ギフテッドの子どもとの知的特性に合った関わり方とは?

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ギフテッドの子どもとの関わり方
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ギフテッドの子どもとの
知的特性に合った関わり方とは

発達段階ごとに異なるギフテッドの子どもの姿と、それぞれの時期に大切な関わり方を3つの年齢段階に分けて専門家が解説します。

この記事を書いた専門家
日塔千裕
日塔 千裕 ひとう ちひろ
公認心理師・臨床心理士

発達障害や発達に心配がある子どもへの心理検査や子どもの指導、親御さん向け講座などを通して、親子をサポート。学校問題・親子関係など幅広い相談を受け、1万件を超える相談に応じる。

ギフテッドの子どもとの関わり方
【幼児期〜小学校低学年編】

「言葉の発達が早く、大人と会話しているようなやりとりができることがある」

「大人のような質問をすることがある」

「興味のあることにはすごく没頭して、よく覚えている」

そんなふうに感じる場面がある一方で、思い通りにいかないとひどく落ち込んだり激しく怒ったり、年齢相応の難しさを抱えているように見えたりすることもあります。

ギフテッドの特性をもつ子どもは、知的な理解の早さと、情緒や社会性の発達が必ずしも同じペースで進むとは限りません。

そのため、子どもの姿を見ながら、

  • どう関わったらいいのだろうか
  • どこまで自分でやらせたらいいのだろうか
  • この関わりでいいのだろうか

と迷いが生まれることも少なくありません。

こうした悩みを考えるときに大切なのは、「手を出すか(手伝うか)、任せるか」という単純な選択ではなく、子どもの特性や発達のバランスを踏まえて関わり方を調整していく視点です。

この記事ではまず、幼児期から小学校低学年にかけての子どもとの関わり方について解説していきます。この時期は、知的好奇心が大きく広がる一方で、関わり方の土台が形づくられていく大切な時期でもあります。

幼児期〜小学校低学年のギフテッドの子どもに見られやすい特徴

この時期のギフテッドの子どもには、いくつかの特徴が見られることがあります。例えば、

  • 言葉の理解が早い
  • 大人の会話をよく理解している
  • 強い好奇心を示す
  • 興味の対象に長時間集中する
  • 年齢に比べて高度な質問をする

こうした特徴は、周囲から見ると「とても賢い子」「よくできる子」と映ることが多いでしょう。

一方で、この時期の子どもはまだ発達の途中にあります。知的な理解が早くても、情緒や社会性、身体的な発達は年齢相応であることも少なくありません。

つまり、知的発達と他の発達が必ずしも同じスピードではないというアンバランスさが生じやすいのです。

このアンバランスさが、親御さんにとって関わり方に迷いを生じさせやすいポイントとも言えるでしょう。

このアンバランスさを理解することが、関わり方を考える上での大切な出発点になります。理解の早さだけで判断するのではなく、「ここは年齢より高いかも。でも、ここは年齢相応か、年齢よりも少し下かもしれない」というように、子どもの全体的な発達を丁寧に見ていくことが大切になります。

年齢よりも高い水準での対応が必要となる部分と、年齢相応あるいは年齢よりも下かもしれないという状態への対応が必要となる部分。年齢だけで判断できない、子どもの得手不得手に合わせた対応の調整が必要となるのです。

幼児期〜小学校低学年の時期の親御さんが迷いやすいポイント

この時期は、親御さんにとっては、最も迷いが生じやすい時期かもしれません。例えば、

「この子は理解が早いから、もっと先のことを教えた方がいいのではないか」

「好きなことに夢中になっているけれど、このままでいいのだろうか」

「能力がありそうだから、もっと伸ばしてあげた方がいいのではないか」

こうした思いは、ごく自然なものです。しかし同時に、

  • どこまで手助けすればいいのか
  • どこから任せればいいのか
  • どの程度見守るべきなのか

というバランスに迷うことも多くなります。

ギフテッドの子どもに対する関わり方は、「先回りしてサポートする」か「自立のために任せる」かという単純な問題ではありません。

むしろ大切なのは、子どもの思考や探究のプロセスをどう支えるかという視点です。知識をどれだけ増やすかよりも、子どもが自分の興味を手がかりに考え続けられる環境を整えることが、長い目で見たときの学びや成長につながっていきます。

子どもが興味を示したとき、大人はつい説明したくなったり、答えを教えたくなったりします。ただ、ギフテッドの子どもから発される質問や疑問は、親御さんにとって、「知らない」「そんなこと疑問に思ったこともない」というような答えに窮することが多いことでしょう。

