ギフテッドと自閉スペクトラム症(ASD/アスペルガー症候群)の違いを解説

記事

「ギフテッドとアスペルガー症候群の違いがわからない」
「IQが高い子どもは天才?それとも発達障害?」
「ASDやADHDとギフテッドはどう関係するの?」

近年、「ギフテッド アスペルガー症候群」「ギフテッド ASD」「ギフテッド 発達障害」といったキーワードで検索する人が急増しています。

知的能力や才能が高い一方で、社会性や感情面に困難を感じる子ども・大人の存在があるのかもしれません。

この記事では、ギフテッドとアスペルガー症候群(自閉スペクトラム症/ASD)の違い・共通点・特徴を整理し、「2E」という考え方や、子どもから大人まで必要とされる支援やサポートの方について、わかりやすく解説します。

ギフテッドとは、特定の分野で年齢水準を大きく超える知的能力・記憶力・集中力・理解力を持つ人を指します。

一般には「天才」「頭がいい子」と表現されがちですが、学習面だけでなく、以下のような特徴を併せ持つケースが多いです。

  • IQが高い、または知能検査で突出した結果が出る
  • 興味のある分野への集中力が非常に強い
  • 抽象的な概念理解や論理思考が早期から発達している
  • 記憶力がとても高く、知識を深く蓄積する
  • 自分なりの考えを強く持ち、一般論に疑問を持ちやすい

一方で、精神面の状態と知的能力とのギャップや感情の鋭さなどを併せ持つ場合もあり、「才能はあるのに生きづらい」と感じる人も少なくありません。

アスペルガー症候群は、現在では自閉スペクトラム症(ASD)に含まれる発達障害の一つと位置づけられています。

※ 医学的に現在正しい正式名称は「自閉スペクトラム症(ASD)」です。「アスペルガー症候群」という呼び方は、2013年に発表されたDSM-5(精神疾患の診断基準)で「自閉スペクトラム症(ASD)」に統合されましたが、厚労省が採用しているICD-10の診断基準では、「アスペルガー症候群」という用語が使われているようです。

以下で自閉スペクトラム症(ASD/アスペルガー症候群)の主な特性をご紹介します。

  • 社会性や対人関係の築きにくさ
  • 暗黙のルールや空気を読むことが苦手
  • 言葉を字義通りに理解しやすい傾向がある(直線的なコミュニケーション)
  • 強いこだわりや興味の偏り
  • 感覚過敏・感覚鈍麻などの感覚特性

ASDは「症」とつくものの、病気ではなく脳の情報処理の特性です。

ギフテッドと自閉スペクトラム症(ASD/アスペルガー症候群)は、外から見た行動だけを見ると非常に似て見えることがあります。

そのため、保護者や教育現場で混同されやすく、「どちらなのか分からない」「対応に迷う」と感じられることも少なくありません。

たとえば、次のような行動は両者に共通して見られることがあります。

  • 一つの興味・テーマに強く没頭する
  • 集団行動や同調を求められる場面が苦手
  • 同年代の子どもより、大人との会話を好む
  • 論理性を重視し、感情論が通じにくい印象を与える

しかし、これらの行動が生じている背景や内側の認知の仕組みには大きな違いがあります。

以下では、ギフテッドと自閉スペクトラム症(ASD/アスペルガー症候群)それぞれの場合における特徴を説明します。

違いを見極めるためには、表面的な振る舞いではなく、「なぜそうしているのか」に目を向けることが重要です。

ギフテッドの場合

ギフテッドの子どもが上記のような行動を示す背景には、主に知的能力と思考の特性が背景にあります。

  • 周囲との知的レベルや興味関心の差が大きい→話が合わないことで孤立してしまう
  • 学校や日常生活で知的刺激が十分でない→退屈やフラストレーションから問題行動として表れる
  • 思考のスピードが速く結論までを頭の中で省略してしまう→他者にとっては「説明不足」「唐突」に見える

この場合、他者理解の能力そのものは保たれていることが多く、「分かっているけれど、合わせる必然性を感じられない」「話が合わないので距離を取っている」という状態であることも少なくありません。

つまり、困りごとの中心となる原因は「理解できない」ことではなく、「合わない」「満たされない」状態にあります。

自閉スペクトラム症(ASD/アスペルガー症候群)の場合

一方で自閉スペクトラム症(ASD/アスペルガー症候群)の場合は、行動の背景に社会的認知の特性そのものがあります。

  • 他者の感情、意図、暗黙の了解を直感的に読み取ることが難しい
  • 社会的ルールや対人距離感を経験から自然に学びにくい
  • 対人関係や集団状況そのものが強いストレスになりやすい

そのため、本人なりに努力していても、誤解が生じたり、関係構築が負担になったりします。

この場合の困りごとは、「合わせたくない」のではなく、「どう合わせればよいか分からない」ことに起因します。

見極めのポイント:行動ではなく「理由」

ギフテッドと自閉スペクトラム症(ASD/アスペルガー症候群)を区別するうえで最も重要なのは、同じ行動が見られても、その動機や困難の質が異なるという点です。

  • 知的刺激や環境が整うと、対人関係の困りごとが軽減するか
  • 説明や言語化を補うことで、他者理解がスムーズになるか
  • 社会的ルールを「理解できているが納得していない」のか、「そもそも把握しにくい」のか

こうした視点で観察することで、適切な支援や関わり方が見えてきます。

近年、教育・心理の分野で注目されているのが、ギフテッド性と発達障害(ASDやADHDなど)の特性を併せ持つ「2E(Twice Exceptional)」というケースです。

