みなさんもご存知の通り、トーマス・エジソンは、歴史上最も偉大な発明家の一人です。
彼の偉大な功績は、彼の母親、ナンシー・エリオット・エジソンの存在が大きく影響していたことを聞いたことがある人もいるかもしれません。
トーマス・エジソンは、「ギフテッド・チルドレン」であり、学習障害も持っていたということが史実から知られています。
ナンシーは、息子の才能を見出し、それを育むための独自の教育法を編み出しました。
本記事では、ギフテッド・チルドレンが学校で直面する可能性のある困難と、エジソン親子から学ぶ子どもたちの才能の育み方について紹介します。
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トーマス・A・エジソンの生涯と偉業
トーマス・エジソンは、白熱電球、蓄音機、映画カメラなどの発明で、また、電信や電話の改良にも貢献し、現代生活に大きな影響を与えました。
彼はその生涯で、なんと1,000を超える特許を取得した「発明王」です。
発明品を一般に市場で販売するなど、トーマス・エジソンは発明家であるだけでなく、実業家でもありました。
さぞ素晴らしい天才少年時代を過ごしてきたのかと思えるような功績ですが、幼い頃、トーマス・エジソンは学校生活では大変な苦労をしていました。
学校の教育方法に適応できず、先生からは精神障害があるとみなされていたのです。
エジソンの母親から学ぶ、才能の育て方
ここで、エジソン親子の象徴的なエピソードをご紹介します。
ある日、幼かったトーマス・エジソンが学校から帰宅し、母親であるナンシー・エジソンに手紙を渡しました。
彼は言いました。
「先生がこの紙を僕にくれて、お母さんだけが読んでいいって。これには何て書いてあるの?」
ナンシーは手紙を読みながら涙を浮かべ、
「あなたの息子は才能に溢れすぎています。私たちの学校では、彼を育てるには取るに足らないし、彼を訓練するに足りるほどの良い教師もいません。どうかお母様ご自身で彼に勉強を教えてあげてください」
と声を上げて読みました。
ナンシーが亡くなった数年後、彼は世紀の偉大な発明家の一人となったわけですが、彼がクローゼットを整理していたとき、折りたたまれた古い手紙を見つけました。
あの手紙に、本当のメッセージが書かれていることを理解したのです。
「あなたの息子は精神的におかしい。私たちの学校ではもはや彼を受け入れることができない。彼は退学です。」
その後、トーマス・エジソンは自身の日記に
「トーマス・A・エジソンは精神的に不十分な子どもで、彼の母が世紀の天才に変えた」
と書き綴っています。
この故事が真実であるかは定かではありませんが(トーマス・エジソンが「混乱している」と学校の先生に言われ、もはや学校に留まるべきではないと判断されたことは実際に記録されています)、この話から私たちが学べることは、子どもの潜在能力を信じ、伝統的な教育方法の枠を超えてその才能をサポートすることの重要性です。
ナンシーは、息子が学校で学ぶことができないとされた後、自宅で息子に読み書きや算数を教え、彼の好奇心を刺激する多くの本や文献を与えました。
彼女のこの教育方針は、トーマス・エジソンが後に大発明家となる基盤を築くのに大いに役立ちました。
ナンシーは、トーマスが自分の興味や情熱を追求することを励まし、彼の創造性と情熱を独自に育んだのです。
以下は、トーマス・エジソンの育て方から学べる重要なポイントです。
好奇心と情熱を尊重する
ナンシーは、トーマス・エジソンが示したあらゆる興味を育むことで、彼の知的面、創造面での成長をサポートしました。
彼が示す、無限の「なぜ?」に耐えるだけでなく、ナンシーはそれらの質問や疑問を育むために彼に実践的な学ぶ機会を与えました。
自然界の探索、実験の機会、そして科学的な文献へアクセスができるようにして、トーマス・エジソンの好奇心を刺激し続けました。
学びの個性を活かす
ナンシーは、子どもの興味と、それぞれのペースを尊重することの大切さを理解していました。