「大人・親だから、答えてあげなければいけない」——そんな考えは不要です。

親(大人)だって、知らないことはある。知らないことの学び方や、知らないことに直面したときの対処の仕方を、子どもと一緒に示していくことが大切なのです。

ギフテッドの子どもは、もともと好奇心が強く、考えることを楽しむ傾向があります。そのため、答えを先に示してしまうと、思考の楽しさそのものを奪ってしまう可能性があります。

子どもが自分なりの仮説を立てたり、試してみたりする経験は、知識以上に大切な学びになります。大人が急いで答えを示すよりも、考える時間を尊重することが、子どもの思考力を育てることにつながります。

年齢に比べて多くの知識を獲得できているということよりも、思考力(考えることができる力)こそが、その子の強みであり、財産になるのです。


一方で、「この子はできるから大丈夫」と子ども自身だけでやらせる範囲を広げすぎることにも注意が必要です。ギフテッドの子どもは、さまざまなことへの理解が早いために、周囲から「何でもできる子」と見られやすいことがあります。しかし実際には、

  • 失敗への不安が強い
  • 完璧にできる見通しが持てないと挑戦しにくい
  • 情緒的なサポートが必要

といった側面を持つ子どもも少なくありません。能力が高そうに見えるほど、「助けが必要な部分」が見えにくくなることがあります。

そのため、任せることと同時に、安心できる土台をつくる関わりも大切になります。子どもが安心して失敗できる環境や、「うまくいかなくても大丈夫」と感じられる関係性は、新しいことに挑戦する力を育てる大切な支えになります。

失敗しても怒られない、否定されない。

失敗が肯定され、次につなげる方法を一緒に考えてもらえる。

子どもにとって、そんな状況こそが、安心して失敗できる環境となるのです。

この時期に大切な関わり方

幼児期から小学校低学年のギフテッドの子どもにとって大切なのは、能力を伸ばすことだけではありません。むしろ重要なのは、知的好奇心を安心して発揮できる環境です。例えば、

  • 子どもの問いを大切にする
  • 興味のあることを深く探究できる時間をつくる
  • 答えを急がない

こうした関わりは、子どもの思考を自然に育てていきます。また、知識を増やすことよりも、

「どうしてそう思うの?」

「他にはどんな考えがあるかな?」

といった問いかけを通して、子どもの思考そのものに寄り添うことも有効です。こうした対話の積み重ねは、子どもが自分の考えを言葉にし、思考を深めていく力を育てます。

日常生活の中でも、子どもの探究を支える関わりはたくさんあります。例えば、子どもが「どうして空は青いの?」と聞いたとき、すぐに答えを説明するのではなく、

「どうしてだと思う?」

「一緒に調べてみようか」

といった形で対話を広げることも一つの方法です。また、興味を持ったテーマについて図鑑を見る、一緒に調べる、実際に観察してみるといった体験を重ねることで、子どもの探究心は自然に育っていきます。

このような関わりの中で大切なのは、「正しい答え」にたどり着くことよりも、考える過程を楽しむことです。大人がすぐに答えを示すよりも、子どもの疑問に一緒に向き合う姿勢が、知ることの面白さや学ぶ楽しさを育てる土台になっていきます。

親御さんにとって、子どもの持っている知識量が、自分の知っている知識をすでに大幅に超えているという場合もあるでしょう。そのような場合には、「分かんないから教えて」と興味を持って聞いてあげ、親御さんが素直に疑問に思ったことを質問してみるという関係性だって問題はないのです。そのようなコミュニケーションを重ねる中で、子どもは他者の視点から見た疑問や興味を知り、さらに学びを深めていくことにつながるのです。

小学校で起こりやすい「学習のミスマッチ」

幼児期は、子どもの興味に合わせて比較的自由に学びを広げやすい環境なことが多いです。しかし、小学校に入学すると、学校の学習ペースの中で過ごす時間が増えていきます。

ギフテッドの子どもの場合、学習内容そのものは理解できていても、

  • 学習の進み方がゆっくりに感じる
  • すでに理解している内容の繰り返しが多い
  • 宿題の意味を見出しにくい

といった理由から、授業に退屈さを感じることがあります。その結果、

  • 授業中にぼんやりする
  • 別のことを考えてしまう
  • 宿題に取り組む意欲が下がる

といった行動が見られることもあります。場合によっては、こうした姿が「問題行動」と捉えられてしまうこともあるでしょう。しかし、これは必ずしも「やる気がない」わけではありません。むしろ、知的な刺激が不足しているときに起こりやすい反応とも言えます。

