学校での一斉授業が合わない場合が多いギフテッドの子どもに。どんな教育的なアプローチや学びの環境を用意すればいいのでしょうか?

この記事では、ギフテッドの子どもための教育方法として、英才教育がいいのか早期教育がいいのか、その他の方法がいいのか、特徴や違いを整理しながら、ご紹介します。

ギフテッドの子どもの才能を伸ばすためのヒントとして、ぜひご活用ください。

この記事でわかること

  • 「ギフテッド」「英才教育」「早期教育」それぞれの正しい定義
  • 3つの概念の決定的な違い(出発点・目的・対象)
  • 「英才教育でギフテッドになれる」が誤解である理由
  • ギフテッドの子どもに早期教育が合うケースと合わないケース
  • 才能を伸ばすために親ができる具体的なこと
  • 教育のミスマッチが起きる原因と防ぎ方

目次

  1. 英才教育と早期教育の定義
  2. ギフテッドの子どもに早期教育は必要?
  3. ギフテッドの才能を伸ばすために親ができること
  4. ギフテッドの教育のミスマッチ
  5. まとめ

「うちの子、ギフテッドかも」と感じている方へ。
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英才教育と早期教育の定義

この3つの言葉は、同じ文脈で使われがちですが、指しているものは異なります。

まずは、混同されやすい3つの概念を以下で整理します。

ギフテッド(Gifted)とは

まず、ギフテッドとは、生まれつき平均より著しく高い知的能力や特定の才能を持つ子どものことを指します。

IQ130以上という基準が目安として語られることがありますが、知能指数だけで定義されるものではなく、創造性、芸術的才能、リーダーシップ、特定の学問分野への突出した能力なども含まれます。

ギフテッドは教育や育て方の結果ではなく、生まれ持った脳の特性です。適切な環境や教育によって能力のあらわれ方は変わってきますが、ギフテッドという特性自体は教育で作り出せるものではありません。

ギフテッド教育とは

ギフテッドの定義は様々ですが、多くの場合、その分野において著しく高い能力を持つ子ども(上位2〜6%程度)を対象とするプログラムです。

日本では2021年以降、文科省が「特異な才能のある児童生徒」への支援を検討し始めていますが、本格的に制度としてカリキュラムに反映されるのは2030年以降の予定となります。

国によって、特に香港やシンガポールはギフテッド教育が国主導で進められていたり、アメリカのように州の公立学校で取り組まれていたり、国によっても地域によってもその実施体制や目的と内容、プログラムの参加者の認定方法は様々です。

そのため、ギフテッド教育はエリート教育ではないかといった批判が起きた場面も実際にはあります。

ただし、ギフテッドの子どもたちは、通常の学校教育では退屈したり、孤立したり、アンダーアチーブメントという状況に陥りやすいため、異なる支援が必要なケースが多いためギフテッド向けプログラムの必要性は確かです。

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英才教育とは

英才教育とは、高い能力を持つ子どもに対して、その能力をさらに伸ばすために設計された教育プログラムの総称です。音楽・スポーツ・数学・囲碁などの何かに特化した技術を身につけることが多いでしょう。

早い時期から専門家やコーチのもとで集中的な指導を行い、コンクールや大会などで成果を測ります。

そのため、ギフテッド教育の一環として英才教育が行われる場合もあります。

早期教育とは

早期教育とは、就学前の幼児期から学習活動を開始する教育方法です。

幼児向けの英語教室、知育教材、ピアノ教室、プログラミング教室などが代表的な例でしょう。

「0歳からの知育」「3歳までに脳の80%が完成する」といったキャッチコピーで広まったものも多くあります。

早期教育はすべての子どもを対象としており、”特異な才能”の有無は前提としていません。「子どもの可能性を広げたい」「早くから始めたほうが有利」という動機で取り組む家庭が多いのが特徴かと思います。

ちなみに:モンテッソーリ教育とは

医学博士のモンテッソーリが始めた教育アプローチです。

「子どもには自ら発達する力がある(自己教育力)」という前提で、教える側は導くのではなく環境を整える役を担います。年齢混合クラス、専用の教具、自由選択活動が特徴で、テストや競争はなく、特定の能力が伸びやすい時期に合わせた学びを重視しています。