2Eとは、「二重の特性を持つ」という意味で、高い知的能力と、発達特性による困難が同時に存在する状態を指します。

2Eの人に見られやすい特徴として、次のような点が挙げられます。

  • 特定分野において非常に高い知的能力や創造性を示す
  • 一方で、感覚過敏がある、社会的やり取りに負荷を感じやすいなどの特性を併せ持つ
  • 知的な強みによって困難が補われ、支援が必要な部分が周囲から見えにくくなる

この、強みが困難を覆い隠してしまうという構造が、2Eの理解をより難しくしています。

というのも、ギフテッド × 自閉スペクトラム症(ASD/アスペルガー症候群)の子どもは、語彙力や論理力、記憶力の高さによって、対人関係や社会的場面を「理屈」で補っていることがあります。

  • 会話の流れをパターンとして記憶し、適切そうな返答を選んでいる
  • 社会的ルールを直感ではなく、明文化された知識として理解している
  • 他者の感情を推測ではなく、経験則や推論で処理している

そのため、一見すると「コミュニケーションに問題がない」「空気が読めている」ように見えることもあります。

しかし実際には、常に強い認知的負荷をかけながら対人場面を乗り切っている状態であることが少なくありません。

また、自閉スペクトラム症(ASD/アスペルガー症候群)の特性として、感情よりも事実や論理を優先する傾向があります。ギフテッド性が加わることで、その論理性がさらに洗練され、

  • 指示やルールの矛盾を正確に指摘する
  • 感情的な理由より、合理性を重視する
  • あいまいな表現や「察して」を受け入れにくい

といった振る舞いが目立つことがあります。

このような姿は、「理屈っぽい」「融通が利かない」「生意気」と受け取られやすい一方で、本人にとっては状況を理解し、安心を保つための自然な認知スタイルなのです。

ギフテッドや2E(特にASD特性を併せ持つ場合)の困りごとは、年齢とともに形を変えて表れます。

特性そのものが変わるというよりも、求められる役割や環境が変化することで、負担の出方が変わると考えると理解しやすいでしょう。

子どもの場合

子ども期は、学校という集団環境の中で過ごす時間が長く、同調や一斉行動が強く求められる時期です。そのため、以下のような困難が表れやすくなります。

  • 授業の進め方や集団ルールになじめず、学校生活で不適応を起こしやすい
  • 興味や会話の方向性が周囲と合わず、友人関係のトラブルや孤立を経験しやすい
  • 知的刺激が不足したり、逆に過剰なストレスを感じたりすることで、学習意欲が低下する

特にギフテッド × ASDの子どもは、「理解はできているのに、やり方が合わない」「正しさが分かっているからこそ納得できない」といったズレを抱えやすく、周囲からは反抗的・協調性がないと誤解されることもあります。

大人の場合

成長するにつれ、学習面での困難は目立ちにくくなる一方で、対人関係や環境とのミスマッチがより大きな問題として表面化してきます。

  • 職場での曖昧な指示や暗黙の了解、人間関係に強いストレスを感じる
  • 能力や専門性を活かせない業務内容や評価制度の中で、フラストレーションを抱える
  • うまく適応できない経験が重なり、自己肯定感が低下する

大人になると「我慢する」「合わせる」ことが前提とされやすくなるため、困難が表に出にくく、本人だけが疲弊している状態に陥りやすいのも特徴です。

大人になってから気づくケースが多い理由

ギフテッドや2Eの人の中には、子ども時代に大きな問題が指摘されず、大人になってから初めて「自分はASDなのでは」と疑問を持つケースも少なくありません。

  • 知的能力の高さで学業や仕事をこなせてきた
  • 周囲に「優秀」「変わっているけれど問題はない」と評価されてきた
  • 困難を自分の努力や性格の問題として処理してきた

しかし、環境の変化や責任の増加によって限界が表れ、診断や専門相談につながることも少なくありません。

年齢によって困りごとの現れ方は変わっても、根底にある特性は一貫して存在しています。今の困りごとだけで判断するのではなく、これまでの経験や感じてきた違和感を含めて理解することが、適切な支援や自己理解のために有用です。

ギフテッドでも自閉スペクトラム症(ASD/アスペルガー症候群)でも、重要なことは、

  • どんな環境なら能力を発揮しやすいか
  • どんな場面でストレスを感じやすいか
  • どんなサポートがあれば学習や生活が楽になるか

を丁寧に見ていくことです。

その上で、教育現場や家庭では、必要に応じて環境調整をしたり、興味を活かした学習方法を提供することが大きな助けになります。

  • ギフテッドと自閉スペクトラム症(ASD/アスペルガー症候群)は違う概念
  • ギフテッドと自閉スペクトラム症(ASD/アスペルガー症候群)やADHDを併せ持つ2Eの人もいる
  • 行動ではなく特性の背景を見ることが大切

ラベルに振り回されず、その人の知能・精神・感情・環境を立体的に理解することが、最も実践的な支援につながります。

困りごとやお子さんの状況を見ながら、必要に応じて専門家に相談することも検討しましょう。

わが子がギフテッド(Gifted)かもしれない、と思ったら、まずは「ギフテッド診断」テストを受けてみることもおすすめです。

「ギフテッド診断」テストでは、子どものIQ(知能指数)や行動特性、才能のバランスを多くの側面から確認することができます。

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