こうしたときに大切なのは、学校の学習を否定することでも、無理に合わせさせることでもなく、子どもにとっての知的な満足感を家庭の中でも補っていくことです。例えば、

  • 子どもが興味を持っているテーマを家庭で深める
  • 学校の内容から発展する問いを一緒に考える
  • 本や図鑑、体験を通して学びを広げる

といった関わりは、学校の学習と子どもの好奇心のバランスを保つ助けになります。

また、「分かっているのになぜやらないといけないのか」「もう覚えている漢字をなぜ何度も書かないといけないのか」などと疑問に感じ、宿題に取り組む意味を見出せずにいる子どもも多くいます。

宿題というのはあくまでツールであり、

  • 決められた期日に決められたものを提出する(締め切りを守る)
  • 興味が持てないことでも取り組む姿勢をつける
  • やりたいことと、やらなければいけないことの時間コントロールの力をつける

などの、社会に出てから必要なスキルを身につけるための学びの一つであることを伝えていくことも一つの方法です。

すぐには理解できないかもしれませんが、目的や理由が分かると取り組む意欲につながり、感情をコントロールする力の向上にもつながっていきます。

◆ おわりに

幼児期から小学校低学年は、子どもの知的好奇心が大きく広がる時期です。この時期に大切なのは、能力を早く伸ばすことよりも、思考することの楽しさを守ることです。

先回りでも放任でもなく、子どもの問いや興味に寄り添いながら、安心して考えられる環境を整える。そのような関わりが、子どもの知的成長を長い目で支えることにつながります。

幼い頃に「考えることは楽しい」と感じた経験は、その後の学び方にも大きく影響します。好奇心を大切にする関わりが、子どもの主体的な学びを支える土台になっていきます。

ギフテッドの子どもとの関わり方
【小学校中〜高学年編】

小学校中学年から高学年になると、子どもの思考や関心の世界はさらに広がっていきます。幼い頃から知的好奇心が強かったギフテッドの子どもは、この時期になると、自分の興味のある分野についてより深く考えたり、抽象的なテーマについて関心を持つようになることも少なくありません。

一方で、学校生活の中では「同じ年齢の集団の中で学ぶ」という環境が続きます。そのため、子どもの知的特性と学校生活との間にギャップを感じる場面も増えていきます。例えば、

  • 授業の進み方に退屈さを感じる
  • 同年代の友達との関心の違いを感じる
  • 自分に高い基準を課して疲れてしまう

といったことが起こることもあります。

親御さんの中には、

「この子の興味や能力を伸ばすためには、どのような環境がよいのだろうか」

「友達関係がうまくいっていないように感じる」

「好きな教科と興味のない教科の差が激しすぎて、このままでよいのだろうか」

「思い通りにできないと癇癪を起こすなど、情緒面の不安定さがより強くなってきている」

といった悩みを抱える方もいるでしょう。この記事では、小学校中学年〜高学年のギフテッドの子どもに見られやすい特徴や葛藤を整理しながら、知的特性に合った関わり方について解説していきます。

小学校中学年〜高学年に見られやすい特徴

この時期になると、子どもの思考や認知の発達が進み、物事をより複雑に考える力が育っていきます。

思考の高度化

物事を論理的に考えたり、複数の視点から問題を捉えたりする力が高まっていきます。社会問題や科学的な疑問など、大人でも答えるのが難しい問いを持つ子どももいます。

興味の深化

特定のテーマに強い関心を持ち、その分野について深く調べたり考えたりすることがあります。

完璧主義の傾向

理解力が高い子どもほど、自分に対する基準が高くなり、少しのミスでも強く落ち込んでしまうことがあります。

学校とのミスマッチ

すでに理解している内容を繰り返す授業に退屈さを感じたり、自分の興味のあるテーマとの距離を感じたりすることもあります。

こうした特徴は子どもの強みでもありますが、同時に学校生活の中でさまざまな葛藤を生むこともあります。

その一つが「できるはず」と言われることへのプレッシャーです。周囲から「賢いね」「よくできるね」と言われ続けると、子どもは次第に「できなければならない」という感覚を持つようになることがあります。その結果、失敗を強く恐れたり、自分の能力に自信を持てなくなったりすることがあります。