参考:日本モンテッソーリ教育綜合研究所
https://sainou.or.jp/montessori/index.html

ちなみに:シュタイナー教育とは

哲学者のであるルドルフ・シュタイナーが始めました。7年ごとの発達段階に応じたカリキュラムを組みます。

0〜7歳は模倣と感覚体験、7〜14歳は芸術・物語・感情、14〜21歳は思考と理性という流れで、教科を芸術などと統合して教えます。デジタル機器を基本的には使用しないという点も特徴です。

参考:日本シュタイナー学校協会
https://waldorf.jp/

ギフテッドとは?定義・特徴・診断方法・サポートの基本を徹底解説
比較軸 英才教育 早期教育
本質 教育プログラム(指導の仕組み) 教育の時期(いつ始めるか)
出発点 すでに確認された高い能力 「早く始めれば有利」という考え方
対象 ギフテッドや高い能力を持つ子ども すべての子ども
目的 才能のさらなる伸長 能力の底上げ・先取り学習

英才教育は「どう教えるか」、早期教育は「いつから始めるか」ということがお分かりいただけたかと思います。

ポイント

「ギフテッド=英才教育を受けた子ども」ではありません。ギフテッドは特性であり、英才教育は手段です。ギフテッドの子どもに英才教育が必要な場合はありますが、英才教育を受けたからといってギフテッドになるわけではありません。

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なお、知能や才能の発達には遺伝的要因と環境要因の両方が関係しています。

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ギフテッドの子どもに早期教育は必要?

「ギフテッドなら早期教育が必要でしょう」とも「ギフテッドなら早期教育は不要でしょう」とも一概には言えません。子どもの特性と興味の方向によって、答えは変わります。

早期教育が合うケース

  • 子ども自身が強い興味を持っている分野がある:2歳で文字を読みたがる、3歳で数の概念に夢中、4歳でピアノを弾きたがる。子ども主導の「もっと知りたい」「もっとやりたい」に応える形であれば、早期に専門的な環境を整えることに意味があります
  • 同年齢の集団では知的刺激が足りない:幼稚園や保育園の活動が簡単すぎて退屈し、問題行動につながっている場合、知的レベルに合った環境を早めに用意することが子どもの精神的な安定にも役立ちます

早期教育が合わないケース

  • 親の期待が先行している:子ども自身の興味ではなく、「ギフテッドだから先に進ませなければ」「他の子に差をつけなければ」という親の焦りが動機になっている場合、子どもにとっては負担になります
  • 社会性や感情面の発達とのバランスが取れない:知能は高くても感情面や社会性は年齢相応というケースは非常に多いです。知的な面だけを先に進めすぎると、感情面との発達のアンバランス(「非同期発達」)が大きくなり、ストレスの原因になります
  • 自由な遊びの時間が削られる:幼児期の自由遊びは、創造性・問題解決能力・社会性の発達に欠かせません。スケジュールを子どもの興味の対象ではない習い事で埋め尽くすことは、ギフテッドの子どもにとっても辛い経験になる可能性があります
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ギフテッドの才能を伸ばすために親ができること

