【解説版】非認知能力〜成功体験は要らない!「自己肯定感」〜

学力やIQなどは「認知能力」と呼ばれていますが、この「認知能力」とは異なる、「非認知能力」というものが、子どもたちが将来幸せで充実した人生を送る上で非常に重要な役割を果たします。

最近では耳にする方も増えたのではないでしょうか。

今回は、この非認知能力の要素の一つである「自己肯定感」について解説してきます。

「非認知能力」とは、学力やIQなどに代表される「認知能力」以外の能力のことで、人間の内面的なスキルです。

非認知能力は将来の幸せの指標とも言われており、子どもが豊かな人生を歩んでいく上で大切な「力」です。

非認知能力には様々な要素があり、それぞれの要素は周りの人との関わり合いの中で育み、時間と共に発達していくものです。

非認知能力は、能力という位置づけで捉えられたり、性格の一つの側面としても捉えられることもあります。

自己肯定感が高い子どもは、自分自身の価値と能力を信じているため、困難や挑戦に直面しても前向きに取り組む傾向があります。

自分に対する自信やポジティブな自己イメージは、失敗や挑戦を乗り越える際にも、非常にいい効果を及ぼします。

自己肯定感は、非認知能力の有名な指標である「ビッグ・ファイブ」の直接的な要素ではありませんが、自己認識、自尊心、および幸福感と密接に関連しています。

自己肯定感の高い人は、具体的に以下のような特徴があります:

  1. 自分自身を尊重し、自分の価値を認識できています。自分自身の長所と短所を受け入れ、自分自身に存在価値があると感じやすいです。
  2. 自分の行動が成功につながるという自信があります。具体的には「やってみたらできるかも」という特定のタスクや状況を乗り越えるための自分の行動に対する信頼感があります。
  3. 未来に対してポジティブな見通しを持ちます。困難な状況でも「こんなこともある」とか「今はこんな状況だけどきっと良くなる」などポジティブな結果を期待し、前向きに考えられる傾向があります。
  4. 以上のような傾向があるため、ストレスや逆境に対しての回復力も強いです。

自己肯定感が高い子どもは、失敗を恐れずに新しいことに挑戦し、困難な状況に直面してもポジティブな姿勢を保つことができるため、精神的にも健康的な成長を遂げることが多いです。

また、自分の感情や考えをうまく表現することができ、友達との関係も良好に保つことができ、社会性が豊かです。

子どもたち

一方で、過度な自己肯定感は、時に周囲との衝突を引き起こす原因となることもあります。

極端に自己肯定感が高いと、自分の意見や感情が常に正しいと思い込んだり、他人の意見を受け入れない態度をとることにもつながり、友達との関係や家族内のコミュニケーションにマイナスの影響を与える場合があります。

そのため、大人は、子どもが自己肯定感を持つことを助ける一方で、同時に謙虚さや他人を尊重する心も教えることが大切です。

バランスの取れた自己肯定感は、子どもたちが社会でうまくやっていくための基盤となり、他人も思いやる健全な大人へと成長するポイントになります。

自己肯定感は、子どもが自分自身をどのように見ているか、そして自分の価値をどう感じているかに大きく関わっています。

大人として、子どもの自己肯定感を高めるために日常生活で取り入れられる具体的な方法をご紹介しましょう:


子どもが新しいことに挑戦した時、その結果にかかわらず、挑戦した行為自体を認めるようにしましょう。

例えば、「難しいことに挑戦できたね!」と言うことで、結果よりもプロセスの価値を認めることが大切です。

挑戦する行為を具体的に褒めることで、子どもはリスクを取ることの価値を学びます。

また、子どもが安心して新しいことに挑戦できるような環境を家庭内など身近に作ります。

失敗を恐れずにチャレンジする文化を育てることが重要です。

日常生活の中で子どもが取り組んだ小さなこと(例えば、自分で片付けをする、宿題を自主的にするなど)に注目し、それを積極的に認めます。

「今日は自分で宿題を始めたね、素晴らしいね」というように具体的に認めることが大切です。

よく”成功体験が必要”ということを聞きますが、「成功する」必要はないのです。


期待していた結果にならなかった時に、その状況をネガティブな出来事としてではなく、学びと成長の機会として捉えることを教えましょう。

例えば、「今回これにチャレンジしたことでとっても勉強になったね、次は何ができるかな」と励まし、思うような結果にならなかった一方で、何を学べるかを一緒に考える時間を持ちましょう。

