ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン

アートとデザインの世界で才能を開花させ、革新的なアイデアを育む場所として、「ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン」が世界的に注目されています。

「ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン」は、アメリカ合衆国の美術大学の中では受験倍率がもっとも高い大学の一つであり、「美大のハーバード」とも呼ばれています。

創立以来、芸術とデザインの世界に革新と躍動感をもたらし、発展に貢献してきました。

本記事では、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの豊かな歴史、革新的なプログラム、卒業した人物たちの共通点と世界へのインパクトについて紹介していきます。

ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(Rhode Island School of Design、略称RISD、愛称「リズディ」)は、アメリカ合衆国ロードアイランド州プロビデンスにある私立の美術およびデザイン専門の大学です。

1877年に設立され、世界で最も評価の高いデザイン学校の一つとして知られており、幅広い分野での高度な教育と研究を提供しています。

「芸術教育の振興」「知識の探求と発信」「世界への貢献」を教育の旗印に掲げていて、年間200人以上のアーティストや評論家を招いています。

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Rhode Island School of Design

ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)は、1877年にプロビデンスの女性たちによって設立されました。

目的は、地元の産業に貢献するためにアートとデザインに関する高等教育を提供することにありました。

当時、産業革命による技術の進歩や経済の変化に伴い、デザインや美術に関する高度な教育の需要が高まっていました。

一方で、女性が大学に進学することや専門職に就くことが一般的ではありませんでしたし、女性に選挙権もない時代でした。

そこで、プロビデンスの女性たちは、「実用的なデザインのための芸術学校」を設立することで、女性や地域社会に新たな教育の機会を提供しようとしました。

彼女たちは、地元の産業に貢献するために、実践的なスキルと芸術的な才能を結びつけた教育が重要であると考えていたのです。

こうして、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)は女性の創造性とリーダーシップが発揮される場として誕生しました。

ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)は、現在約2,500人の学生に対して、19の学士課程プログラムと17の修士課程プログラムを提供しています。

プログラムには、グラフィックデザイン、イラストレーション、工業デザイン、建築、ファインアート(絵画、彫刻、写真など)などが含まれます。

学生は、専門分野に関する深い知識と技術を身につけるだけでなく、批判的思考と創造性を養う教育を受けます。

多岐にわたる芸術およびデザイン分野の学士(BFA)および修士(MFA)プログラムを提供しており、創造性、技術的技能、批評的思考を重視した教育カリキュラムが特徴です。

以下は、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)で提供されている主要なプログラムと、それぞれのプログラムの特徴を簡単にまとめました。

学士課程プログラム(BFA)

ファインアーツ:絵画、彫刻、写真、版画など、伝統的なファインアーツ技術に加えて、現代的なアプローチも学べます。
デザイン:グラフィックデザイン、工業デザイン、インテリアデザイン、ジュエリー&メタルスミスなど、広範なデザイン分野を網羅しています。
建築:建築の基本理論、歴史、技術的なスキルの習得に加え、サステナビリティや都市デザインに関する研究も行います。

修士課程プログラム(MFA)

アドバンスドアート&デザイン:特定分野における専門的な研究と実践に焦点を当て、プロジェクトや研究に基づいたアプローチが中心です。
グローバルアーツ&カルチャーズ:芸術と文化のグローバルなコンテクストを学び、国際的な視点からアプローチします。
デザイン教育:デザインの教育方法を学び、次世代のデザイナーや教育者を育成します。


ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)は、学生が専門的な技術とともに、創造的な問題解決能力を身につけることを目指しています。

以下に、特徴を整理してみます:

実践中心の学習

批評とピアレビュー

インターディシプリナリーなアプローチ

国際的な機会

追加の教育機会

学生が実践に基づいた学びができるよう、広範囲にわたるプログラムを提供していることがわかりますね。


ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)のキャンパスは、プロビデンスのダウンタウンに位置しており、歴史的な建物と現代的な施設が混在していて学校の建物と街とも調和しています。

この地区の建物はアメリカ歴史協会の指定する歴史的建造物保存地区に指定されているほどです。

学生と教員は、最先端のスタジオ、ワークショップ、ギャラリー、図書館などの施設を利用できます。

また、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)美術館は、約10万点の作品を収蔵しており、古代から現代までの幅広い芸術作品を展示しています。世界のアートシーンの縮図といえるでしょう。


ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)の学生生活は、多様性と創造性に富んでいます。

学生たちは、アートとデザインのプロジェクトに没頭するだけでなく、多くのクラブ活動や地域社会との連携プロジェクトにも積極的に参加します。

また、学生たちは、批評会、展示会、講演会などのイベントを通じて、自分たちの作品を公開し、意見交換も活発に行います。

ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)の卒業生は、芸術界、デザイン界、教育界など様々な分野で活躍しています。

卒業生には、著名なアーティスト、デザイナー、建築家、そして起業家なども多数おり、彼らの功績はロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)の名声を高めているといえるでしょう。