目の前の子どもの特性をよく理解した上で検討する視点がとても大切です。

英才教育や早期教育という手法にとらわれるのではなく、まずはギフテッドの子どもの特性に合った関わり方を心がけてください。

① 子どもが興味を持っている/持ちそうな分野かどうか

特に、ギフテッドの子どもが最も力を発揮するのは、自分の内側から湧き上がる好奇心や探究心に従って学んでいるときです。

「やりなさい」と言われてやる学習ではなく、「知りたい」「やってみたい」という気持ちに大人が寄り添えると、長期的に見てもとても効果的な才能開発になるでしょう。

② 深さと広さの両方を

ギフテッドの子どもは、1つのテーマをとことん深掘りしたがる傾向と、次々と新しいテーマに飛びつく傾向の両方を持つ場合があります。

どちらも否定するのではなく、深掘りする時間と新しいものに触れる時間の両方を用意してあげてください。

図書館、科学館、美術館、自然体験など、「教室」以外の学びの場が、ギフテッドの子どもにとって貴重な時間になります。

③ 話し相手になる

ギフテッドの子どもは、年齢にそぐわないテーマに興味を持ったり、深い哲学的な問いなどを投げかけてくることもあるでしょう。

「なぜ戦争がなくならないの?」「死んだらどうなるの?」

このような質問に完璧に答える必要はありません。できれば、具体的にそのテーマのどんな部分に興味を持っているのかを確認した上で、「そう思うんだね。お母さん/お父さんはこう思うけど、あなたはどう思う?」と受け入れて向き合うようにしましょう。

なお、年齢が低い時期は、暴力的なテーマや深刻なテーマについて情報を与えることは良くありません。「どうしたら平和になるか一緒に考えてみよう」など、ポジティブな視点に導くようにしてください。

ギフテッドの子どもは感受性の高さゆえに、深く考え込んで辛くなったり、悲惨な状況を想像したりして、精神的に追い詰められる場合もあるからです。

④ できないことにも目を向ける

ギフテッドの子どもにも、もちろん苦手なことがあります。字を書くのが苦手、体育が嫌い、友人関係でつまずく、感覚が鋭すぎるといった場面です。

その状況を無視したり、「どうしてできないの?」と責めたりすると、存在が否定されたように感じるケースもあり、子どもの自己肯定感を大きく傷つけます。

才能に注目することと同じくらい、苦手なことをきちんと親子で把握して、サポートを丁寧に行ってあげてください。

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ギフテッドの教育のミスマッチ

教育のアプローチを悩まれる親御さんは多いですよね。

合っている方法を見つけられることよりも、合わない環境に子どもを置き続けることは大きなリスクです。

  • ギフテッドではない子どもに英才教育レベルの負荷をかける:「うちの子もギフテッドかもしれない」と思い、高度な学習内容を無理に与えてしまうケースです。能力を超えた要求は自己肯定感の低下につながります
  • ギフテッドの子どもに年齢相応の教育しか提供しない:「先に進めすぎるのはよくない」と考え、すでに理解している内容を繰り返し学ばせてしまうパターンです。退屈から問題行動やアンダーアチーブメント(能力を発揮しないこと)につながります
  • 早期教育の成果を”天才の証拠”と勘違いする:早期教育で先取り学習をした結果、同年齢の子どもより先に進んでいる状況で、「うちの子は天才だ」と誤認するケースです。先取り学習の貯金は小学校中学年ごろまでに追いつかれることが多く、その時に子どもが深い挫折感を味わう可能性があります

先取り貯金の落とし穴

早期教育で得た先取りの貯金は、一般的に小学校3〜4年生ごろまでに周囲に追いつかれるとされています。もし子どもが「自分は特別だ」というアイデンティティを先取りの成果に結びつけていた場合、追いつかれた時点で深刻な自信の喪失を経験します。先取りが悪いのではなく、先取りの結果を子どもの価値と結びつけてしまうことが問題なので気をつけましょう。

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まとめ

ギフテッドの子どもに必要なのは、教育メソッドよりも環境です。

ギフテッドがもともと持っている内発的な好奇心を尊重し、知的な深掘りと幅広い経験ができる環境と、苦手な部分にも丁寧に向き合うといった日々の関わりが大切です。

「うちの子はどんな特性を持っていて、どんな環境で最も生き生きと学べるのかな?」という問いを出発点にしていただき、環境を選択していただければと思います。

参考文献・情報源

  • Renzulli, J.S. “What Makes Giftedness? Reexamining a Definition” Phi Delta Kappan, 60(3), 180-184 (1978)
  • Webb, J.T. et al. “Misdiagnosis and Dual Diagnoses of Gifted Children and Adults” Great Potential Press, 2nd Edition (2016)
  • 文部科学省「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議 審議のまとめ」(2022年9月)

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