子どもがすぐ怒る、すぐ癇癪を起こす、周囲に当たってしまう……。

そんなとき、大人は「どうしたらいいの?」と戸惑うことが多いのではないでしょうか。

でも実は、怒りにはちゃんと意味があり、適切に向き合うことで子ども自身の感情コントロール力を育てるチャンスにもなります。

子どものアンガーマネジメント【前編】|「怒り」「癇癪」との向き合い方では、怒りの原因別の対処法や生活習慣の乱れの影響、子どもの癇癪中の正しい対応などについて解説していきました。

今回は後編として、子どもの怒りについてのお悩みと対処法について、さらに具体的な日常の場面を想定して解説していきます。

原因を見つけて、解決方法を一緒に考えよう

誰かに怒りをぶつけてしまう子どもには、まず「なぜ怒ったのか」と「どうすればよかったのか」を一緒に考える機会を作ってあげましょう。

怒りは「二次感情」と呼ばれ、実際にはその奥に「悲しみ」「寂しさ」「悔しさ」などの感情が隠れていることがほとんどです。

子どもがまだ自分の気持ちを言語化できない場合には、親が「もしかしてこんな気持ちだったのかな?」と代弁してあげるのもおすすめです。

また、怒りを「人にぶつけることで収まるものではない」ということも、丁寧に伝えていきましょう。

このように、感情の出口を用意してあげることで、徐々に「怒りの扱い方」が身についていきます。

機嫌を取らない、「無理しない関係」の築き方

お子さんが「怒りっぽいお友だち」と関わるとき、親としては配になりますよね。

ただ大切なのは、お友だちに対して「機嫌を取ること=良い関係ではない」ということです。

もし、お子さんが怒りっぽい友だちに気を遣いすぎて「自分らしくいられない」状態なら、それは見直しが必要かもしれません。

一方で、「まあまあ」と上手になだめたり、自然体で過ごせているようであれば、それは子どもなりにバランスの取れた関係を築けている証拠です。

親が介入しすぎず、見守ってあげる姿勢も時には大切でしょう。

『俯瞰カメラ』の発動を

子どもの怒りに直面したとき、つい親も感情的になってしまうこと、よくあると思います。

でも、その怒りに怒りで返してしまうと、悪循環に陥ってしまうことも。

そんなときに使えるのが「俯瞰カメラの視点」です。

このように、一歩引いて全体を見る視点を持つことで、自然と冷静さを取り戻すことができます。

小学4年生以降は“任せる”ことが育てる力になる

とくに小学校中学年以降になると、子どもは自立の芽が出始め、思春期や反抗期も相まって反抗的な態度も増えてきます。

「宿題をやらない」「ゲームをやめない」など、親の言うことを聞かないことも多くなるのは自然なことです。

この時期に大切なのは、「親の課題と子どもの課題を分ける」という視点です。

例えば、宿題について。宿題というものは子どもと先生の約束ですよね。親が過剰に介入せず、やらない経験から学ばせてもOKなのです。

(もちろん、「とはいっても大人が・・・」となる気持ちもわかります。)

また、ゲームに関しては、事前に話し合ったルールを守るよう促し、納得して決めた枠組みの中で毅然と対応することが重要です。

子どもが自分の選択の結果を体験できるような関わり方が、感情的なやりとりを減らし、心の健全な成長につながります。

“なだめる”より“代弁する”サポートを

子どもの問題でパートナーが感情的になっているとき、「どう関わるのが正解か分からない」と感じることも多いでしょう。

そんなときは、「とにかくなだめようとする」のではなく、パートナーと子ども双方の代弁者になることを意識してみてください。

「パートナーとして、何かできることはないか?」と悩んでいる時点で、すでに十分に心強い存在です。

パートナーとの間で「一緒に子育てをしている」という感覚を共有できること自体が、家庭全体の安心感に繋がっていきます。

子どもが怒るのは、心がまだ未熟な証拠ではありません。

むしろ、「うまく表現できない気持ちがある」という成長の途中にいるサインです。

親ができるのは、その感情に巻き込まれるのではなく、感情の背景にあるものを丁寧に見つめる視点を持つこと。

そして、ときに距離をとりながら、安心して気持ちを出せる関係を続けていくことです。

怒りもまた、子どもを知る大切な手がかりです。

親子で一緒に感情を学び、成長していけたら素敵ですね。

こちらの動画で専門家が詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。