【心理士監修】小学生の子どもの国語力を伸ばすには?家庭でできる5つのこと

近年、幼稚園から英語に触れる時間が増えており、グローバル化に向けた取り組みが進んでいます。

もちろん英語も大事ですが、小学校にあがると待ち受けている授業の1つが「国語」ですよね。

国語はそのほかの教科の基礎としても重要ですが、苦手としている子どもは多いといわれています。

そこで今回は、児童精神科や療育施設での勤務経験のある臨床心理士が、小学生の国語力を伸ばす方法を紹介します。

この記事を書いた専門家

いけや さき


公認心理師、臨床心理士

精神科病院、療育施設、心療内科・児童精神科クリニックなど主に医療と福祉領域にて心理士として従事。発達障害の子どもたちや保護者、女性のメンタルヘルス等のサポートを行いながら、webライターとしても活動中。

文部科学省によると、国語力とは2つの領域から成り立つとされています。

国語力の中心となり、次の4つの力で構成されています。

・考える力:事実と推測を見極める論理的思考

・感じる力:他社の気持ちを理解したり、感動したりする情緒力

・想像する力:未経験の事柄や、空想の出来事などを思い描く力・他者の身振りや表情を感じて察する力

・表す力:上記3つの力を言葉や文章で表現する力

①の領域が働くときの基盤となる領域です。

特に「教養・価値観・感性等」は、人間力の根源にも関わる部分といわれています。

小学生の子どもに限らず、子どもたちの国語力が低下しているといわれる理由には、次のようなことが観がられます。

・親を含む大人との会話の減少

・インターネットの普及

大人との会話の減少によって、他者への共感力や情緒力が身につきにくくなっているそうです。

また、インターネットの普及の影響により、動画で情報が手に入る、考えなくても答えがわかるなどの便利さも、国語力低下に影響しているといわれています。

国語

ここまで、国語力とは何か、国語力が低い原因にはどのような背景があるかを紹介しました。

では、なぜ国語力が必要なのでしょうか。


国語は、私たちが生まれる前から人々が培ってきた知識や知恵を学べる教科です。

人が何かを生み出したり、想像したり、独自性を発揮したりするためには、知識の獲得が重要。

国語力を身につけることは、成長していく過程で必要な知識の獲得や考え方を手に入れていく際に役立ちます。

国語

国語力の2つの領域を紹介した際に、感じる力と表す力があると話しました。

国語の文章表現や、読みやすさなどのリズム、情緒表現などを学ぶことで、人間力として必要なスキルを身につけられます。

国語

教科に国語がある意味・目的の1つは、言葉や文字による、意思や感情を伝える方法を学ぶこと。

漢字を覚えたり、物語を読んだり、文法を学んだりすることは、コミュニケーションと程遠いと感じる人もいると思いますが、社会で生きるために欠かせないスキルが学べます。

コミュニケーションは、相手の考え方や人格を尊重することと、言葉による意思の伝えあいが必要であるため国語の力が基礎となるのです。

漢字を学ぶことも、多様性の理解や読み手への配慮などに活かされるといわれています。

国語

学校の教科に国語はありますが、限られた時間の中で集団で学ぶため、一人ひとりの理解が達していなくても授業は進んでしまいます。それは仕方のないことですので、できればご家庭で国語力を伸ばせるといいでしょう。

おすすめの方法は次の5つです。

詳しく解説します。


みなさんは、お子さんと1日にどのくらい会話をしていますか?

国語そのものを学ぶことや、本を読むことも大切ですが、社会で生きていくためには会話スキルも重要です。

子どもは、親が考えている以上に大人を見ています。テレビや動画の真似だけではなく、親が無意識に発している口癖を真似することもあるでしょう。

親子での会話を今よりもちょっと増やしてみるだけで、子どもの話し方や癖などがわかり、親が見本となって修正することもできます。

国語

また、子どもとの会話のなかで、親がわからないことを「どういうことか教えて?」と聞くことは、説明する力や説明のための考える力が身につくのでおすすめです。

会話を増やせば親子の交流の機会もできるので、子どもの情緒面の安定にもつながるでしょう。


本を読むことに限らず、新聞やチラシ、看板なども立派な文字です。

お子さんが本を読むのが苦手なら、以下の方法を試してみましょう。

漫画や絵本、図鑑は読書ではないと思っていませんか?いずれも立派な本です。

国語

絵本には、情緒力・共感力がつくストーリーも多くあります。

また、街中で見かける看板などを見て「なんて書いてあると思う?」というゲームをするのも楽しいでしょう。

文字を読むだけでなく、考えたり、表現する力が身につきます。


文字を読む以外に、コミュニケーション能力や表現力を付ける手段として「感想」はおすすめです。

感想文を書かせるのではなく、どこかへ遊びに行った帰りに「どうだった?」「一番楽しかったものは?」「何が印象に残った?」と質問してみましょう。

「楽しかった?」と聞くのもダメではないですが、楽しくなかったときでも結構気を遣う子どもはいます。

大人になってからの気遣いと、子どもの気遣いは異なり、子どもにとっては表現の自由が奪われてしまうことにもなりかねません。

ざっくりとした感想を聞いて、答えにくそうにしていたら選択肢を与えたり、「ママはこうだった」「パパは○○がよかった」と大人が見本を見せてあげましょう。

国語

言葉を使う遊びも、国語力を伸ばす方法としておすすめです。

たとえば、次のようなものは語彙力や文字に触れる機会に加え、ほかの能力も身につきやすいでしょう。

・しりとり

・かるた

・クイズやなそなぞ

・すごろく

・知育カードゲーム

知育カードゲームとは、数字やひらがな、イラスト、漢字などを用いてさまざまな能力を養うカードを使ったゲームです。

国語

めくって考えたり、複数の選択肢から答えを見つけたり、引いたカードのお題に応えるなど、大人も一緒に楽しめるものばかりなので、ぜひ親子で楽しんでみてくださいね。


①~④とは少々異なりますが、知能検査や発達検査を受けることで、子どもの得意不得意がわかります。

たとえばWISC-Ⅴは、6歳以上の子どもの「言語理解」「流動性推理」「視覚空間能力」「作動記憶」「処理速度」がわかる検査です。(クリニックによっては、WISC-Ⅳを実施しているところもありますが問題ありません)

子どもの得意不得意がわかれば、国語力の伸ばし方も工夫しやすくなります。

例えば、語彙力が弱い子の場合と社会的ルールの理解が苦手な子の場合では、工夫の仕方が変わるのです。

加えて、耳で聞く方が記憶できる子と、目で見る方が記憶できる子もいます。

子どもの国語力や、そのほかの教科でも困っていることがあれば、知能検査や発達検査を受けることも検討してみてください。

国語

大人になってからも必要となる「国語力」は、親子の会話や文字に触れる機会、楽しみながら取り組むゲームなどで伸ばせます。

小学校の勉強はとても大事ですが、授業を理解するための土台は学校では教えてくれません。

家庭でできる工夫をしながら、子どもの国語力を伸ばしていきましょう。

国語

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