特に小学校高学年頃になると、周囲との比較や自己評価が強くなり、自己否定の気持ちが出やすくなる子どももいます。理解力が高い子どもほど、自分の足りない部分に意識が向きやすく、「自分はまだ十分ではない」「もっとできなければいけない」と自分を厳しく評価してしまうことがあります。

こうした自己否定の感覚は、完璧主義と結びつくことで、子どもにとって大きな心理的負担になることがあります。

また、同年代の友達との関係に難しさを感じることもあります。興味の対象や会話の内容が周囲と合わない場合、孤立感を感じたり、自分の考えを表現しにくくなったりすることもあります。

さらに、学校の授業に退屈さを感じることもあります。すでに理解している内容が繰り返されることで、授業に集中できなくなることもあるでしょう。一方で、興味のある教科と興味のない教科への取り組みの差が顕著になり、成績にも影響が出る場合もあります。

こうした状況が長く続くと、学校生活そのものに疲れを感じたり、学校へ行くことへの意欲が低下したりすることもあります。場合によっては、学校への強いストレスが積み重なり、不登校につながるケースもあります。

もちろんすべての子どもに起こるわけではありませんが、知的特性と学校環境のミスマッチが心理的な負担につながることがある点は理解しておく必要があります。

この時期の親御さんが迷いやすいポイント

このような状況の中で、親御さんはさまざまな迷いを感じることがあります。例えば、子どもの能力が見えてくるほど、「この力をどこまで伸ばしてあげるべきなのか」と悩むことがあります。学校の勉強だけで十分なのか、それとも家庭で別の学びを用意するべきなのか、判断に迷うこともあるでしょう。

また、学校との関係についても悩みが生まれやすい時期です。子どもが授業を退屈だと感じている場合、学校に相談するべきなのか、それとも家庭で工夫するべきなのか……。

さらに、友達関係についても気になるところです。子どもが学校で孤立していないか、友達と関係を築けているのか、親御さんとして心配になることもあるでしょう。

こうした迷いは、ギフテッドの子どもを育てる家庭では決して珍しいものではありません。

親御さんにとっては学習面はとても気になるポイントではあるかと思いますが、小学校中学年〜高学年のギフテッドの子どもにとっては、学習面以上に精神面のサポートが重要になることも少なくありません。

ギフテッドの子どもは、今は興味のない内容であっても、将来就きたい仕事に必要だと目的が明確になれば、自分で学びを深めていく力を持っていることは少なくありません。

この時期に大切な関わり方

小学校中学年〜高学年のギフテッドの子どもへの関わりでは、学習面を伸ばすこと以上に、精神面の安定を支える関わりが重要になることがあります。この時期は、学校とのミスマッチや友達関係の悩み、完璧主義によるストレスなど、子ども自身がさまざまな葛藤を抱えやすい時期でもあります。

そのため、能力をどこまで伸ばすかを考えることと同時に、子どもが安心して過ごせているか、心の余裕が保たれているかという視点を持つことが大切になります。

学びのプロセスを大切にする

結果よりも「どのように考えたのか」「どんな工夫をしたのか」に目を向けることで、子どもは安心して挑戦できるようになります。

安全な失敗経験

うまくいかなかった経験の中から学ぶことは、子どもの成長にとって欠かせません。幼児期〜小学校低学年編でも同様のことを記載していますが、この時期は子どもの精神衛生面の観点からより重要なポイントでもあります。

興味を深く掘り下げられる環境

学校の学習だけでは満たされない知的好奇心を、家庭で支えることができる場合もあります。特定の分野に興味を持って探求してきた場合、この時期にはかなりの知識量を有しています。自己学習だけでは物足りなさが生じてくる場合もあり、学校以外の場で子どもの興味をより深められる環境があるとよい時期でもあります。

博物館や科学館、ワークショップなどの体験は、子どもの知的好奇心を満たすきっかけになります。検定試験を受けたり、自主研究や探究活動のような形で、子ども自身がテーマを決めて調べる経験も有効です。

同じ興味を持つ仲間との出会い

子どもが興味を持つ内容について、同等の知識を持って対等に話ができることは、子どもの心の充足感となります。本やネットなどで自分で調べて学ぶだけでなく、同じことに興味を持つ仲間との触れ合いも、この時期には大切な学びの一つです。

学校の中だけで友達関係を完結させる必要はありません。学校で合わないなら、外で見つけようくらいの感覚で考えてみるとよいでしょう。今はオンラインという形でどこでも繋がれることが多いです。