そして、子どもが自分で選択し、行動したことを認めましょう。

子どもの主体性や自立心を育み、自分の選択に自信を持ちます。


子どもが自分の感情を開かれた環境で表現できるようにします。

感情を正確に表現する練習を一緒にすることで、子どもは自分の内面を理解し、感情をコントロールする力を養います。

感情を表現するための言葉を提供し、感情を言葉にすることの大切さを教えます。

例えば、「今どんな気持ち?」と尋ねた後に、子どもが言葉で表現するのを助けるような質問をします。

これにより、感情を健全に表現するスキルが向上します。

2012年にハワード・ガードナーが提唱した「多重知能理論」(「MI理論」)は、人間の知能が一つではなく、様々な形で現れると示したものです。

この理論に基づく研究では、子どもたちが様々な活動に参加することで、異なる種類の知能が刺激され、全体的な学習能力と創造性が高まることが示されています。

多様な経験が子どもたちの知的好奇心を養い、新しいスキルの習得に対する意欲を高めることが確認されており、外向性のみならず、他の非認知能力の要素も高められるのです。

才能発掘診断」では、非認知能力を測定するメジャーな指標「ビッグ・ファイブ」に、子どもたちの学びに向かう姿勢に影響する「自己肯定感」を加え、自己肯定感はもちろん、他の非認知能力の要素の状態も推測することができます。

  

  

他にも、上記のMI理論に基づいて、もともと持っている知能のバランスを踏まえて個性や才能を見つけ、効果的な学び方もお伝えしています。

他者と関わりながら成長し、社会の中で生きていくための人間力を育むヒントしてみてください。

現時点の自己肯定感が高くても低くても、それぞれのいいところがあります。

ただ、非認知能力の各要素を一定水準高めていくことで、異なる背景をもつ人々との交流が加速され経験に深みが出たり、価値観が広がり、社会に出た時にいい影響をもたらす可能性が高いと言われています。

子ども自身のペースや性格を尊重してバランスをとりながら身につけていくことがよいでしょう。

自己肯定感が高い子どもたちへ


自分自身を大切にし、他人の意見に流されることなく、自分らしい道を進む力を持っています。失敗を恐れずに新しいことに挑戦し続ける勇気は、成長と夢を実現させるための大きなステップです。

そして、他人の異なる意見や価値観を尊重し、みんなと上手にコミュニケーションを取れる姿勢は、周りからも大切にされ、多くの友達や仲間を作ることができるでしょう。

あなたは、周りにとっても明るい光のような存在です。自分の心に正直に、勇敢に挑戦し続けることで、あなたは自分だけでなく、周りの人たちにもポジティブな影響を与えます。

自己肯定感が高くない子どもたちへ


周りの人と自分とを比べてしまうことは、自分をより良くしたいという意欲の表れでもあります。自分を批判的に見ることは、成長のために自分への理解を深めることになります。大切なのは、自分の独特な価値と強みを認識し、それらを前向きに受け入れることです。

自分への批判を、自己への理解へと転換することで、より強く、より自信を持った自分へと成長することができます。物事を否定的に捉えがちなときも、それは注意深くリスクを見極めて、より良い結果を求めるあなたの姿勢のあらわれです。失敗への恐れを乗り越え、新しいチャレンジに挑む勇気を持つことは、成長と自己発見の旅の重要なステップです。

自分の中にある強さと可能性を信じ、一歩ずつ前に進むことで、新しい挑戦が自己成長の貴重な源泉となります。あなたは自分のペースで進むことができ、その過程で自己受容と自信を育んでいくことができるでしょう。

自己肯定感は、子どもの日常生活や将来の目標達成において重要な役割を果たします。

子どもが自分自身を信じ、自分の能力に自信を持つことができれば、様々な場面でポジティブな影響を与えることができるでしょう。

自己肯定感は、幸福感、成功、社会的関係など、人生の多くの側面に影響を与えます。

自分自身の強みを認識しつつも、周りの意見を受け入れたり、自分の言動を顧みたりすることでバランスの取れた自己肯定感が育まれていきます。

私たち大人としては、子どもが自己肯定感を保ちながらも、他人と協力していくことの大切さを理解するよう助けてあげていきたいですね。