ギフテッドネスと発達凹凸を持つ子どもの理解〜違いを見分けるためのガイド〜

ギフテッド・チルドレンと発達障害やグレーゾーンと呼ばれる子どもたちは、その行動の特性の重なりから混同されることがよくあります。

具体的な行動でいえば、

授業中に動き回ったり先生の言うことを聞かないなど注意散漫である

授業の進行を乱す質問を投げかける

話に割って入ってくる

友達に攻撃的・敵対的になる

などの、”困った”行動です。

確かに、「2E」と呼ばれるような、ギフテッド性と発達凸凹の両方を持っている子どももいますが、ギフテッド・チルドレンを発達障害と誤診することは想像以上に危険です。

本記事では、ギフテッド・チルドレンと発達障害/グレーゾーンの子どもたちの行動の背景にはどのような違いがあるのかご紹介していきます。

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まずは、ギフテッド性を個別に判断することで、発達障害と区別することができるという観点で見ていきます。

ギフテッド教育先進国のアメリカでは、学校に”困った”子がいたとしても、日本のように発達障害前提で医療機関を受診させることはせず、まず親や教師が初期的に確認をすることが多いです。

例えば、ADHDの子どもと、ギフテッド・チルドレンの違いに注目し、不適切な行動の原因がギフテッドネスなのかどうか推測できるというチェックリストがあります。

Before Referring a Gifted Child for ADD/ADHD Evaluation By Sharon Lind. Parents and gifted educators are asked with i sengifted.org

こちらのチェックリストに載っている項目について、ギフテッド性が原因と考えられる行動をピックアップして以下にご紹介しましょう。

なお、このチェックリストはギフテッド性を推測する指標の一つであり、当てはまるからといってギフテッドか発達障害かを判断するものではありませんのでご注意ください。


A:不適切行動がある場合に、以下のやり方で不適切な行動が減る場合

  • 同じような知的能力の高い仲間とかかわる
  • カリキュラムを工夫する、その子に適した学力レベルの集団に入る
  • 適切なソーシャルスキルを学ぶ
  • 興味・関心のあるテーマや活動をさせる
  • テーマや活動が、その子自身にかかわるものや意味のあるもののように感じさせる

B:不適切行動がある場合に、子どもが以下の対応ができる場合

  • 自身の不適切な行動の理由を子どもなりに論理的に筋を通して説明することができる
  • なぜ課題や活動を途中でやめてしまうのか子どもなりに論理的に説明できる
  • 注意散漫に見えていても、何を指示されたかを答えることができる

C:子どもが以下の状態・環境である場合

  • 子どもが動き回っているとき、子ども自身がそれを楽しんでおり、自分で自分がコントロールできないという感覚にはない
  • 話に割り込んだり余計な話をする時に、自分が知っていることを共有したい、自分はわかっているということを伝えたい、すぐにその問題を解決したいという思いがある
  • 複数の課題を同時並行で堂々としてこなしていく
  • より多くを成し遂げ、より多くを学びたがる
  • 教師や指導スタイルによって不適切な行動が出たり出なかったりする
  • 教師の注意を引こうとしている
ギフテッド

このようなチェックリストが存在するということが、ギフテッド・チルドレンの存在をきちんと認識し、発達障害との誤診の可能性があるということを認識しており、身近な大人が行動観察に努めている状況を示していますよね。

親御さんとしては、お子さんに不適切がある場合は、周囲へ迷惑がかかるなどの危機感から医療行為を受け入れやすいこともあると思います。

日本では、学校などの教育機関が医療機関に子どもの不適切行動に関する診察をつなぐ場合、発達障害/グレーゾーンの診断ありきのことが多いと感じます。

つながれた医療機関は、何らかの”診断”をして、何かを処方しなければならない、というような状況なためギフテッド・チルドレンが誤診されている例も見ます。

ギフテッド性は、日常生活の一部の側面を切り取って判断できるものではなく、その行動パターンの観察をきちんと総合的に判断する必要があります

先にご紹介した、アメリカで実践されているチェックリストのように、身近な大人が丁寧に向き合っていく必要がありますし、身近な大人でしかギフテッド・チルドレンのエネルギーと好奇心に溢れた行動をキャッチすることはできないと思います。

これは決してネガティブなことではなく、むしろ子どもの才能を発掘するための絶好の機会として捉えることが子どもたちの才能を発見する大きなヒントになれば嬉しいです。

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