同じ興味を持つ仲間と出会える場があると、子どもが安心して自分らしくいられることがあります。その仲間は子どもの実年齢とは異なる世代の方かもしれません。それでも問題はありません。子どもの興味、そしてこれまで身に付けてきた知識、学ぶ姿勢が認められ、その興味について対等に話ができる——そのような人たちとの触れ合いがあることが重要となるのです。

◆ おわりに

小学校中学年〜高学年は、知的な好奇心がさらに深まり、自分の世界が広がっていく時期です。同時に、学校生活の中で葛藤やストレスを感じやすい時期でもあります。

この時期の関わりで大切なのは、学習面を伸ばすことよりも、知的好奇心と心理的な安心の両方を大切にすることです。子どもの興味や探究心を尊重しながら、安心して挑戦できる環境を整えること。失敗しても大丈夫だと感じられる関係を築くこと。そして、同じ興味を持つ仲間との触れ合い。

そのような関わりが、子どもが自分らしく学び続けていく力を支えていきます。

ギフテッドの子どもとの関わり方
【中学生以降編】

中学生以降になると、子どもの思考や価値観はさらに大きく広がっていきます。知的好奇心が強かったギフテッドの子どもは、この時期になると、より抽象的なテーマや社会的な問題について深く考えるようになることがあります。

一方で、小学校高学年頃から始まっている思春期という発達段階は、誰にとっても心の揺れが大きい時期でもあります。自分とは何者なのか、どのように生きていくのかといった問いを持ち始める中で、さまざまな葛藤を経験することがあります。

ギフテッドの子どもの場合、思考の深さや感受性の高さゆえに、こうした葛藤がより強く表れることもあります。そのため、小学校中学年〜高学年のとき以上に、心理面や社会面でのサポートがより重要になる時期とも言えるでしょう。

中学生以降のギフテッドの子どもに見られやすい特徴
抽象思考の深化

社会の仕組みや倫理、人生の意味など、より広い視点から物事を考えるようになることがあります。ニュースや社会問題について強い関心を持ち、大人と対等に議論するような姿が見られることもあります。

社会への疑問

学校のルールや社会の慣習について、「なぜそうなっているのか」「本当に合理的なのか」と疑問を抱くことがあります。特に、論理的な整合性を重視する子どもの場合、理由が曖昧なルールや慣習に強い違和感を持つこともあります。その結果、学校のルールや大人の説明に納得できず、反発的な態度として表れることもあります。

自己理解の模索

自分の価値観や能力について深く考えるようになり、「自分はどんな人間なのか」「何を大切にして生きていきたいのか」といった問いを持つようになります。

ギフテッドの子どもの場合、この自己探求が非常に深くなることもあります。小学校中学年〜高学年頃になんとなく「周りと違う気がする」などモヤモヤと感じ始めていたことが、しっかりと言語化できるようになってくる時期でもあります。

完璧主義・自己否定の強まり

一方で、理想が高いほど、自分の不十分な部分に意識が向きやすくなり、完璧主義や自己否定の感覚が強くなることもあります。

小学校高学年頃から見られ始める自己否定の感覚が、中学生頃になるとさらに強くなるケースもあります。自分の理想と現実とのギャップを強く感じ、「自分はまだ足りない」「もっとできるはずなのに」と自分を厳しく責めてしまうこともあります。

感覚過敏・感情の起伏

感受性の強さゆえに、感情の起伏が大きくなることもあります。環境の刺激に敏感で、音や光、人の雰囲気などに強く影響を受ける子どももいます。

もともと少し感覚過敏を抱えていながらも普段は大きく気にならずにいても、他の要因がストレスとなり、ストレスの蓄積によって神経が過敏に反応しやすくなる時期でもあります。

中学生以降に起こりやすい課題
学校とのミスマッチ

学習内容そのものよりも、学習の進め方や学校の制度に違和感を持つことがあります。興味のある分野には強い集中力を発揮する一方、興味のない課題には取り組みにくかったり、意味を感じられない作業に強い抵抗感を持ったりといった行動の差が見られることもあります。

将来への不安

将来について深く考えるようになることで、過度な不安を抱くこともあります。社会問題や環境問題などに強い関心を持つ子どもの場合、将来の社会に対する悲観的な見方を持つこともあります。

孤立感

興味の対象や考え方が周囲と合わない場合、自分の考えを共有できる相手が少ないと感じることがあります。知的な関心や価値観の違いから、同年代の友人と深い会話が成立しにくいと感じることもあるでしょう。