みなさんもご存知のブランド、「ジル・スチュワート」のジル・スチュワートも卒業生の一人です。

他にも代表的な人物を以下にご紹介します:

グス・ヴァン・サント

アメリカの映画監督、画家、写真家、ミュージシャン。特に、社会的少数なサブカルチャーとLGBTQのテーマを扱った映画で知られています。代表作は『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)、『グッド・ウィル・ハンティング』(1997年)、『エレファント』(2003年)、そして『ミルク』(2008年)など。1975年にロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)を卒業し、そこで受けた教育が後の映画制作に大きな影響を与えたとされています。彼の作品は視覚的スタイルと感情的深みで評価され、特に独特の人物描写と物語性が称賛されています。彼の作品は社会的な問題に光を当て、特定のコミュニティのリアルな声を映画という形で表現しています。映画制作だけでなく、画家や写真家としても活動しており、その芸術的才能は多岐にわたります。

シェパード・フェアリー

アメリカの現代ストリートアーティスト、グラフィックデザイナー、活動家。彼の作品は政治的なメッセージを含んでいて、特に2008年のアメリカ大統領選挙で使用されたバラック・オバマの「HOPE」ポスターが有名です。このポスターは、オバマの選挙キャンペーンに影響を与え、ポップカルチャーのアイコンとされました。彼は1970年にサウスカロライナ州で生まれ、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)でイラストとデザインを学びました。フェアリーのアートは、街角や展示会で広く見られ、挑戦的なビジュアルと鋭い社会的批評を特徴とします。彼はまた、環境保護、平和、人権などの社会問題に積極的に取り組んでおり、アートを通じて政治的および社会的メッセージを発信しています。

デイル・チフーリ

アメリカの彫刻家。特に吹きガラスの分野で有名。1941年にワシントン州タコマで生まれ、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)で学び、後にはRISDで教鞭をとりガラス製作プログラムの創設にも関わりました。彼の作品は、その大胆な色使いとドラマティックな形で知られ、特に有名な作品には、シーリングシリーズ、マカニアシリーズ、ペルシャンシリーズがあります。複雑に絡み合った形と鮮やかな色彩が特徴で、自然光との相互作用を通じて、視覚的なインパクトを強化しています。彼の作品は、伝統的なガラス吹き技術に革新を加え、ガラス芸術を一つの大きな彫刻的表現へと押し上げました。

ジョー・ゲビア

アメリカ合衆国の起業家。子供の頃から美学、デザイン、音楽、スポーツに情熱を持っていました。高校時代に参加したプログラムがきっかけで、教授の勧めにより、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)への進学しました。グラフィックデザインと工業デザインの学士号を取得し、卒業後はサンフランシスコに移り、クロニクル・ブックスでデザイナーとして働きます。2007年、RISDの同級生であるブライアン・チェスキーと同居し始め、共同で事業を始めました。「AirBed & Breakfast」というウェブサイトが生まれました。みなさんもご存知の「Airbnb」です。

ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)の卒業生は、芸術とデザインの分野で成功を収め、さらにビジネス業界でも注目すべき人物も輩出されています。


実際にロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)の卒業生は幅広い分野で活躍しています。

起業家の他にも、ディズニーやNASAなどの大組織でインハウスデザイナーになる人、デザインコンサルで働く人までさまざまです。

ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)の卒業生には、才能や非認知能力など様々な面で共通点が見られます。

まずは、なんと言っても驚異的な創造性です。芸術やデザインの分野は常に変化しており、実際にロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)のカリキュラムの中で革新的なアイデアやテクノロジーも生まれています。

また、芸術やデザインのプロジェクトでは、チームワークやコミュニケーション能力が重要です。ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)の卒業生は、他のクリエイターや専門家と協力し、共同でプロジェクトを進める中で、勤勉性、協調性、外向性、開放性など、多くの能力が育まれます。

さらに、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)の卒業生は、柔軟性と適応力も持ち合わせ、変化する環境に素早く対応することができています。

というのも、芸術やデザインの分野では、批評的思考と観察力が重要です。

ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)の卒業生は、作品を制作する際や他の作品を鑑賞する際に、独自の視点で物事を見つめ、深い洞察を持って分析します。

ものづくりと思考を行き来することで、目の前の出来事に、多くの可能性を見出し、対応することができるのです。

これこそがロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)で育まれる貴重な能力であり、世界で生き残るために最も必要な能力だといえます。

ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)は、その卓越した教育プログラムと豊かな歴史を背景に、世界中から最も才能ある学生たちを引き寄せています。

ここでは、学生たちが高度な専門知識と創造力を兼ね備え、自身のキャリアを築くための環境が提供されています。

美術とデザイン教育の分野でのリーダーシップを誇り、新しい世代のクリエイティブリーダーを育成する重要な役割を担っていることがお分かりいただけたかと思います。

ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)は、学生一人ひとりが自己表現と革新を追求し、未来を形作るためのスキルとインスピレーションを提供する貴重な教育機関だといえるでしょう。