー「英才型(単一ギフテッド)」

このタイプは、一般に「ギフテッド」と聞いて多くの人が想像するイメージに近いでしょう。

■ 主な特徴
  • IQや思考力が高い
  • 理解・吸収が非常に速い
  • 独自の視点で物事を捉える
  • 好奇心が強く、探究心が深い
  • 抽象概念や高度な議論を好む

学習面で困りごとが少なく、学校の先生や親から見ると「優等生」に見えることもあります。

しかし、能力が高いだけではない以下のような内面的な課題や注意すべき点もあります。

  • 完璧主義
  • 過度激動性(OE)

たとえ学習上の困難がなくても、心の面で疲れやすい、周囲とテンポが合わないといったギフテッド特有の課題は存在し、困難が“学習面に出るか、情緒面に出るか”の違いだけという見方もできます。

才能と困難を併せ持つタイプー「2e型」

2eとは、“Exceptional”=突出した能力がありながら、もう一つの “Exceptional”=発達障害などの困難を併せ持つ子どもを指します。

2つの特異性が同時に存在するため、この名称が使われています。

■ 併存する特性
  • ADHD(注意欠如・多動)
  • ASD(自閉スペクトラム特性)
  • LD(学習障害:読み書き・計算などの困難)
  • 感覚過敏
  • 実行機能の弱さ(片付け・提出物が苦手)
■ よくある状況
  • テストは高得点なのに、忘れものや失くしものが多い
  • 過集中になってしまう
  • 授業は理解できるのに、座っていられない

一見すると、”不思議な子”や”ムラの激しい子”と見られてしまいます。

そうすると、才能が過小評価され、困難だけが強調されるまたは困難が見過ごされるという誤解が起きやすいのも2eです。

2eとは、先ほど説明したように、ギフテッドの特性と発達障害(ADHD・ASDなど)の特性を併せ持つ状態を指します。

高い能力と学習や行動面でのつまずきが同時に現れるため、周囲から誤解されやすく、子ども本人も戸惑いやすい領域です。

ギフテッドと発達障害は、行動の表れ方だけを見ると似て見えることが少なくありません。

たとえば、ギフテッドの子どもが示す強い集中力やこだわり、感覚の鋭さは、ASDやADHDの特性と重なって見えることがあります。

特定の分野への没入や、刺激への敏感さも、一見すると共通点のように感じられるでしょう。

しかし、両者の背景にある仕組みは異なります。

ギフテッドの場合、高い知的能力や創造性を基盤とし、その能力の強さや発達のアンバランスさが行動として現れます。

一方、ADHDやASDは、脳の発達特性に由来する注意・行動・社会性の困難が中心であり、才能の高さとは別の軸で生じるものです。

この違いは、日常生活の中では非常に見えづらく、保護者や教師が判断に迷う理由にもなります。

興味のないことに注意が向かない様子は、ADHDの不注意に見えることがありますし、概念やルールへの強いこだわりは、ASDの固執的な傾向と重なって見えることもあります。

このように、行動だけを切り取って理解しようとすると、本来の特性を見誤ってしまう可能性があります。

そのため、支援や理解を考える際には、心理士などの専門家による多面的なアセスメントが欠かせません。

知能検査だけでなく、行動の特徴、発達の経過、学校や家庭での様子を丁寧に集め、才能の側面と困りごとがどのように影響し合っているのかを総合的に見立てることが重要です。

ギフテッドの可能性を確認する方法として、以下のような心理検査と教育的観察が挙げられます。

  1. WISC-V(ウェクスラー知能検査):知能の構造(言語理解・作動記憶・処理速度など)を詳細に把握できる。IQの高さだけでなく、項目間の差(得意と不得意)も重要な判断材料。
  2. 心理士による行動観察・面談:質問・表情・話し方・思考の展開などから、心理的成熟度を分析。
  3. 教育的観察:学校や家庭で、学習のスピード、興味の方向性、対人関係の傾向を多角的に評価。

日本の心理・教育分野では、心理検査は才能を測るためではなく、支援を設計するために行われています。

検査は、ラベル付けではなく、子どもの特性を理解するための指針として捉えることが重要です。

  1. 比較しない:同年代と比べず、「この子がどんな環境で一番安定して成長できるか」を考える。
  2. 感情を受け止める:過剰に「泣く」「怒る」「考えすぎる」などの反応をしても、心が働いている背景を想像するようにしましょう。感情の豊かさは“異常”なことではありません。
  3. 興味を共に楽しむ:子どもの好奇心を抑えるより、「どうしてそう思ったの?」と質問してみましょう。理解される体験が、本人の安心感と自尊心を育てることにつながります。

ギフテッドの苦悩の多くは、才能と同じ源から生まれる感性の高さによるものです。

周りの大人がギフテッドの多様な特性への理解を深めるだけで、子どもの自己肯定感と能力発揮は大きく変わります。

  • 興味や才能を尊重し、無理に方向づけしない。
  • 得意な分野を深める学習機会や芸術的体験を積極的に与える。
  • 感情が不安定なときは心理士や医療機関と連携し、精神面でのサポートを行う。

できれば、通常学級での一律の授業よりも、以下のような個別最適化された学びの環境を検討できると良いでしょう。

  • ギフテッド専門スクール
  • 自治体や大学が支援するギフテッドプログラム

学校へ行きたくない様子であれば、無理に学校に行かせる必要はありません。

目的は「平均に合わせること」ではなく、その子が持つ才能を安心して発揮できる環境を作ることです。

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ギフテッドの子どもは、高い知能や才能を持ちながら、感情や社会面で繊細さを抱えることも多い存在ですが、心理的理解と教育的支援があれば、才能は健やかに発揮されるでしょう。

周りの大人が意識したいのは、「できる・できない」ではなく、「この子がどんな特性を持ち、どのように支えれば心から安心できるか」という視点です。

近年、漸く日本でも、医学・心理学・教育学が協働するギフテッド研究が注目され始めました。

子どもの個性をできるだけ早く見つけ、適切な支援を行えば、その才能は存分に社会に生かされる力となるでしょう。

わが子がギフテッド(Gifted)かもしれない、と思ったら、まずは「ギフテッド診断」テストを受けてみることもおすすめです。

「ギフテッド診断」テストでは、子どものIQ(知能指数)や行動特性、才能のバランスを多くの側面から確認することができます。

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