子ども自身が自分らしさを貫いて周りと距離を置くか、本当の自分を出すと浮いてしまうと考えて自分を抑えて合わせていくか、どちらかの選択をすることが多いです。

この時期の親御さんが迷いやすいポイント

このような状況の中で、親御さんはさまざまな迷いを感じることがあります。例えば、

「どこまで介入してよいのだろう」

「本人の考えを尊重するべきなのか、それとも助言するべきなのか」

といった悩みが生まれることもあります。

中学生以降は、子どもがより自立へ向かう過程でもあり、一般的にも親子の距離感をつかむことが非常に難しい時期です。言いすぎると反発し、言わないと行動しないといった状況が起こりやすく、小学生の頃までとは違う難しさで、関わり方に迷う場面も増えていきます。

過度に介入することは子どもの自立を妨げてしまう可能性もあります。一方で、完全に任せてしまうと、子どもが孤立してしまうこともあります。

特にギフテッドの子どもの場合、大人びた理屈や論理で自分の考えを語ることが多く、子どもの言うことが理解できないわけではないと感じることもあるでしょう。しかし、その考えが必ずしも社会の中でそのまま通用するとは限りません。このような理屈と現実とのギャップをどのように伝えていくかは、親御さんにとって難しいテーマになることもあります。

自立とサポートのバランスをどう取るかは、多くの親御さんにとって大きな課題となります。子どもが自分で考え、選択していく力を尊重しながらも、困ったときに頼れる存在であり続けることが、この時期の関わりでは大切になります。

この時期に大切な関わり方
思考のパートナーになる

中学生以降のギフテッドの子どもへの関わりで大切なのは、思考のパートナーになることです。子どもが持つ疑問や考えを否定せず、対等な立場で対話をすることが重要になります。この時期は、大人が答えを与えるよりも、一緒に考える姿勢が求められることも多くなります。

また、すぐに答えを出そうとするのではなく、問いを共有する対話も大切です。例えば、

「あなたはどう思う?」

「別の考え方もありそうかな」

といった問いかけは、子どもが自分の思考を整理する助けになります。

まだ子どもとして未熟な部分が見え隠れしつつも、大人と何ら変わらない会話ができる。もしかしたら、親御さんの方がもう子どもの会話についていけないという場合もあるかもしれません。

「子どもだから」「大人だから」という枠は取っ払って、自分の子どもとは言え、人と人との関わりと考えることが一番シンプルかもしれません。

子どもが知らないこと・できていないことは教える・伝える、親御さん自身が知らないことは子どもから教えてもらう。そんなスタンスを意識できるとよいでしょう。

社会との接点を増やす

学校だけが社会ではありません。ボランティア活動や探究活動、外部のコミュニティなど、さまざまな人と出会う経験は、子どもの視野を広げるきっかけになります。また、同じ興味を持つ仲間との出会いは、子どもにとって大きな安心感につながることがあります。

こうした場では、年齢の違う人と交流することもあります。しかし、それは決して問題ではありません。むしろ、興味や関心を共有できる相手と出会うことが、子どもにとっての居場所になることもあります。

同じことを伝えても、親が言うのと、第三者が言うのとでは、受け入れやすさが異なり、特にこの時期は親が言っても聞き入れないことも、第三者が言うと聞き入れるということが生じやすい時期でもあります。

そういう意味でも、場所や年齢にこだわらず、いろいろな人と関われる機会を持つことは、子どもの成長によい影響をもたらすでしょう。

また、高校受験、大学受験、就職などと自分で環境を選択していくことが増えていきます。自分にどんな環境が合っているのか、どんな環境だと居心地がよいと感じるのかなどを把握していくためにも、学校という一つの限られた環境だけでなく、いろいろな人・環境との接点を作ることは大切になります。

◆ おわりに

中学生以降のギフテッドの子どもは、知的な可能性を大きく広げていく一方で、深い葛藤を抱えることもあります。

この時期の関わりで大切なのは、能力を伸ばすことだけではありません。むしろ重要なのは、子どもが安心して自分らしくいられる環境を守ることです。

自分の考えを話してもよい場所があること。失敗しても受け止めてもらえる関係があること。そして、自分の興味を大切にしてよいと感じられること。

そうした「存在の安心」があるとき、子どもは自分の力を自然に伸ばしていくことができます。中学生以降は、子どもが自分自身の生き方を模索していく大切な時期です。その過程に寄り添う関わりが、子どもの未来を支える力になっていきます。