トーマス・エジソンは、主に高い知的好奇心と学習障害を理由として、学校教育の枠組みに大きな制約を感じていましたが、ナンシーは彼が自由に学べるようにし、学ぶ楽しさを体験できるような環境を整えました。
ナナシーは、形式ばった教育の枠を超え、トーマス・エジソンが自らの興味に基づいて学べるようサポートし、そうすることで彼の創造力と知性が開花したといえるでしょう。
失敗を恐れない環境を作る
ナンシーは、「失敗」が学びのプロセスであることと、挑戦自体が求めている結果への重要なステップとして受け入れるよう、トーマス・エジソンに教えました。これが、トーマス・エジソンの実験的な精神とリスクを恐れない姿勢を育みました。
「私は失敗したことがない。ただ、うまくいかない方法を1万通り見つけただけだ」という彼が残した有名なこのことばが、ナンシーの教育方針から生まれたことが容易に想像できます。
信じる
子どもたちは、たとえ一瞬でも、誰かに信じてもらう必要があります。
もしナンシーが学校から手紙を受け取った時に、「ええ、あなたの先生の言う通りよ」と言っていたらどうでしょうか。
幼い少年にとって、学校の先生から言われたことばにどれほど打ちのめされることか、そして世の中の技術の進歩にどれほどの損失が出るでしょうか。
人生の中で、自分のことを本当に信じてくれる人を見つけた時の安心感と信頼が築かれるのを感じることで自信を育み挑戦し続けられる強い心を築きます。
トーマス・エジソンからたくさんの名言が生まれたのもナンシーの育て方による影響が大きかったのがわかります。
トーマス・エジソンは後年、
“My mother was the making of me. She was so true, so sure of me, and I felt I had some one to live for, some one I must not disappoint.”
「私を作ったのは母だ。彼女はとても誠実で、私のことをよく信じてくれて、私は、生きるべき存在で、失望させてはいけない人がいると感じた」
とも述べています。
ギフテッド・チルドレンが直面する困難と対策
トーマス・エジソンも、学校生活で大変な苦労をしていたわけですが、こちらの記事でもご紹介した通り、ギフテッド・チルドレンはその知能の高さや創造性がゆえに、学校生活で困りごとを抱えやすいです。
ギフテッド・チルドレンの教育的なニーズを完全に理解していない場合、彼らの才能を適切に発揮できない環境になる場合が多いためです。
例えば、学校の授業やカリキュラムは、一般的に平均的な学習速度の子どもたちに合わせて設計されているため、知的好奇心が異常に高く知能も高いギフテッド・チルドレンは満足できない場合があります。
また、特殊な興味を持つこと多いため、同年代の子どもたちとの間に溝を感じたり、周囲からの高い期待により、自分自身や他人に対して過度のプレッシャーを感じることもあります。
ギフテッド・チルドレンが学校生活で直面する困難に対処するためには、保護者と教育者が協力して、子どもの興味や才能に合った学習機会を提供することが重要です。
例えば、標準のカリキュラムに加えて、子どもの関心分野に関する追加のプロジェクトや活動、STEM教育を組み込むことなどです。
先ほどトーマス・エジソンの母親、ナンシーが実践した方法をお伝えしましたが、好奇心を尊重し、学びへの愛情を育て、失敗を受け入れることで、子どもたちが自分の能力を最大限に発揮できるような環境が大切です。
おわりに
本記事では、トーマス・エジソンの母親、ナンシー・エリオット・エジソンの話を通して、子どもたちの才能を最大限に引き出すための方法を探る方法のヒントをご紹介しました。
ナンシーがトーマスに与えた愛情深い教育は、学びにおける困難を乗り越えるだけでなく世界を変える発明を数多く成し遂げるための土壌でした。
大人たちが、それぞれの子どもの個性を認め、育み、子どもたちの学びに対する熱意と創造性を持続させるための鍵となるでしょう。
参考文献
こちら。
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